【お正月】ドキッ☆水着だらけ！新春最後の聖戦｜リアクション

【お正月】ドキッ☆水着だらけ！新春最後の聖戦

￥美少年チーム

「最初は小さめの雪だるまで行こうか」
　ロベルトの声に、衛は頷きました。
「肩慣らししてから、でっかいのに挑戦しましょう！」
　雪だるまをシャベルで壊すと、ポチ袋や引換券が出てきました。
「おおっ！　開けますよ……って5円かよっ！」
　ポチ袋を開けた衛ががっくりし、ロベルトもため息をつきます。
「こっちの引換券はアイスだよ……考えただけで寒くなった」
「やっぱりでっかいのいきましょう！」
「そうだね、サンマさんにするかい？」
「あっちは女子が行ってるみたいだし、巨大雪だるまで！」
　二人は巨大雪だるまへ向かいました。
「近くで見るとでかいな……」
　１５２ｃｍの衛は５ｍもある雪だるまを見上げ考えていましたが、ポンと手を打ちました。
「頭と胴体のつなぎ目にスコップ入れつつテコの原理で落とせば崩しやすいんじゃねえかな」　
「いいアイディアだね」
　ロベルトが笑顔で頷きます。
　しかし５ｍの巨大雪だるま、つなぎ目さえかなり上です。
「問題はどうやってスコップ届かせるかだけど……そうだ！」
　何を思ったか、衛はロベルトに背を向けしゃがみました。
「ロベルトさんはい、どーぞ！　乗っかっちゃってください！」
「え、ええ！？　いいのかい？」
「肩車で身長かさまし作戦です！！」
（ロベルトさんくらいの重さならいけるだろ）
　衛はドヤ顔で肩車を勧めました。
「なるほど……」
　作戦を理解したロベルト。
（うっ後輩に支えてもらうのは先輩としてのプライドが……）
　とは思ったものの。
（……でも肩車してもらっちゃうビクンビクン）
「それじゃ、お言葉に甘えて……」
　せっかくの申し出を無駄にできないと、ニヤつきそうになる口元を引き締めロベルトは衛の肩に乗りました。
　頭と胴体の間、首あたりを狙って掘っていくロベルト。
（ぐっ……結構重いか？）
　一方衛のドヤ顔は消え、若干足が生まれたての小鹿のようになっていました。

　都府楼暦は、大きな雪だるまを狙いにやってきました。
「普通にやっても時間掛かりそうですし、下の接地面を削ってバランスを崩し、自壊するのを狙って……あれは！？」
　美少年チームの様子に気づき、目を輝かせます。
（ショタっ子が外人少年を肩車……これは、いけない恋の芽生え？！）
　シャベルで地道に雪を削りつつ、食い入るように眺めます。

（卯木に肩車してもらったはいいけど……なんか揺れるな……）
　しばらくたってロベルトは衛の様子に気づき、言いました。
「重そうだね、ごめん！　交代するよ」
　うぐぐっ、というような顔をした後、衛はしゃがみました。
「ありがとうございます」
　小さな声で悔しそうに言います。
「大丈夫だよ卯木、気にすることはないんだ。さあ、遠慮なく乗ってくれ！」
　駄々漏れになりそうな下心を何とか隠し、綺麗な先輩フェイスでロベルトは言いました。
（よく考えたら水着姿の美少年のお尻が僕の両肩に乗り足が僕の頭を挟む……最高だね！）
　肩車をしてしまえば、熱心にシャベルを使う衛にニヤついた顔を見られる心配もないのでした。

（間違いなくいけない恋だわ！　赤毛の彼のほうは確信犯ね！）
　この光景を脳裏に焼き付けるべく固唾を飲んで見守る暦は、けれど小さくクシャミをして我に返りました。
「萌える展開とはいえ、やっぱり寒いわね……そうだ、かまくら」
（かまくらに焚き火とか熱源があれば、それでシャベルの刃を火傷しない程度にあぶり、ヒートシャベルで雪だるまを一気に溶かしましょう！）
　と考えた暦は、かまくらがあったほうへ向き直りましたが。
　かまくらはすでに跡形もなく、２枚の座布団が雪をかぶっているだけでした……
（なんてこと！　ああ、人目を忍びかまくらで暖め合う美少年の図が……！）
　熱源はなかったようですが、暦の怒りはすでに別な方向に向いていました。
　仕方なく暦は再び美少年ウォッチをしながら雪を掘り続けるのでした。