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吐き出す温かな息さえ凍り付きそうに寒い早朝の校内を、
羽生 碧南
は寝子高校の冬服で駆ける。制服の下には、所属するバスケット部の練習用Tシャツとウェア。
薄く白く、ぼんやりと明けて行く乾いて雲ひとつない空を仰ぐ。今日もいい天気になりそうだ。
(朝練が終わったら)
踏み抑えきれない笑みが人懐っこそうな唇に滲む。
うなじまでの茶色の髪に覆われた頭の中にあるのは、買ったばかりの新作乙女ゲーム。冬休みな今日は桜花寮の自室に籠って夜までゲームに勤しもう。
(今日こそは)
ターゲットとしたあのキャラクターとの親密度をマックスにしよう。そうすればご褒美ボイスとスチルが手に入る。
(どんなのかなあ、楽しみ)
高校一年女子には見えない百八十センチの長身にふんわりとした乙女チックな表情を浮かべつつ、体育館までの道を辿る。
いつも通りな、ありきたりな一日の、はずだった。
(……大丈夫)
ひやりと首筋を撫でる冷気にも似た不安に、足が止まる。
(大丈夫、体育館に行けばきっと)
いつも通り、早朝の人気のない街だと信じようとしていた。
桜花寮に人気がないのも、冬休みのせいだと、いつもよりも寒いせいだと、信じようとしていた。信じたかった。
(きっと、みんないつも通りに居るわ)
桜花寮にも街にも学校にも、見事なまでに人がいないのは、きっと何かの気のせいだ。生物の気配さえしないのも、きっと冬だからだ。
(きっと……)
心に膨れ上がる不安が大量の白い息になる。
体育館に至る通路に立ち尽くして後、踵を返す。空っぽの体育館を見てしまえば、決定的に心が折れてしまう気がした。
誰も居ない駐輪所に戻り、自分の自転車に跨る。見渡しても、端に忘れられたような自転車が転がっているばかり。人の姿はない。島のどこにでもいる猫の鳴き声も聞こえない。
「ッ……」
誰も居ない場所で声をあげるのか恐ろしく怖かった。
頬を引きつらせ、自転車のペダルを漕ぎ出す。
普段なら、冬休みだろうと登校してくる高校生のいる住宅地の道を抜ける。寝子島街道を横切り、誰もいない交番の前を過ぎて、寝子ヶ浜海岸に行き当たる。堤防前で自転車を降り、誰も居ない海岸線を見渡す。誰も居ない町を見回す。
それでも、信じたくはなかった。
(そうだわ)
僅かに乱れる息の中、ポケットからスマートフォンを取り出す。履歴の一番上にある友人の番号に電話を掛けてみる。何コールしても、応答はない。祈るようにメールを出す。返信を待ちかねた挙句、110番を押してみるも、
(……お願い、出て)
反応はない。
「誰かっ……」
誰も彼女の呼びかけに応じてはくれない。
(どうしたらいいんだろう……?)
誰もいない世界で、碧南はひとり途方に暮れる。
寂として声もなく、唯一の人の気配は自分のみ。
潮風に頬を打たれ、碧南は震える睫毛を閉ざす。冷たい頬を冷たい指先で擦り、瞼を開く。
(探そう)
誰か、きっと居る。
そう信じて、自転車で空の街を駆けずり回る。
どこにも誰もいないことだけを確かめて、最後の希望とばかりに寝子高校に戻ったのが昼前。
(まだ昼前)
校舎の時計を目に、碧南は疲れ果てた息を零す。朝からあちこち駆けずり回って、相当に時間が経過したと思ったのに。
一抹の希望を胸に体育館へ向かう。
(もしかしたら誰かいるかもしれない)
誰も居ない渡り廊下の向こう、開かれた体育館の扉が見えた。思わず笑みが零れた。思わず駆け出す。扉が開いている。誰かが開いたのかもしれない。誰かが、居るかもしれない。
期待は裏切られた。
誰ひとりとしていない広い体育館の入り口の冷たさに、碧南は瞳を歪める。誰も、いない。
どうしたらいいのかさえ分からなくなって、けれど何もしないでいるのはどうにも落ち着かない。このままでは不安に押しつぶされてしまう。
誰もいない体育館の端、思い切って制服を脱ぎ捨てる。下に着込んだ練習用ウェア姿になる。
深呼吸をひとつ。冷たい頬を冷たい掌で叩く。真っ直ぐに見据えるのは、体育館に備え付けられたバスケットゴール。
体育用具室からバスケットボールで満タンのキャスター付き籠を引っ張り出す。籠から零れ落ちたボールがひとつ、耳慣れた音で床に落ちた。
拾い上げる。息を整え、いつも通りにドリブルを開始する。見えない敵を躱し、シュート。いつもと寸分狂わぬ軌道を宙に描いて、ボールがゴールに吸い込まれる。
ボールが床に落ちる。拾い上げる。まっすぐにゴールを見据える。
練習していれば、無心に身体を動かしていれば、少しでも不安が紛れる気がした。
誰も居ない体育館に、バスケットシューズの靴底が床を擦る音が響く。ボールが床に打ち付けられる音が響き続ける。冬の陽が傾くまで、ずっと。
息が乱れる。ボールが汗に滑る。
「ッ、……」
何時間と狂ったように練習に打ち込んだ果て、碧南は力尽きた身体を冷たい床に仰向けに倒れ込ませた。
心臓が早鐘のように打っている。
不安は紛れなかった。どれだけ動いても動いても、独りでいるのは怖かった。寂しいのが辛かった。
涙と共、悲鳴じみた泣き声が迸った。誰かが気付いてくれるかもしれない、そう思って、泣いた。
泣いて、泣いて泣いて、泣き疲れた身体を暗い体育館に起こす。
助けに来てくれるひとはいない。それだけが身に染みた。
帰ろう、と惰性のように思う。帰って、寮の布団で眠ろう。
今はあの場所だけが帰ることのできる場所。
(明日になれば、……)
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
SF・ファンタジー
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2016年03月23日
参加申し込みの期限
2016年03月30日 11時00分
アクション投稿の期限
2016年03月30日 11時00分
参加キャラクター一覧
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