九夜山ミステリー・凍り付いた山荘の悲劇～犯人はフジコ～｜リアクション

九夜山ミステリー・凍り付いた山荘の悲劇～犯人はフジコ～

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「来たか。逝った奴らの弔いをしてやる」
　庚が額に触れる。同時に扉が押し開かれ、じぇのさいだー☆フジコが入ってきた。
「よし、ここで足止めしつつ、地下に行こう！」
　武道がフライパンを投擲。頭部にあたってのけぞるフジコの足元に、サキリが洗剤を撒いてゆく。さらに刀が剣をフジコの足に叩きつけた。金属音と火花。切断はできないが転倒させる。
「とどめだ」
　庚が振りかぶり――右の肩と腕をレーザーが貫通していった。
「……！」
「この……斬れろよ！」
　苦鳴を上げる庚。刀が【加速】と同時に斬撃。フジコの頭や体が操り人形のごとくのたうち後退するが、いかなる材質なのか傷ついたのは剣の方だった。
『無駄ヨ。私ノ肉体ハ“オリフジコン”デデキテルモノ』
「なんだよそれ！？」
『貴方達……厄介ネ』
　フジコの口から極低温の凍気――そうとしか言えない零度下の気体が吹きだした。
　それは触れた物を瞬時に凍りつかせていく。
「……さん」
　逃げ遅れた月が目をつぶり――そのまま氷の彫像と化した。
「志波先輩、みんなと地下へ行ってください」
「何言ってるんだ刀く――！」
　武道が気づいて言葉を失った。両足から凍っていく刀が、這ったまま加速。フジコに特攻を仕掛ける。
「……く！」
　武道は無事なサキリと葉月とともに、フジコの私室へと向かった。

「逃げ遅れたか」
　庚の周りはどんどん凍結していく。じきに庚も凍るだろう。
「一矢は報いるぜ」
　しかしいかんせん、フジコまでの距離が遠い。せめて踏み台があれば――
「これ、入用じゃないですかねー」
　その時、空間に無傷の調度品が現れて、フジコまでの道を作る。
「屋敷野！」
「死んだふりして蝶になってたんですが、ミスりましたねー」
　現れた梢が肩をすくめた。すでに凍り始めている。
「気体ごと囲まれて、もう蝶化しても逃げられません」
「悪いこと考えるからだ」
　庚が走った。梢の援護を受けながら、右手を支えて再びろっこんを放ち――

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