【お正月】ドキッ☆水着だらけ！新春最後の聖戦｜リアクション

【お正月】ドキッ☆水着だらけ！新春最後の聖戦

￥大きな猫の雪像

（さて。お年玉だけど、私的には隅っこの猫のやつ。あれが怪しいと思うのよね）
　というわけで、桃川圭花はまっすぐ大きな猫の雪像に向かいました。
　３ｍの雪像の頭の上には座布団が敷いてあり、そこにふてぶてしい態度で太った野良猫が寝ています。
　雪像の周りに他に人の姿はありません。みんな野良猫に撃退されたのか、それとも猫好きで手が出せなかったのか。
「……って、この猫。ボン太だっけ？」
　圭花はかつてボン太の恋わずらい事件に関わったことがあります。　
　懐かしく思いながら近付く圭花に、ボン太は起き上がり毛を逆立ててフシャーッ！　と威嚇しました。
「ふーん。やる気なのね。でも私だって、そう簡単に諦めるつもりはないのよ……！」
　肌の露出が多い水着姿のままひっかかれたらかなり痛いことになりそうです。皆が敬遠するのも無理はありません。
（猫に運動能力で勝てる気はしないけど）
　度胸満点の圭花、襲い掛かってきたボン太の爪をを間一髪でかわしました。
「待ちなさい、いたた……」
　何度かすり抜けられ、手をひっかかれたりしながらぐるぐる追いかけっこし、ついに圭花はボン太の首根っこを摑まえました。
　握力が強い圭花、こうなればこっちのものです。
「別に手荒なことをしようってんじゃないのよ。寒いでしょう？　私もだいぶ全身で寒さを味わってるから分かるわ……」
　ボン太を捕まえたままかまくらを探し、それがすでにないことに気づきましたが、圭花はひるみません。
　唱華の用意したタープテントへ向かいます。
「選手は立ち入り禁止？　でも猫は選手じゃないわよね」
　圭花はボン太を、暖かいテントの入り口に放り込みました。
　さっと身構え着地したボン太に言います。
「この誘惑、ハンパじゃないでしょ？　まして猫のあなたが抗える？」
　あたりを見回したボン太は、ゆっくりとストーブの前に進みました。
　相変わらずふてぶてしい様子で、ストーブの前に寝そべり、満足げに喉を鳴らし始めました。
「さあ、早く戻って掘らなくちゃ」
　誰かに取られては大変です。
　
　しばらく一人で奮闘していた圭花のシャベルに、手ごたえがありました。
「こ、これは！」
　目の色を変えた圭花が慎重に雪をかき出します──
　ポチ袋の中身に、圭花がニヤリ、と笑いました。
　
　

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