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碁盤に並ぶ白と黒。手元の棋譜に沿って並べ終えた碁石を鳶色の瞳に映し、
河野 一霞
は小さく息をする。幾度並べてみても、理解の及ばぬ手が数手ある。これはただの悪手か、それとも数手先を読んでのものか。
指先を伸ばす。
触れた碁石の冷たさに、一瞬、心臓を掴まれた気がした。息を詰める。詰めた息を長い吐息にして吐き出す。
かじかんだ手を碁石から離し、熱を帯びて固まった首筋に触れる。北風に震える窓硝子へと視線を投げる。集中が途切れてしまった。
眠る前に少しだけ、と思ったきり、時間を忘れて没頭していたけれど、今は何時ごろだろう。深夜か、明け方か。
座布団から立ち上がる。ひやりとする畳を踏み、襖を開ける。迷路のような廊下を渡る。母たちの住む星ヶ丘の家から、父の実家である旧市街のこの家に家出をしてきた頃は、家の中で迷ったりもした。寝子島屈指の大家族が暮らすこの家の賑やかさに戸惑ったりもした。それにもこれにも、今はもう慣れた。
家の中心部である居間の襖を開ける。深夜であろうと早朝であろうと、居間にはいつも誰かしらが居る。今が夜更けなら夜更かしな誰かと話をしてもいい。早朝なら早起きな曾祖父と将棋を指してもいい。
電気のついた居間に、けれど一人として家族の姿はなかった。
「……あれ?」
そういえば、いつでも誰かが居るこの家の、廊下にも台所にも、襖一枚で隔てられた誰の部屋にも、人の気配がない。
聞き慣れない家の静寂を不審に思い、空っぽの居間を横切る。廊下を渡って一番近い位置にある家族の部屋をノックする。
「ねぇ、起きてる?」
返事は無い。もう寝ているのかもしれない。
寝ているかもしれない家族を自分勝手な不安のせいで起こしてしまうことを憚り、今度はまだ寝ていないであろう家族の部屋の前に立つ。ノックを繰り返しても、返事は無い。
「ねぇ、開けるわよ?」
断ってから襖をそっと開く。電気はついたまま、けれど部屋は空。
足元から背筋を通って、寒気にも似た嫌な予感が這い上る。
「ッ、……」
冷たい廊下に踵を返す。目につく襖を次々に開く。家族の部屋を見て回るも、どの部屋にも誰もいない。
「なんで?」
全部の扉が開け放たれた家の真ん中、一霞はぺたりと座り込む。
「みんなどこ行っちゃったの?」
呟いた声が思いがけず大きく響いて、思わず口を噤む。
震える指先を抑え、周囲を見回す。目についた固定電話の前に這い寄る。記憶する限りの番号に電話を掛けてみる。母親の携帯、実家の固定電話。どの番号も、どれだけ待っても繋がらない。
(『パパ』……)
父親の携帯番号を呼びだそうとして躊躇する。もし出てもらえなければ、と思えば、怖くて掛けられなかった。
誰にも繋がらない電話の受話器を投げ出す。心臓が暴れる。耳に聞こえるのは早鐘のように打つ心臓の音と浅い呼吸の音だけ。
「い、……」
混乱のあまり悲鳴をあげそうになったその瞬間、己を取り巻く静寂を打ち破って、手首のブレスレットがちりちりと鳴った。
耳に届いた涼やかなその音を辿り、手首を飾る蝶と花の細工を眼に映す。お三夜祭りの夜、『パパ』が買ってくれた、『パパ』とお揃いのブレスレット。
(……なによ)
瞼に浮かんだ桃色頭と軽薄な笑顔に奥歯を噛みしめる。
(なんで……)
大きくひとつ、深呼吸。悲鳴を飲み下す。
「だいじょうぶ、」
空っぽの家を見回しながら、自分に言い聞かせる。
「そのうちきっと何でもなかったように玄関から『パパ』が顔を出して、」
ブレスレットごと、自分の手首を反対の手で握る。
「そしたら三夜家の皆だって一緒に帰って来るに決まってるわ」
指先に触れる蝶の細工が微笑むように震えた気がして、一霞は蒼褪めた頬に睫毛の影を落とす。視界を滲ませようとする涙をこらえる。
「ちゃんと『おかえりなさい』って言わなきゃ」
淡く淡く、笑む。
自分の足音ばかりが響く廊下を渡り、碁盤の前に戻る。
こんがらがって並んだ碁石を一度片付け、もうすっかり頭に入った棋譜をもう一度見据える。
瞼を閉ざし、深呼吸をひとつ。しゃらり、手首に鳴るブレスレットの微かな音に微笑みひとつ。
碁石を手に取る。
静寂の中、ひとつひとつ石を打つ。その度に、烈しく波打っていた寂しさや恐怖の気持ちが凪いでゆく。
一人きりの世界で一人きりの盤面を睨み続けるそのうち、盤面に浮かんでくるのは、進路のことで揉めている母親のこと、そうまでしてもプロ棋士になりたいのに伸び悩んでいる碁のこと、最近出来た親友のこと、そして、
(……『パパ』)
盤上の石のかたちした悩みや感情のひとつひとつが混ざり合い、渦を巻く。波に惑う蝶や花のように全てが押し寄せてくる、
(パパ……)
――そんな錯覚を、見た。
夢から覚めるように瞼を開く。
知らぬ間に碁盤に伏せていた身を起こす。
(『パパ』)
玄関から、『パパ』の声がする。
家中のあちこちから、家族の気配がする。
跳ねるように立ち上がる。零れる笑みと共、一霞は駆け出す。
「おかえりなさい!」
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ダイアリー一覧
シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
SF・ファンタジー
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2016年03月23日
参加申し込みの期限
2016年03月30日 11時00分
アクション投稿の期限
2016年03月30日 11時00分
参加キャラクター一覧
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