九夜山ミステリー・凍り付いた山荘の悲劇～犯人はフジコ～｜リアクション

九夜山ミステリー・凍り付いた山荘の悲劇～犯人はフジコ～

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『フフ、隣ノ部屋ネ』
　フジコは胸部装甲から伸びたミサイル・ポッドを納めた。その目前では、月の部屋の風呂場が破壊し尽くされている。
　水の溢れ出す風呂場には、黒焦げになった月の身体が横たわっているのが見えた。フジコはそれを確認して、部屋を出ていく。
「……こんな所で死んでたまるか」
　月はベッドの下から這い出してきた。黒焦げ死体を演じていた影の立体化を解き、部屋を出て階下へと向かう。
　相変わらず体調は悪いし、触手の感覚が身体に残ってコンディションは最悪だった。
　本当ならシャワーでも浴びたいが、そんな余裕はない。
「なんとしてでも生き延びる。私は帰るんだ」
　家で待ってる人のことを思いながら心に活を入れ、月は一階のダイニングルームの扉を開けた。

「――ふう。なんだ月ちゃんか」
　包丁とフライパンを構えていた武道は、入ってきた月の姿に安堵した。
「他の人？　武器や情報の収集に行ってるんだ。もう少ししたら戻ると思う」
　疲労困憊といった様子の彼女を気遣いつつも、武道は生き残るために必要なことを聞いていく。
「それより、フジコ先生と会った？　攻撃方法とか手掛かりが分かっていると嬉しいんだけど」
「……自室が爆撃を受けました」
「――はい？」
　表情の固まる武道。彼の不安をかきたてるように、上階から爆撃音と震動が伝わってきた。