九夜山ミステリー・凍り付いた山荘の悲劇～犯人はフジコ～｜リアクション

九夜山ミステリー・凍り付いた山荘の悲劇～犯人はフジコ～

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「如月君、覗かないでくださいね！」
　服を着替えに部屋へ向かっていた梢は、途中で庚と合流していた。自室の前で彼に念を押す。
「覗かないでくださいね！」
「分かってる」
「そんなこと言って、『二度も言った。キタコレフラグ！』とか――」
「思うか。早く着替えてこい」
　赤い液体で服が汚れた梢。クローゼットから替えの服を取り出しながら、自身の死因を思いだす。
「『着替え中に冷たくなって死ぬ』かー。アレですね、ホラー映画でよくあるお色気シーン！」
　カメラ目線気味に、ポーズだけセクシーに決める梢。
　ポーズだけセクシーに決める梢。
「……今なんか、悪意あるテロップが流れた気が」
　さすがに外に人を待たせているので、真面目に着替えだす梢。鏡を見ていた顔が、ふと何かに気付く。
「え――もしかして」
　鏡に映った窓を反射的に見る。
　その窓に――

「きゃあああああ！」
　部屋の中から悲鳴と、窓ガラスが割れる音がした。庚が愕然とする。
「なっ……屋敷野！」
　ドアを開け、中に入った庚が見たのは割れた窓だった。梢の姿はどこにもない。ただ風が室内を荒らしてゆく。
「屋敷野！」
　庚が窓際に駆け寄ってみると、眼下の雪地に重そうな調度品が落ちていた。
　雪に埋もれたその調度品の周りに、赤い色が広がっていく。
　庚は反射的に、窓から乗り出して上を見た。
　屋根の上から庚を見て、ジェノサイド☆フジコが笑っていた。
　その瞳が光る。
「！」
　庚が咄嗟に中に戻らねば、レーザーに貫かれていただろう。
「……の野郎」
　歯噛みしつつ、それでも庚は冷静に考え、ダイニングに戻るしかなかった。