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そうだ、旅行に行こう
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電車があった。随分と寂れた電車で、車両数も少なければ乗客も少ない。
滅多に使われないような、辺鄙な駅へと続く線路なのだから、それも当然と言えば当然だ。
それでも乗客が二人もいたのは、冬ながら珍しく陽の光が温かい日だったからだろう。客席で少女二人がすうすうと寝息を立てていた。
終点、終点。ご利用ありがとうございました。車内アナウンスとともに扉が解放され、冬の寒気が暖房の効いた暖かな空気を切り裂く。
へくち、と可愛らしいくしゃみをして起きたのは、
御巫 時子
だ。
「うぅ、寒い……」
身震いしながら「夢の中ではあんなに暖かかったですのに」と時子は一人ごちる。見ていた夢は憧れの先生と二人で電車に揺られて旅に出るというものだった。
「本当に尚輝先生と一緒に出掛けられたら嬉しいですね……」
残念そうに、けれどほっこりと一息ついて時子はきょろりと車窓から辺りを見る。終点駅。名前は知ってるだけで、知らない場所だ。
「うーん、今日は少し足を伸ばしてみましょうか……」
先生と一緒ではないけれど、一人でふらりと見知らぬ土地を歩くのも悪くはないだろう。ふわふわと微笑み、電車を出ようとしたところで、時子はもう一人の静かに寝息を立てている乗客に気付いた。同じ組の、あまり顔を見ない女性。たしか、名前が――。
「おはようございます、さゆるさん。終点ですよー」
「ン……。ああ?」
時子が呼びかけると、
朝鳥 さゆる
は不愉快そうに眉をしかめながら目を覚ます。怖い顔に低い声。きっと低血圧なのだろう。
「……誰?」
「はい、同じ一年二組の御巫時子です」
「ああ……」
そういえばそんな子もいた。そう言いたそうな気怠げな声をさゆるは漏らす。
「終点です。降りないと、車庫に行ってしまいますよ」
「車庫か。悪くはないけど、よくもないな」
不機嫌そうに呟いて、さゆるはシートから立ち上がる。すらっとした身体。おお、と時子が見上げる。時子の慕う先生も、大体このぐらいの身長だった。
それからさゆるは電車から出て、駅員の眠る改札口を抜ける。寂れた場所。目の前には民家がいくつかと雑木林と休耕地と……。
本当に何もない場所だな、とぼやきながらさゆるは歩きだそうとして「ねえ」と振り返った。視線の先には、にこにこと笑う時子の姿が。
「あなた、付いてくる気なの?」
「ええ。いけませんか?」
「付いて来ても良いことは無いわよ」
「いえ、興味があるだけなので。さゆるさんに」
あたしに? 訝しそうにさゆるが表情を歪めると、時子ははい、と屈託なく笑った。
「全然会ったことも話したこともなかったので、普段何してるのかなーとか、どういう人なのかなーとか、気になるんです」
ふぅん、とさゆるは時子を見る。つまり興味本位か。彼女に悪意はないのだろうと理解しながらも、珍しがられることにさゆりはなんとなく厭わしさを感じてしまう。そんな自分に対しても嫌悪感を感じて、はあ、と大きく溜息をつく。
「そう。それなら一緒に歩いてきましょうか」
「え、良いんですか?」
「この辺りの地理には疎いけれどね。旅は道連れって言うでしょう」
やった、と嬉しそうに時子が駆け寄り、さゆると並ぶ。
マイペースというか、脳天気な子。それが時子に対するさゆるの評だった。羽毛のように柔らかな印象。悪い気分にはならない。自分と比較さえしなければ。
明らかに彼女と自分とでは、住んでいる世界が違うとわかっているのだから。
「そういえば、制服なんですね」
「ああ、出席日数足りてないから補習だったのよ。サボったけど」
学校の大人たちもそろそろ諦めてくれれば良いのに、とさゆるは思う。成績は悪く無いどころか優秀なはずだ。なら、何も文句はないだろうに。
ともあれ、さゆるは今学校についての話はしたくなかった。そもそも、学校を引っくるめた何もかもから逃げ出すようにこんな島外の寂れた場所まで来たのだから。
「そういう時子こそ、どうしてこんなところに?」
「えっと、電車に乗っていて、うとうとしていたらいつの間にかに……」
「ああ……。なら、あたしと大体似たようなものか」
「わあ、素敵な偶然ですね。眠っていたからこその出会いです」
にこにこと微笑む時子に、そうね、と素っ気なくさゆるは返す。夢の延長だとしたら、それは存外悪くないかもしれない。
二人でぶらりぶらりと歩いていると、ふと、鳴き声とともに鳥が低空で通りすがった。ムクドリだ。
「わあ、お久し振りです」
時子が手を掲げると、ムクドリは待っていたとばかりにそこに留まる。
「今日はまた一段と冷えますねぇ」
返事をするように小首を数度傾げ、ムクドリが鳴く。
「……ねえ、あなた話してるの? 鳥と」
「ええ。お話できるんです、私。ちょっと特殊な能力でして……」
なおも怪訝な顔をし続けるさゆる。けれど時子はそれを気にした風もない。ムクドリは注意を引くようにつんつんとくちばしで時子の手を突つく。
「頼みごと、ですか?」
そうだ、と言うように一鳴きすると、ムクドリはパタパタと飛び立つ。
「何だって?」
「何か頼みごとがあるそうで、付いて来て欲しいって……。とにかく、行ってみましょう」
「あ。ちょっと、待ちなさい」
飛ぶムクドリをぱたぱたと追う時子とさゆる。二人は導かれるままに歩いて行くと、小さな公園まで辿り着いた。公園は遊具が撤去され、ほとんど更地のような状態になって久しい。その中で大きな木がぽつんと一本立ってた。
「ああ、巣が落っこちてしまったんですか」
木の根元に両手のひらほどの大きさの鳥の巣が落ちていたのを見て、ようやく時子は頼みごとの内容に合点がいった。
ちょっと待っててくださいね、と巣をそっと持ち上げ、木の枝に載せようと背伸びをするがいかんせん身長が足りない。仕方なしに木の幹に足をかけて登ろうとするも、運動が苦手なのだろう。よじよじと登ろうとするたびにずるずると落ちて来てしまう。
溜息一つ。後ろで見ていたさゆるはひょいと時子の持っていた巣を取り上げ、ちょっと背伸びをして枝に巣を載せる。
「えっ、あ……ありがとうございます」
「別に。待ってたら日が暮れても終わらないって思っただけだから」
「はぅっ……」
鳴き声。巣に帰ったムクドリはその場で二、三周ほどぐるぐると巣のバランスを確かめるように歩き回り、確認を終えると巣から顔を出してもう一鳴きした。
「ああ、いえいえどういたしまして。困った時はお互い様ですから」
「……ありがとうって?」
「はい。また落ちたらよろしくお願いしたいって、さゆるさんに」
「勘弁して……」
さゆるが二度目の溜息をつくと、時子はころころと笑った。
それから改めて礼を言うように二人の頭上をぐるりと回るように飛行したムクドリは、またどこかへ飛んで行ってしまった。
「……鳥は良いね。何にも縛られず、自由で」
自在に空を飛ぶその姿を見て、さゆるはこぼすように呟く。
「さゆるさんは、縛られているんですか?」
「……そうね。どうしようもないものに縛られていると思う。だから、なれるものなら鳥になりたいわ」
さゆるの硬質な声音はこの時だけは少しだけ柔らかく、あるいは弱く聞こえた。きっとこれが彼女の本音に近い部分なのかもしれない。だからこそ、彼女はふふ、と笑った時子を睨みつけた。
「ごめんなさい。以前、『人間になりたい』と言っていた方がいたので。やっぱり隣の芝は青く見えるものなんだなぁ、と……」
「……それって、鳥?」
はい、と時子は頷いた。
「自由かどうかなんて、鳥でも人間でも、他の生き物でもきっと変わりませんよ」
「……そう。それなら、みんな不自由なのね」
「でも、それと同時に自由なんだと思います」
その時一緒にお話していたもう一羽の方からの受け売りですけど、とちょっと苦笑いして、時子は言葉を紡ぐ。
「自分の不自由さよりも、自分の自由さを見つめなさいって、その方は言っていました」
「…………そう」
口調は素っ気なく。けれど言葉を反芻するようにさゆるは自分の手を握ったり、開いたりを繰り返す。
「ごめんなさい、お節介でしたか?」
「……そうね、すごくお節介」
でも、助かったわ、と顔を背けてさゆるが言うと、時子は良かったですと微笑んだ。
それから二人は他愛のない話をしながら駅まで元来た道を辿って帰った。空はまだ明るいとはいえ、ここは島外だ。戻る頃には陽がまだ空に昇っているかどうか怪しい。
さゆるは途中の駅で降りた。まだ少しの間だけ、あの島には戻りたくなかったからだ。
「それでは、ここでお別れですね」
「ああ、それじゃあ」
軽く手を掲げて、駅のホームから立ち去ろうとするさゆるは、ふと「楽しかった」と伝えようと思って時子のいる方へと振り返った。
けれどもうそこには時子はいない。言い損ねたか、とさゆるは吐息して、自分らしくもないことを、と思い直した。けれど実際に楽しかったのだ。自分らしからぬあの時間が。
そう人の多くもないプラットホームで、スズメの鳴き声がどこかから聞こえたのが、やけに印象的だった。
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シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
冒険
オールジャンル
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2016年04月15日
参加申し込みの期限
2016年04月22日 11時00分
アクション投稿の期限
2016年04月22日 11時00分
参加キャラクター一覧
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