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約六十キロメートル。
それが
渥美 ニナ
が降り立ったロンドンの街から自転車で走って向かう距離だった。飛ばさずにゆっくりと走って大体3時間強といったところだろうか。
自転車で3時間ともなれば、一瞬たじろいで自動車を使おうとする者もいるだろうが、けれどサイクリストであるニナにとっては大した距離では無い。
「二十分の一ですからね。への屁の河童ってものですよ」
彼女はそう言って、現地でハイヤーした自動車を使おうと言う提案を一蹴した。
二十分の一。これはサイクリストとしての彼女の目標である、パリ・ブレスト・パリという一千二百キロメートルを走行する世界最古の自転車イベントと比較しての言葉だ。
そして事実、彼女の余裕に相違はなかった。
「楽過ぎるぐらいですね。地図で経路を確認しながらでも行けちゃいますよ」
最後の経路を確認して、地図をリュックに背負い込んで自転車を進める。今回は多少であるが荷物を積載しての走行だったため、ニナは荷積みに不向きな愛機のロードバイクではなく、念の為に耐久性に優れるマウンテンバイクを持ち込んでいた。
「マウンテンの重いこと重いこと。ロードにばっかり乗ってるとこっちが重く感じちゃいますね」
車体からして軽いロードと比較して、マウンテンは山道などの悪路も走破し得るためのサバイバビリティと車重を有している。ゆえにロードに乗っている時ほど風になるかのような速度は得られないが、それでもやはり自然豊かなロンドン郊外の道路を走り抜けるというのは気分が良いことに変わりはなかった。
「イヤッホー!」
人気のない緑の多い坂を下りながら、思わずそう叫んでしまう。快適な旅だった。
しかしこの旅も単なる旅行というわけではなく、もちろん彼女の鍵師としての仕事もあってのことだ。つい一月ほど前に、家族の伝手でイングランドに住む友人の宅にある金庫を解錠して欲しい、という依頼が舞い込んで来たのだ。ニナはこれをすんなりと承諾した。うまくやればパリとブレストを下見しに行くことも、などと考えたのかもしれない。
舗道をしばらく走っていると、古式ゆかしいヴィクトリアン様式の邸宅が見えてきた。門扉のインターホンを鳴らすと、しばらくすると好々爺然とした初老が現れた。
「あー、ナイストゥーミーチュー」
「初めまして、日本語で構わないよ。多少だけれど、心得がある。ニナちゃんだね?」
一瞬で苦手だった英語を予習復習した学習成果が一蹴された。
「はい。渥美ニナって言います。今回はご利用くださりありがとうございます」
まあ空港とかでは役に立ったし、とニナは苦笑していたが、すぐに営業用の笑顔に意識を切り替える。
「えーと、金庫の解錠、でしたね。現物を見せて貰っても良いでしょうか?」
「ああ、案内するよ。付いて来てくれ」
邸宅の中を進んでいく初老の男性に導かれ、ニナが入ったのは落ち着いた雰囲気の書斎だった。奥の大きな机の下から金庫が引っ張り出される。
失礼、と早速ニナが屈み込んで金庫を改める。一般的なダイヤル式の耐火金庫だ。防盗性能も万全。良い金庫だった。
「へえ、アルファベット四文字でロックするダイヤル式はちょっと珍しいですね」
「今は亡き私の父の金庫なんだがね、父は数字だとすぐに開けられてしまうと言って、アルファベットにしたんだ」
「ナンバーなら生年月日とか、一番覚えていやすくて一番解錠しやすいですからね」
総当りすればどちらも同じだが、パッと思いつくお約束的な物が存在しないからアルファベットはほんの少し厄介だ。
「で、正解のアルファベット四文字を入力した上で金庫の鍵を回せば解錠できます、と」
「そちらの鍵はある。が、面倒なことにアルファベットダイヤルを三回間違えると一時間の時限ロックがかかる」
「つまりアルファベットの総当りは不可能、と……?」
そういうことになるね、と初老は頷き、おお、とニナは顔を覆う。二十六文字のアルファベットが四つ。二十六の四乗となると四十五万六千九百七十六パターンで、これを三つずつ試していたら……と計算してニナは思考を放棄した。一時間ごとに三回ずつ試行したとして、軽く計算しても二十年ほどはかかる。
「……すみません。推理は鍵師の領分じゃないです」
「試してみて、ダメだったらこじ開けて欲しいんだ。父が何を遺したのか知りたくてね」
金庫は防盗性能が高いため、バールでは到底太刀打ちできない。そうなると溶断などの作業を行うことになるが、それには当然機材が必要になる。
「はあ……。わかりました」
溜息一つ。面倒、というのもあっただろうが、それよりも強引にこじ開けるという行為自体、ニナが好んでいるわけではないのだろう。彼女の誇りとしているのは、あくまで“大切な物を守る”鍵師という職業なのだから。
とはいえ、これも報酬の支払われる仕事だ。家族からの紹介ということもある上に、イングランドくんだりまで来て何もせずに帰るわけにはいかなかった。
「何か、ヒントになりそうなものは?」
「パスワードのメモがあった。『私の愛するものを入力せよ』と」
愛するものですか、と難しそうな顔をしながらニナは早速ヒントを探そうと書斎を見回す。書架は押し並べて経営学の実用書が多かった。
「父は実業家だったんだよ。生前は書斎にこもって熱心に本を読んでいた」
「へえ。それだけ熱心なら、パスワードは“WORK”だったりして……」
「それはもう試したねえ。私の名前や母の名前も一通り試したけど、全部違った」
苦笑しながらゆるゆると初老は首を振る。彼自身、相当試行錯誤したのだろう。
試しに“LOVE”などと試してみたが、開かない。中々の難問だった。
ふぅむと改めてニナが書架へと顔を向けると、下段の端にある異彩を放つペーパーバックたちがあった。背表紙にはパイプを吹かす男のイラストが。
「シャーロック、ホームズ……?」
「ああ、懐かしいな。まだ残っていたのか」
「全巻揃ってますね。思い出深い品なんですか?」
「ああ、私がまだ幼い頃、父が買って来てくれたんだ。そういえばこんなところに残っていたんだね」
「…………」
怪しい、とニナは直感した。実用書ばかりの書架に一つだけぽつんと娯楽小説があることはあからさまに怪しいと言えるだろう。しかしここから四文字の単語を読み取るのは難しい。
いくつか候補をあげていくが、なかなか四文字の単語となると難しい。苦し紛れに思い浮かんだワトソンから母音を抜いた“WTSN”を試しに入力するが、鍵は回らない。
あるいは見当はずれのところに着目しているのかもしれない。そう思い始めた頃にふとニナは小説のタイトルを見た。
「……意外と、難しく考え過ぎていたのかもしれないですね」
「は……?」
最後のチャンス。ニナはダイヤルを回してアルファベットを入力する。
“SHER”。
鍵を回すと、驚くほど呆気無くガコンと重々しい鉄扉は開いたのだった。
「SHERLOCK。四文字の単語に囚われ過ぎました。好きだったんですね、ホームズが」
「そうだったのか……。父は厳格で、こういった娯楽小説にはほとんど興味が無いものだとばかり……」
信じがたいという表情をしながら、初老は金庫の中身を検める。
「これは……」
金庫の中にはぎっしりと、ペーパーバックが保管されているというよりは詰め込まれていた。どのペーパーバックの背表紙にもアーサー・コナン・ドイルの著者名が記されている。
「厳格であろうとして、自分の趣味を隠していたんでしょうね。それで入りきらないか、それとも手元にどうしても置いておきたくて、ホームズだけは適当な口実を作ったのでしょう」
「新しい遺書か、はたまた大きな隠し事でもあったのかと思っていたが……いやはやこんなものだったとは」
「いいえ、大した隠し事ですよ」
はあ、やれやれと半笑いで肩をすくめる初老にニナは言う。
「だって、紛れも無くこれはあなたの父の“大切なもの”だったんですから」
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担当ゲームマスター
豚野郎
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
冒険
オールジャンル
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2016年04月15日
参加申し込みの期限
2016年04月22日 11時00分
アクション投稿の期限
2016年04月22日 11時00分
参加キャラクター一覧
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