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- 学年：職業
- 00月00日生 00歳
- AAA000000
九夜山ミステリー・凍り付いた山荘の悲劇～犯人はフジコ～
●
「ここが、フジコの私室か」
武道たちを迎えたのは、異様な光景だった。
フジコ。フジコ。フジコ！
ショーケースのように、部屋にはたくさんのフジコが横たわっている。
「さしずめ量産型フジコか」
サキリが戦慄をにじませる。
「あれが、地下への入り口かしら」
葉月が指差したのは部屋の奥、火のない暖炉に梯子が見えた。
「よし、行こう」
『ダメヨ。ダメ、ダメ』
部屋中のフジコが唱和して動き始めた。サキリが手近な一体をチェーンソーで両断して、叫ぶ。
「どうやらアイツほど強度はないみたいだ。なら僕が食い止める。瞬間移動で追いつくから距離を稼いでくれ」
「すまない！」
武道たちが地下へ降りていく。サキリは瞬間移動で背後からのフジコナックルをかわすと、身体を旋回させてチェーンソーでフジコの首を狩った。
「来い。仲間はもう死なせない！」
量産型フジコが雪崩となってサキリに襲いかかった。
梯子を降りると、乏しい照明の中、むき出しの地面が見えてきた。
「葉月ちゃん、走れる？」
「ええ」
葉月はうなずくが、体力的に限界なのは明らかだった。
「足手まといになりそうなら、切り捨てて」
「そんなことするわけないじゃん☆」
明るい笑顔で返す武道。
だが二人とも、何か予感を感じていた。
数十分ほど走っていると、崖が現れる。
「五メートルくらいか。慎重に降りないとな」
下を確認していた武道は次の瞬間、葉月に突き飛ばされた。
「ごめんなさい」
悲鳴を上げて落ちていく彼の姿を、葉月は見ることができなかった。
すでに後方からの冷凍気体で、身体の殆どが凍り付いている。
なぜ自分ではなく、他者を助ける道を選んだのか。
それを不思議に思いながら、葉月は背後の襲撃者に声をかけた。
「泣いたり、悲鳴をあげたりしない。人として死ぬのは嫌よ。物として壊されてあげる。それが私の答えよ」
殺人鬼に毅然とそう言い放ち、葉月は目を閉じた。
「本当に冷たいわ……」
それを最期の言葉にして。
「くそっ……！」
立ち上がった武道は、崖から姿を見せたじぇのさいだー☆フジコを見て、すべてを悟った。痛む身体をおして、走り出す。
『ルンタッタ～ルンタッタ～♪』
後ろからは軽快な死の息吹が追ってくる。
武道には分かっていた。フジコが遊んでいることが。
あとどれくらい走れば逃げ切れる？
あとどれくらいで夜明けだ？ 数分か？ 数時間か？
みんな、みんなアイツに――。
『ツッカマエタァ』
首筋にフジコの息がかかった。
「う、おおおおお！」
すでに道は闇だった。武道は反転して、全霊の力をもって見えざる敵へと拳を突きこんだ。
武道が次に目覚めた時、すでに朝陽が室内に差し込んでいた。
「ここは……」
山荘の中か？
「先輩、気付いたんですか！」
刀や庚、サキリが毛布を纏った姿でのぞき込んでくる。
「あ、あれ、みんな？ 生きてたのか？ 殺人鬼は？」
武道の声に、全員が心配そうに顔を見合わせた。
「覚えてますか？ 昨日燃料が尽きちゃって、暖房なしで一夜を過ごしたんです」
「みんなで集まって、ここで一夜を明かしたんですよー」
梢がそう説明した。
「来島とくっつき合うなんて御免だったけどな」
「何言ってんだよ。お前から来たんだろ」
悠月とアカリの喧嘩が始まる。
「あたしは楽しかったけどな～」
「私はもう嫌だ」
明るい未沙とは反対に、月は不機嫌そうな顔。葉月が言った。
「あなたが低体温症で意識を失って、みんな心配したのよ」
「そうだったのか。ありがとう。みんなも無事でよかったよ」
どうやら、悪夢を見ていたようだ。
バリケードのように倒れた調度品や、氷のこびりついた壁を見ながら、武道はそう自分に言い聞かせた。
「良かったわね♪」
真横から声が聞こえて、武道は自分に添い寝している人物を見た。
「オハヨウ♡」
武道の絶叫が山荘に轟いた。
【ＥＮＤ】
「ここが、フジコの私室か」
武道たちを迎えたのは、異様な光景だった。
フジコ。フジコ。フジコ！
ショーケースのように、部屋にはたくさんのフジコが横たわっている。
「さしずめ量産型フジコか」
サキリが戦慄をにじませる。
「あれが、地下への入り口かしら」
葉月が指差したのは部屋の奥、火のない暖炉に梯子が見えた。
「よし、行こう」
『ダメヨ。ダメ、ダメ』
部屋中のフジコが唱和して動き始めた。サキリが手近な一体をチェーンソーで両断して、叫ぶ。
「どうやらアイツほど強度はないみたいだ。なら僕が食い止める。瞬間移動で追いつくから距離を稼いでくれ」
「すまない！」
武道たちが地下へ降りていく。サキリは瞬間移動で背後からのフジコナックルをかわすと、身体を旋回させてチェーンソーでフジコの首を狩った。
「来い。仲間はもう死なせない！」
量産型フジコが雪崩となってサキリに襲いかかった。
梯子を降りると、乏しい照明の中、むき出しの地面が見えてきた。
「葉月ちゃん、走れる？」
「ええ」
葉月はうなずくが、体力的に限界なのは明らかだった。
「足手まといになりそうなら、切り捨てて」
「そんなことするわけないじゃん☆」
明るい笑顔で返す武道。
だが二人とも、何か予感を感じていた。
数十分ほど走っていると、崖が現れる。
「五メートルくらいか。慎重に降りないとな」
下を確認していた武道は次の瞬間、葉月に突き飛ばされた。
「ごめんなさい」
悲鳴を上げて落ちていく彼の姿を、葉月は見ることができなかった。
すでに後方からの冷凍気体で、身体の殆どが凍り付いている。
なぜ自分ではなく、他者を助ける道を選んだのか。
それを不思議に思いながら、葉月は背後の襲撃者に声をかけた。
「泣いたり、悲鳴をあげたりしない。人として死ぬのは嫌よ。物として壊されてあげる。それが私の答えよ」
殺人鬼に毅然とそう言い放ち、葉月は目を閉じた。
「本当に冷たいわ……」
それを最期の言葉にして。
「くそっ……！」
立ち上がった武道は、崖から姿を見せたじぇのさいだー☆フジコを見て、すべてを悟った。痛む身体をおして、走り出す。
『ルンタッタ～ルンタッタ～♪』
後ろからは軽快な死の息吹が追ってくる。
武道には分かっていた。フジコが遊んでいることが。
あとどれくらい走れば逃げ切れる？
あとどれくらいで夜明けだ？ 数分か？ 数時間か？
みんな、みんなアイツに――。
『ツッカマエタァ』
首筋にフジコの息がかかった。
「う、おおおおお！」
すでに道は闇だった。武道は反転して、全霊の力をもって見えざる敵へと拳を突きこんだ。
武道が次に目覚めた時、すでに朝陽が室内に差し込んでいた。
「ここは……」
山荘の中か？
「先輩、気付いたんですか！」
刀や庚、サキリが毛布を纏った姿でのぞき込んでくる。
「あ、あれ、みんな？ 生きてたのか？ 殺人鬼は？」
武道の声に、全員が心配そうに顔を見合わせた。
「覚えてますか？ 昨日燃料が尽きちゃって、暖房なしで一夜を過ごしたんです」
「みんなで集まって、ここで一夜を明かしたんですよー」
梢がそう説明した。
「来島とくっつき合うなんて御免だったけどな」
「何言ってんだよ。お前から来たんだろ」
悠月とアカリの喧嘩が始まる。
「あたしは楽しかったけどな～」
「私はもう嫌だ」
明るい未沙とは反対に、月は不機嫌そうな顔。葉月が言った。
「あなたが低体温症で意識を失って、みんな心配したのよ」
「そうだったのか。ありがとう。みんなも無事でよかったよ」
どうやら、悪夢を見ていたようだ。
バリケードのように倒れた調度品や、氷のこびりついた壁を見ながら、武道はそう自分に言い聞かせた。
「良かったわね♪」
真横から声が聞こえて、武道は自分に添い寝している人物を見た。
「オハヨウ♡」
武道の絶叫が山荘に轟いた。
【ＥＮＤ】
あとがき
担当マスター：
叶エイジャ
ファンレターはマスターページから！
こんにちは。叶エイジャです。
今回は『九夜山ミステリー・凍り付いた山荘の悲劇～犯人はフジコ～』にご参加いただき、ありがとうございました。
生れてはじめてのミステリーでした。
謎の怪事件。渦巻く陰謀。謎の犯人に完璧に思えた犯行のトリックは……！？
お前何一つ書いてないじゃないか、と言われそうです……。
正直、結末だけしかミステリーじゃない気もします。
結末どうしようと思った時点で、限界文字数を突破していました。
泣く泣く削ったシーンも多々あったのですが、一番のショックは「じぇの」と打ったら、パソコンが「じぇのさいだー☆フジコ」と変換してくれるようになったこと。
どうしよう。
今回、リアクション提出が遅れてしまい申し訳ありません。
改めまして、ご参加、ありがとうございました。
今回は『九夜山ミステリー・凍り付いた山荘の悲劇～犯人はフジコ～』にご参加いただき、ありがとうございました。
生れてはじめてのミステリーでした。
謎の怪事件。渦巻く陰謀。謎の犯人に完璧に思えた犯行のトリックは……！？
お前何一つ書いてないじゃないか、と言われそうです……。
正直、結末だけしかミステリーじゃない気もします。
結末どうしようと思った時点で、限界文字数を突破していました。
泣く泣く削ったシーンも多々あったのですが、一番のショックは「じぇの」と打ったら、パソコンが「じぇのさいだー☆フジコ」と変換してくれるようになったこと。
どうしよう。
今回、リアクション提出が遅れてしまい申し訳ありません。
改めまして、ご参加、ありがとうございました。
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
-
- 2016年04月23日
- 参加申し込みの期限
-
- 2016年04月30日 11時00分
- アクション投稿の期限
-
- 2016年04月30日 11時00分
