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枕元の目覚ましを止める。うつらうつら、半ば眠りながらベッドを下り、カーテンを引き開ける。
「……朝だー……」
欠伸混じりに言いつつ、窓の外、ぼんやりと明けて行く冬の空をひと眺めして、ベッド脇に準備していた服に着替える。
いつまで経っても起きないルームメイトのベッドへ視線を投げて、
志波 拓郎
は首を捻る。
「……?」
居ない。
いつも居るルームメイトの不在に、急速に胸騒ぎが募る。そう言えば、いつもは聞こえる廊下や隣室の物音も今は聞こえない。開けたカーテンの向こうの外も、やけに静かだ。
胸騒ぎを抑えきれず、部屋の外へと飛び出す。いつもなら起きだした寮生たちがうろうろしている廊下は、信じられないほど静まり返っている。
見慣れぬ異変に、いつものフツウとは違う光景に、体温が急降下する。
(そうだ、電話)
上着のポケットに押し込んでいた携帯電話を取り出す。最初に繋げようとしたのは、恋人である少女。繋がらない。同じ寝子高校に通う兄の番号をコールする。応答はない。
焦りが身を焼く。桜花寮の廊下を渡り、階段を駆け降りる。どこにも人の姿は無い。
(親は)
桜花寮を出、いつもの癖で学校に向かう。
(友達は)
通学路を辿る人気はない。車の通りもない。
(部活の皆は)
電話帳メモリにある限りの誰にも電話が繋がらない。
人気のない寝子島高校の校門前に立ち尽くす。誰も居ない高校に立ち入るのが妙に怖く思えて、逃げ出すように背中を向ける。あてもなく駆け出す。
いつもなら部活の朝練のために登校してくる学生に賑わう道も、通勤の車が行き交う寝子島街道にも、人ひとりとしていない。
街道の真ん中に立ちすくむ。風ばかりが道を通り過ぎて行く。
(……おなかがすいた)
肩を落とし、今にも座り込んでしまいそうな足取りでキャットロードのコンビニに入る。もちろん、誰も居ない。電気ばかりが眩しいほどに灯っている。
今しも補充されたばかりに見える棚からスナック菓子とパン、飲み物を手に取る。誰も居ないレジの前でしばらく立ち尽くして、黒い瞳を歪める。レジに代金を置き、コンビニの外で味を感じられない食べ物を腹に押し込んだ。
(人が多い、場所……)
北風の躍る街を再び彷徨って、気づけば旧市街商店街の米屋に辿り着いていた。
(兄貴)
旧市街の米屋には、兄が下宿している。
無意識のうちに兄を頼っていたことに思い至り、無口な唇を引き結ぶも、今はそれどころではない。
「おはよう、ございます……」
玄関のインターホンを押してみる。どれだけ待っても応答はない。
(やっぱり、いない)
思わずその場に頭を抱えて座り込む。
今まで、神魂の関わる色んな『フツウ』の出来事に出会ってはきた。けれど、今のこれは。この『フツウ』は。
(いつもの、楽しい……フツウと、ちがう……)
歪めた瞳にうちに気付いた。人だけでなく、猫も鳥も、
(なにもいない……?)
途端、無性に怖くなった。寂しくなった。
「誰か、……」
助けを請うて、叫ぶ。
「誰かいないのか!」
無感情な風の音ばかりが虚ろな商店街を過ぎて行く。誰の声も聞こえない。
(……いやだ、)
静寂に耐え切れずに立ち上がる。じっとしていれば冷たい恐怖に呑まれそうな気がして駆け出す。
(怖い、寂しい……!)
兄の居ない場所から離れる。力の限りに駆ける。幾つもの角をでたらめに折れ、空のまま線路の半ばに停車した列車を追い越し、気づけば、シーサイドタウン駅の前に居た。
いつも賑わう駅に人がひとりもいない様は恐ろしく異様に思えて、拓郎は顔を引きつらせる。
「誰か、……」
もう一度叫びだしそうになって、
「やぁ」
不意に、声を掛けられた。勢いよく振り向けば、ちょっと驚いたように、大学生ほどの青年が柔らかな笑みを浮かべて立っている。
「良かった、他にも人がいたんだね」
人当たりの良い笑顔と優しい言葉を口にしながら、
館林 亨
は目前に立つ、おそらくはあちこちを走り回って疲れ果てた風の男子高校生をそうと悟られぬように観察する。
(やけに静かだな、とは、思ったけど……)
朝起きたら同棲中である男の姿がなかった。
先に起きだした方が珈琲を淹れるのが常だった。そうしてもう片方が起きれば、男が店長を、亨がバイトを勤めるドーナツ店の残り物をふたりで齧りつつ何でもない話をするのが最近の日課だった。
恋人の姿がないことを珍しくは思った。けれど一応立派な大人でもある彼を心配することもあるまいと、念のため書置きを残して大学に向かった。
(まさか大学に来るまでに誰の姿も見ないなんて)
流石にちょっとおかしいかなぁと思いつつ、それでも大して動じずに駅前まで取って返したところで、少年と出会った。
安堵とも落胆とも、どちらとも思えぬ気持ちを微塵も外には出さず、亨は『優しい人当たりのいいお兄さん』を演じる。
とはいえそれは、物心ついてよりこの方、もうずっと演じて来た姿。最早呼吸のように自然と振る舞うことができる。
他人にあまり興味がないことを気にするくらいならば、諦めてしまった方がいい。『興味のあるふり』をしている方がいい。
(だって、その方が人生楽に生きられるでしょ)
「大丈夫かい?」
「……あ、……はい」
ほんの少しの安堵と緊張を交え、思慮深い黒い瞳した少年は小さく頷く。人と出会って、けれどこの現象が解決したわけではない、とでも考えているのだろうか。
「あ、自分は、志波……志波、拓郎、です」
「志波さんか。俺は館林亨だ」
「……みんな、どこに……」
「駅から大学周辺では誰にも会わなかったね」
ぐるりを見回し、拓郎は考え深げに眼を伏せる。
「……いや、自分たちだけがどこか別の所にいってる、のか……」
考えすぎて煙でも噴きそうな、お人よしそうな少年に向け、亨は手持ちの鞄から個包装のクッキーの大袋を差し出す。
「あげるよ」
「え、」
「……食べれば、俺と通信できる」
言いつつ、亨は一つを自分で食べて見せる。そうして安心感を与えることまでが、
(一つの演技、みたいなもんか)
「いただき、ます」
クッキーを口にする拓郎に、亨はじゃあねと手を振る。
「何かあったら教えて」
「……あ、」
自分たち以外に誰も居ない駅前に響く男子高校生の遠慮がちな声に、亨はやわらかな笑みで応じる。
「呼んでくれればすぐに応える」
(……ほら、ね)
ろっこんを発動させ、念じた言葉を少年の心に届けてみせる。自分の心だけに聞こえる亨の声に目を瞠る拓郎に、亨はもう一度、励ますように笑みかけた。
「だから、大丈夫だ」
こくりと頷く拓郎に、亨は背を向ける。肩越しに手を振り、その場を離れる。
人のいない世界で人と出会って、思い至る。今まで、他人に興味のない己を偽って生きて来たけれど、
(だけどもう……取り繕うことないんじゃないのか?)
ぐるりを見回す。少し歩いただけで、周囲は静寂に包まれている。
誰もいない世界に、ひとり立っている。人の目を気にすることはない。誰かに、気にされることもない。
そう思った途端、心のわだかまりが解けて消える気がした。
(もしかして、これが……)
これが己の望んだ世界ではないのか。
どうせ誰にも興味は惹かれない。そうであるのならば、誰もいない世界で。いたとしても滅多と誰とも出会わない世界で、一人きりで生きるのも悪くないのではないか。
誰もいない道を辿る。己はどこへ行こうとしているのだろうと考えて、ふと笑ってしまった。この道は、家へと続いている。
いつもならば、帰ればあの人の居る家。今はきっと誰も居ない、あの家。
誰も居ない家のドアを開けて、いつものようにただいまを言う己を想像する。
(それでいいのか)
すっきりしたはずの心に響く己自身からの疑念の声に、思いがけず動揺した。
足が止まる。
乾いて雲一つない青空を仰ぐ。
例えば、と思う。
例えば、これがただの夢か幻で。家に帰ってベッドに潜り込み、一晩眠れば世界が元通りになっていたとして。目覚めた時にはいつも通り、傍にあの人の寝顔があるとして。
その時、己は安心するのだろうか。
――ああ、いいや
寝ぼけ眼のあの人に、囁きかけるのだろうか。
――全ての煩わしさの相手をしても、貴方がいないより、ずっといい
微笑みかけながら心中に思うのだろうか。
(……どうせ、たいした苦労でもないしね)
ひとりきりで立ち尽くし、亨は瞼を閉ざす。
あの人にそう話す己の言葉は、果たして本心からのものなのだろうか。それとも――
ひとりではないと言う希望とお菓子をくれた優しい青年の背を誰も居ない街に見送り、拓郎は安堵の息を吐く。
「……うん」
(大丈夫、一人じゃないんだ)
心強さを得て、再び駆け出す。
考えたくもないけれど、この世界がずっと続くのならば、他の誰かの居場所を少なからず知っておきたい。これ以上のナニカが起きたときのためにも。
そう思い定めて島中を駆けずり回って、けれど日が暮れるまで亨の他に誰を見つけることも出来なかった。
肩を落とし、一人で寮の部屋に戻る。いつも誰かしらの声がする寮がしんと静まり返っている様は、どうしようもなく寂しかった。
空っぽの腹をコンビニで買ったスナック菓子とパンで満たす。空袋を丸め、部屋の隅のごみ箱に投げ込む。
静寂が耳と心に痛かった。携帯音楽プレーヤーのイヤホンを耳に押し込み、お気に入りの洋曲を再生する。耳元に流れ出す歌手の声に泣き出しそうなくらいに安堵ししつつ、祈る。
(全て夢でありますように、起きたら戻っていますように)
布団に潜り込む。目が覚めて、これが悪い夢だと確かめたら、ルームメイトにおはようを言おう。そうして、真っ先に彼女へと電話を掛けよう。聞き慣れた声にきっと心底安心できる。
考えているうちに意識は眠りへと沈み、――
おはよう、とルームメイトに声を掛けられて目が覚めた。
「……おはよう」
戸惑い気味に挨拶を返しつつ、ふとあれが本当に夢だったのか気になった。ごみ箱を覗き込んで、
(夢じゃ、なかった……)
昨日投げ入れたままに転がる菓子とパンの袋に、眩暈を覚えた。
――知る。あの世界もまた、もれいびとなった己が放り込まれる可能性のある『フツウ』であるのだと。今まではその『フツウ』が己に及んでいなかっただけなのだと。
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シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
SF・ファンタジー
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2016年03月23日
参加申し込みの期限
2016年03月30日 11時00分
アクション投稿の期限
2016年03月30日 11時00分
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