冬の日。新たな始まり｜リアクション

冬の日。新たな始まり

＜普通科１年４組＞

　１年４組のＨＲは、担任久保田美和の人柄を反映してか明るく楽しく進行していた。
　先生の話を聞きながらも、綾辻綾花は始業式で司書の早川珪とセットで怒られた事を思い出して赤くなったり、神野美野梨は放課後に生物室に持っていく写真やレポートに不備はなかったか考えたり。
　元気で生き生きとした先生やクラスメイトの雰囲気を感じながら、恵御納夏朝は学校が始まった事を実感していた。

「さてさて、お楽しみの宿題提出の時間だよ～！」
　美和の楽しそうな声が号令となり、夏朝もどっさりとあった宿題を、のんびりと提出した。朝彼女に泣きついてきた桃川圭花と違って、全部ちゃんとやっているようだ。
　席に戻りながら夏朝はあれ？　と気が付いた。
（……そういえばうっかり猫さん描いちゃったページがあったけど……大丈夫かな？）
　猫が大好きな夏朝は、宿題をやっている時についつい隅っこに描いてしまったのだ。今更また提出物をひっくり返す訳にもいかず、夏朝は探すのを諦めた。
　後日、夏朝の描いた猫さんは、美和に『So Cute!』とコメントと花丸を付けられ返ってくる事となる。

　宿題提出も一段落した４組。生徒が美和に水を向けた事もあり、恒例の恋愛話となる。
　先生の一冬のアバンチュール（？）を聞きながら、夏朝は美和の自宅の大掃除を思い出していた。
（……お部屋はちゃんと片付いたままなのかな）
　夏朝は昨年美和の自宅の大掃除（掃除というよりは戦闘だったが）を手伝ったのだが、なかなかの汚部屋っぷりだった。……あの後散らからずに維持できてるといいけど。
　心配ではあったが、教卓に突っ伏して泣き始める美和に聞くに聞けない夏朝であった。