ある日の出来事。-1月-｜リアクション

ある日の出来事。-1月-

　今日はいい天気だなあ、と小山内海は休み時間、廊下の窓から外を見て思った。
　雪の白銀が、太陽に反射して燦めいているのがまた、いい。
　あたり一面の銀世界。白い世界は描くのが難しいけれど、描いて残したくなるような素晴らしい景色だ。
　雪は降ったが日は出ているためそこまで寒くはなく、まさにスケッチ日和といえる。
　昼休みにでもスケッチしに行こうかな？
　でも、昼休みには溶けたり踏まれたりしてグチャグチャになっちゃうかな？
　そう思うと少し葛藤したが、サボるという選択肢は選べず、昼休みになったらいい場所探しをしてみよう、と海は結論づけた。
　そのタイミングでふと中庭を見ると、御幸たちが出てくるのが見えた。もしかして、という考えが頭をよぎる。
（サボりかな？）
　まあ、気持ちはわからなくはない。だってこんなにいい天気で、誰にも荒らされていない大地があるのだから。
（でも、ちょっとだけでいいから、綺麗なところを残しておいてもらいたいな）
　思っている間にも御幸たちは中庭で雪遊びを始めた。どうやら中庭に陣取って遊ぶらしい。これなら中庭以外は綺麗かも、と少しホッとする。
　ホッとした反面、学級委員としてサボりを注意すべきかと悩んだ。けれど、クラスも違うしせっかく楽しそうなのだから野暮なことをするものでもないか、と思い直し、見なかったことにしてあげた。きっと、それがいい。
　処遇を決めたタイミングで、本鈴が鳴った。もう休み時間も終わる。次の授業の準備はしてあるから、戻るだけで大丈夫だ。
　昼休みまで、綺麗な景色が残っていますように。
　そう願いながら、海は教室へと急いだ。