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雪暮れ湯けむり、冬の宿
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● トライアングル
「着いてから直ぐに勉強、ご飯食べた後も勉強……勉強ばかりじゃねえか……うう……」
突っ伏した
御剣 刀
は、ぷすぷすと焦げくさい煙を脳天から立ち上らせながら、うわごとのように口にする。
勉強の合間に夕食を挟んで、それはとてもおいしかったのだけれど、厳しい彼女たち――
橘 千歳
と
小山内 海
――の指導は、すっかり夜更けと言ってもいいこの時間までノー温泉で続いてしまった。
「……無理です、もう無理です無理なんです」
うつろな瞳でうめき声をあげる刀。
心を鬼にして勉強に付き合ってきた千歳と海も、さすがに不憫になってきた。
「このへんにする? ……刀君も限界みたいだし」
『そうだね。ずいぶん遅くなったけど、温泉いこうか』
この時間なら貸し切りにしても迷惑かけずに済むかも、と海は千歳を伴って立ち上がる。
『刀くん、さきにいってて。わたしたち貸し切り札かりてくるね』
「了解!」
さきほどまでの白目っぷりはどこへやら、刀は弾けるように立ち上がると部屋を出て行った。
鍵を閉め、千歳は彼の後ろ姿に思わずくすくす笑いを漏らす。
「刀君、さっきまで死にそうとかいっていた割には温泉っていったら少し元気になったみたい」
『ほんとだね。千歳ちゃんもお疲れ様、ずっと教えてたもんね』
「海ちゃんもね。ああ、なんだか肩が凝ったわ」
『さすがに私たちもくたくただね』
「そうね。温泉入ったら夜更かしないで、早めに布団に入るほうがよさそう」
受付で借りた貸し切り札をかけ、海と千歳は赤い暖簾をくぐった。
脱衣場には誰もいなかった。
気温が下がってきたためか、露天風呂はもうもうと白い湯気に包まれていた。
雪がひとひら、ふたひら、空から落ちてきては、湯に溶ける。
バスタオルで前を隠しながら入ってきた千歳と海は、足先をそっと湯につけた。
ちょうどいい湯加減らしい。
と、そのとき、猿がききっと鳴いて藪の中から湯の中に飛び込んだ。
さすが猿の湯、と海は感じ入る。
となると湯煙の向こうに見える影も猿だろうか。
とぷりと肩まで湯につかると、ふうっと気持ちよさそうに一息ついて千歳が言った。
「雪見ながら温泉とかやっぱりいいわね」
海は、うん、と頷く。スケッチブックは持ち込めないのでボディランゲージで意思疎通を図るしかない。
もっとも千歳なら気ごころ知れているので、頷いただけでも、同じ気持ちなのはわかってくれそうだ。
「刀君、そっちの湯加減どう?」
千歳は壁の向こうに声をかける。
「あー生き返る、温泉は命の洗濯だよ、マジ最高」
刀の幸せそうな声。
だがそれは、壁の向こうではなく、とても近く、湯気の中から聞こえた気がした。
海がよくよく目を瞠れば、湯気の中にいた影は猿なんかではなく、刀のぼさぼさ頭ではないか。
(なんで!? こっち女湯だよ!?)
「ちょ、刀君、なんで、女湯にはいってのよ!」
千歳は思わず鼻まで湯に浸かる。
「いやそっちこそ! 」
「それはこっちのセリフよ!」
よもや、刀が入る直前に、
夕鈴 翼
が悪戯心をおこして暖簾を入れ替えていたとはつゆ知らず。
しかも刀が入った後、翼が暖簾を戻していたなんて、お釈迦様でも気づくめえと来たのものだ。
刀が勉強疲れで朦朧としていたのも一因であったろう。
いろんな運命のいたずらの結果、三人は湯船の中でばったり遭遇することになったのである。
「待て待て、俺ちゃんと男湯に入ってたよ! 入ってたよな? 故意じゃない、信じてくれ!」
「間違えた? そんな漫画みたいなこと……」
でも、刀君なら……。
千歳にも海にもそう思わせてしまうナニカが、刀にはあるのだろう。
そして刀も考えていた。
この状況は故意ではないが、男として本意ではある。
(ここで出るのは勿体なさ過ぎだろ、裸の二人が目の前にいるんだぞ!)
旅館の人に見つかったら拙いし、二人にも悪いから早く出ないといけない気はする。だが、この二人なら、この雰囲気なら、お願いしたらOKしてくれるんじゃないか?
そんなわずかな期待を胸に、言うだけのことは言ってみる。
「このまま一緒に入ってて良い?」
言っちゃった!
普通なら一蹴されるであろうお願いであった。
しかし千歳と海も勉強疲れがあったのかもしれない。頭が妙な方向に働いた。
(ここで騒いだから最悪刀君は犯罪者に……)
(刀くんを前科持ちにするわけにはいかない……)
ふたりは無言でアイコンタクト。
「とりあえず、あっち向いて」
千歳に言われるがまま、背中を向けた刀に、海がタオルで目隠しをする。
「これなら……許してあげる」
なんて……なんて素敵な女友達だろう! 顔(とかいろいろ)が見えたらなお申し分なかったが、この状態だって悪くない。二人が傍にいてくれるのは変わらないのだから。
「見えてないわよね?」
「見えてないよ」
「ならいいわ」
千歳と海がすぐ近くにいる気配がする。
ぬるい水面の揺れるのが、じかに肌で感じられる。
幸せだ。
とそのとき、背中につうと指先の感覚。
「わ、くすぐったいよ」
刀はびくっと身体をよじった。
「小山内さんよ」
千歳の言葉だけで、刀は海が、自分と話そうとしているのだとわかった。
背中に文字を書いて、意思を伝えようとしているのだろう。
だが、目隠しの状態で背中をなぞられるというのは、……ぞくっとする。文字を読み取るどころじゃない。
「あっ……」
上ずった声を上げる刀に、海は思わず指をひっこめた。
(もしかして目隠ししてるから敏感になってる?)
海は愉快になってくる。こんどはわざと、刀の背骨に沿って指先を這わせる。
「わ、それだめ……っ!」
(……ちょっと可愛いかも)
するとさすがに千歳が制した。
「ちょっと小山内さん、刀君で遊ばないの……」
(千歳ちゃんもやってみる?)
海は刀の背中を指さす。
「まぁ、確かにちょっと面白そうだけどダメよダメ」
「おい……ふたりとも、なにやってるんだよ」
「なんでもないわ」
千歳が空を見上げる。
ちょうど天頂近くの雲が割れて、雪と星空の両方がダイヤモンドダストみたいに輝いていた。
「……あ、見て。星空が凄く綺麗」
「うん、綺麗だな」
海だけでなく、目隠しをした刀も声に釣られて見上げているのには、少し笑ってしまった。
しかも、綺麗だなんて。
「刀君、本当に見えてないよね?」
「見えないけど。わかるよ。二人も綺麗だよ、見えないけど」
「ほんとに、もう……」
調子いいんだから。
千歳は海と目くばせしあって肩を竦める。
降るような星空の下、湯けむりは三人を包み込んでいる。
なんて素敵な冬の夜。
幸せな、三人の時間。
今日の日は一期一会だけれど、こんな時間がまたあればいい。少年少女で、いられたらいいのに。
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担当ゲームマスター
笈地 行
シナリオタイプ(らっポ)
ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
定員
30人
参加キャラクター数
30人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2016年05月14日
参加申し込みの期限
2016年05月21日 11時00分
アクション投稿の期限
2016年05月21日 11時00分
参加キャラクター一覧
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