【お正月】ドキッ☆水着だらけ！新春最後の聖戦｜リアクション

【お正月】ドキッ☆水着だらけ！新春最後の聖戦

￥争奪戦、スタート！　かまくら崩壊！

「準備はいいか？　それでは、お年玉＆お年賀争奪戦、よーい、スタート！」
　ＯＢが振り下ろしたのはチェッカーフラッグではなく、真央に渡された褌でした。

「岩盤より柔らかいし」
　水を得た逆子のように（？）華麗なシャベルさばきで雪だるま群を粉砕する瓢。
　雪だるまから出てきたおだんごに、むしゃあ！　とかじりつきます。
「猫鳴館の欠食童子はワサビなど気にしないよぃ」
　次の雪だるまから出てきたのはアイス引換券。
「さあ、美味しいアイス引き換えるよ」
　やってきたＯＢたちにアイスに交換してもらい、これもむしゃあ！　とかぶりつきます。
「欠食童子の胃袋は寒さも気にしないよぃ」
　ポチ袋に入っていた５円玉にも、むしゃあ！
「猫鳴館の欠食童子の胃袋なら銅もいけるはず。岩盤よりは硬いかねぇ」
　いや、さすがにそれはやめたほうがいいのでは……
　いろいろバケモノじみた活躍の瓢でした。

　皆が一斉に動き出す中、目を閉じてまずは呼吸を整えて気を練るのは蛇那伊。
　練り上げた気を全身に巡らして身体を戦闘モードに切り替えます。
　気で筋肉の活動を活発化させると、鍛え上げた体は湯気が出る程の熱を発し始めるのでした。
　
　真央は羽織っていたジャージを脱ぎ捨て、走り始めます。
　毎朝朝練を欠かさない陸上部の真央、速い！
　かまくらへ向かって一直線。
　体を温めようというのでしょうか？
「寒さなんぞに負けられないのだみんなで凍るのだヒャッハァ」
　スコップを振りかぶりジャンプすると、かまくらに一撃！
「あら、考えることは同じみたいね」
　後から追いついた蛇那伊が、全身を使って豪快にドカーンとかまくらを粉砕します。
「寒空の下、水着で動き回る事が競技の醍醐味と見たり！　それをかまくらに避難して寒さを凌ぐなどさせないわよ！」
「退かぬ媚びぬ省みぬなのだ猫鳴館寮生に暖など不要バッチ来い正月禊寒中水泳～っ」
　真央も、意味不明なことを叫びまくって誰も寒さから逃げられない状況を作っています。
　ドカーンバキーン！
　蛇那伊のボディアタックに、大きなかまくらはあっさり粉砕しました。
　そんな蛇那伊に雪玉を投げてお年玉の拾得を阻止しようとする真央。
「志は同じでも負けられぬのだ～」
「効かないわね」
　蛙の面に水、ならぬ雪玉。蛇那伊は平然と受け流し、かまくらに隠されていたビニール袋を手にします。
「寝子饅頭の菓子折ね。ありがたくいただいておくわ」
「ううっやられたのだ、次行くのだー！」
　真央はすぐに次を目指し走り出します。
「半分あげましょうか？」
「いただくのだー！」
　後を追う蛇那伊の申し出に、真央は元気を取り戻しました。

　大物ではなく、普通の雪だるまから狙い始めたのは橘明里です。
「きっと美味しいものが出て来るのなの。がんばるの」
　そう言いながらシャベルで雪だるまのおなかをくりぬいていきます。
（みかんとかお肉とか、いっぱい入っているものはみぃんなで分けて食べよう。
　決して料理ができないからっていういいわけではないのなの。けっして）
「あったなの！」
　明里の大きな赤い目が輝きました。
　ビニールに包まれたおだんごです。
『食べるべし』
　とカードがついていました。
「やったなの。いただきますなの！」
　さっそくおだんごを頬張った明里ですが、次の瞬間。
「か、辛いなの～！」
　ツーンとする辛みが鼻から脳天へと突き抜けました。
「わさびたっぷりなの……」
　あふれる涙と鼻水を拭きながら、明里は果敢に次の雪だるまに向かいます。
「きっとこの次こそいいものが入ってるの」
　しかし次に見つけたのは。
「アイス引換券なのー！」
　ＯＢたちがすばやくアイスを持ってきます。
「いただきますなの……さ、さむい～！」
　わさびの口直しには美味しいですが、この状態で食べては震えが止まりません。
「罠だと気付いてもたべずにいられない。きっとそういうふうにできているのなの。悲しい話なのなのね」