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窓の外、朝陽を揺らして北風が鳴いている。
(今日も寒そうですね)
新しく仕入れた雑貨の詰まった段ボール箱を床に下ろし、
天動 記士郎
は窓の外の冬の朝を眺める。早朝のトレーニングがてらに旧市街商店街まで走り込んだ時も、霜の煌く寒さのせいか、出会う人は居なかった。とは言え、店を開けるまで誰にも会わないことは珍しいことではない。
荷物を開く。出て来たちょっと微妙な造形した猫とアルパカのぬいぐるみを商品棚に並べる。
「お客さんは……」
閉ざされたままの出入り口の扉をちらりと見遣る。
「来ないですかねえ」
通販の売れ残りのような健康器具に始まり、昔流行った玩具や古本、愛嬌のある顔した猫やアルパカグッズ。様々な商品が雑然と並ぶ雑貨店は、どちらかと言えばそんなに流行ってはいない。むしろ客のいない時間の方が多い。
新商品を並べ終え、段ボールを畳む。エプロンの埃を掃う。自宅兼店舗の外にある小さな倉庫に段ボールを仕舞おうと外に出て、ふと首を傾げる。いつも物陰に丸くなっている野良猫の姿が見えない。
「んー……」
店の扉に鍵を掛け、朝の走り込みと同じルートを辿って商店街へと足を向ける。
すぐに感じた。
自分以外の存在が居ない。
「……んー?」
あまりの不審さに首を捻る。こういう不思議な現象に出会ったときの癖で、エプロンのポケットに潜ませた白蛇の鱗に指先を触れさせる。身の内に宿ったろっこんを発動させ、寝子島上空の気流や気圧の流れを見るも、特に異変は感じられない。いつもと同じ空だけがある。
「本当に誰も……」
いつもなら学生たちが賑やかに歩く道を辿る。
「いないんですかね……」
誰も居ない。やたら甘い缶コーヒーのある自販機の前も、観光客や地元の人々に賑わう参道商店街も、学生や通勤に忙しい人々に溢れる寝子島駅前も、車の行き交う寝子島街道も。どこにも、誰も。猫の子一匹いない。
怯えにも似た焦燥に駆られるまま、町中を探し回って、結局誰も見つけられずに自分の店に戻る。扉の鍵を開け、いつも腰掛ける店内の椅子に腰を下ろす。
風の音ばかりが聞こえている。
疲れ果てた視線が、窓辺に、商品棚の猫のぬいぐるみの傍らに彷徨う。そこはいつも、野良猫が勝手に入り込んできては昼寝をする場所。
穏やかな寝息をたてる小さな生き物の姿さえ、今はない。
誰もいない。
(『守りたいもの』が全て消えてしまった?)
一人きりの世界でふと頭に浮かんだ考えを打ち払いたくて、よろりと椅子から立ち上がる。立ち上がった弾みに倒れた椅子もそのまま、奥の間のテレビをつける。
一番初めに映ったのは、昼前の番組の華やかなセット。
人は、いない。
次のチャンネルには放送事故を示す花畑の映像。その次のチャンネルには放送終了を示すカラーバー。
「ッ!」
認めたくない現実を突き付けられ、頭が沸騰する。湧き上がる怒りにも似た絶望を抑えられず、店の壁を拳で打つ。静寂と共、壁が破れる。手の甲が裂けて血が流れる。
「強くなっても……」
呻く。
足元が消えて闇の底に落ちるような感覚が身を押し包む。いつからか、身体の震えが止まらない。
「守るものがなければ意味がない……」
温かな布団の中で目を覚ます。シーツの糊の香を吸い込みながら、羽毛布団を頭から被ってうつ伏せる。蕎麦殻の枕を抱きしめ、栗色の瞳を夢現に瞬かせて、
猫島 寝太郎
は小さく呻いた。
(そういえば今日は朝から買い物に行くって言ってたっけ)
昨日の夕食時に聞いた母親と妹の言葉を思い出す。
家族が買い物でいない寒い朝となれば、するべきことは決まっている。それ即ち、ぐうたら惰眠を貪るべし。
これ以外の幸せはないとばかり、寝太郎は実家が寝具店であるが故の心地よい羽毛布団の温もりにぐるりと丸くなる。頬にえくぼさえ刻み、うつらうつらと幸せな布団の温もりに包まれる。
布団を抜け出したのは、冬の布団の幸せを上回る空腹感に苛まれる昼過ぎになってから。
(みんなまだ帰ってきていないんだねぇ)
もぞもぞと布団を出て、掛け布団の上に被せていた綿入り半纏を羽織る。
部屋を出て、昼下がりの縁側を歩く。いつもならこの時間、猫が丸くなって昼寝をしているのに、今日はいない。
陽に暖かくなった猫を撫でるのを密かな楽しみにしていた寝太郎は、猫がいないことをちょっぴり寂しく思いながら空っぽの居間に入る。炬燵の電源を入れ、台所から持ち出したパンを齧りつつテレビも点ける。
「ん?」
画面に映し出されたのは、放送事故の後に映し出される花畑。首を傾げて次のチャンネルに回してみるも、次に映し出されたは放送終了を示すカラフルなバー。
「なんだろ、これ?」
人の居ないセットを映すテレビを切り、箪笥の上のラジオをつけてみる。流れ出すのは物静かなインストゥルメンタル。どの周波数に合わせてみても、似たような器楽曲ばかり。
首を傾げつつ、スマートフォンを半纏のポケットから引っ張り出す。時々遊んでいるゲームにログインしてみた途端、寝太郎は顔を強張らせた。
架空の街にも、誰もいない。他のプレイヤーを示すキャラクターはおろか、NPCや動物のモブすら。
(え、何……?)
何かがおかしい。
全身をじわじわと侵すうすら寒い気持ちのまま、炬燵に潜り込む。風の音ばかりが耳につく。いつもなら聞こえる郵便配達のバイクの音も、家の脇を笑いながら駆けて行く小学生の声も、聞こえない。
不審に思いながら、異変を確かめたくない気持ちのまま、いつの間にかうとうととしてしまったらしい。
目が覚めて、部屋の暗さに驚いた。炬燵の温もりばかりが籠る身体で慌てて起き上がる。窓の外も暗い。それなのに、まだ誰も居ない。
「ばーちゃん?」
居間の電気を点けて、家族を呼ぶ。
「母さん……?」
返事はない。
「お父さん……」
誰の返事ももらえぬままに妹の名を呟いて、壁の時計を見れば既に夜明けも近い時間。
奈落の底に突き落とされたような恐怖が胸を掴む。
目眩にも似た不安に我慢ならず、電気のついた居間に背を向ける。廊下をよろめき歩き、玄関から飛び出す。
「誰も……」
誰もいない。
その現実を口にした途端、全身に覆いかぶさる北風よりも冷たく、身体から血の気が引いて、
「誰か……っ」
少年は嗄れた声の悲鳴をあげる。人気のない夜明け前の暗い道を駆けだす。
暗闇に点々と街灯の光が輪になって落ちている。
街灯の光が続く道をでたらめに駆けて走って、息が切れた。裂けるように冷たい指先を寝間着の膝につく。熱を帯びた息を繰り返し吐き出せば、視界が真っ白に染まった。
眩しいほどに光を放つ自販機を前に、呆然と立ち尽くす。
街灯も自販機も電気が灯っているのに、どうして誰もいないのだろう。
恐怖に疲れ果てた頭でぼんやりと思っているうち、
「寝太郎……さん?」
小さく小さく、背中から名前を呼びかけられた。一人きりだった世界に、その小さな声は大きく響いた。振り返る。どこか恐る恐る、そっと近づいて来ていたらしい、年上の友人の青年の姿がそこにあった。
「天動さ……わぁっ!?」
返事をするかしないかの間に、飛びかかるように抱きしめられた。吃驚して、けれど、今日初めて名前を呼んでくれた相手を押し返す気持ちにはなれなかった。
風の音の中、新聞配達のバイクの音が聞こえる。耳を澄ませば、遠く、始発電車の音も聞こえた。
(ああ、)
元の通りに戻った世界の中で、少し落ち着けば、お兄さんの年頃でも存在でもある男の人が身を震わせていることに気が付けた。
(天動さんも怖い目にあったんだなぁ……)
知らず、腕が持ち上がる。安堵にか恐怖にか肩を震わせる記士郎の背を、ぽんぽん、あやすように叩く。そうして思い至る。
(自分も)
この人の声と暖かさに安堵した。救われた。
「天動さん」
抱きすくめるように抱きついた少年に名を呼ばれ、記士郎は我に返った。背中を叩く少年の手に、名を呼んでくれる少年の声に、少年がちゃんと存在していることを確かめる。
確かめた途端、力が抜けた。小さく詫びて、少年の身体を解放する。笑おうとして、失敗した。泣き笑いの顔になってしまった。
「世界が戻ってきてくれたのが、うれしくて……」
うっかりと口にしてしまってから、しまったと思う。彼はあの世界には閉ざされていなかったのかもしれないのに。笑われるかと思ったのに、寝太郎はふにゃりと表情を崩した。泣きそうな顔で笑った。
「自分も、天動さんがいてくれて嬉しいです」
まるでお礼をするかのように、少年が手を伸ばす。もう一度、今度は少年から抱き返されて、記士郎は布切れを巻き付けて適当に血止めした掌を拳にする。
「その手の怪我、どうしたんですか? 本当にもう」
目敏く怪我を見つけて咎められ、苦笑いに誤魔化しながら、記士郎はそっと息を吐く。
(二度とこんな思いはしたくない)
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
SF・ファンタジー
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2016年03月23日
参加申し込みの期限
2016年03月30日 11時00分
アクション投稿の期限
2016年03月30日 11時00分
参加キャラクター一覧
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