子供達のイタズラ｜リアクション

子供達のイタズラ

　シーサイドタウンで篠原翠響が自転車を止めた。前カゴにはスポーツバッグが無造作に入れられていた。
「家は近いんだけど、仕方ないよね」
　言い訳めいたことを口にして自動販売機と向き合った。悩むことなく、翠響はカフェオレを購入した。路上で飲むのは気が引けるのか。自転車を押しながら適当な場所を探す。
　目にしたベンチの傍らに自転車を止めた。スカートに皺が入らないように座ると翠響はカフェオレを飲み始めた。
　突然のことだった。大柄の男の子が横から飛び出してきて、ヒョオォォー、と奇声を上げた。その勢いを皮切りに奇妙な顔を連発。更に腰を左右に振って破壊力を上乗せした。
　翠響は耐えた。すぼんだ唇が震えて、一瞬で決壊した。噴き出した上に白いブラウスに茶色い染みを作った。
「白だから目立つのに！」
　足を踏み鳴らして立ち上がる。翠響はスポーツバッグからタオルを取り出し、胸元に強く押し当てた。何度も繰り返していると少し染みが薄まった。
「完全には消えないじゃない。これじゃあ、お母さんに叱られちゃうよ」
　偶然に通り掛かった白石妙子は母親らしい意見で、怒りませんよ、と呟いて近くのスーパーに入っていった。
　翠響の怒りの矛先は男の子に向かう。
「よくもやってくれたわね」
「笑ったほうが悪いんだ」
「へー、そうなのね。わかったわ。よーくわかったから、それで何が飲みたい？　あたしがおごってあげるよ」
　言葉の端々に怒りを含みながらも翠響は笑顔を見せた。男の子の用心深い目は数秒しか持たなかった。
「なんか悪いな。じゃあ、オレンジジュースで。今日はいろんなところを走り回って、ノドがカラカラなんだよなぁ」
「そんなに色々とやったんだ、ふーん。それなら小さいのじゃなくて、この大きなサイズのジュースがいいよね」
　翠響は缶ではなく、その隣のペットボトルを選んだ。
「こんなに大きいの貰って、ホントにいいのか？」
「大きいからいいのよ。気にしないでゴクゴク飲んじゃって」
　翠響の屈託のない笑顔に男の子の気は緩んだ。にかっと笑うと急いでキャップを回して飲み口に吸い付いた。
　ペットボトルの中身が半分まで減った。翠響は男の子の脇に移動して肩を指先で突いた。何気なく横目で翠響の顔を見た。
　夕焼け色の液体が周囲に飛び散る。
「は、鼻が痛てぇぇ！」
　鼻の穴からオレンジ色の液体を流しつつ、大いにむせた。翠響は余裕の笑みで自転車のサドルに跨った。
「笑った方が悪いんだからね」
「あ、あんな顔されたら、だれでも笑うに決まってんだろ！」
「大袈裟なんだから」
　翠響は澄ました顔で自転車を走らせるのだった。

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あとがき

担当マスター：黒羽カラス
ファンレターはマスターページから！

今回の丸投げシナリオはいかがでしたでしょうか。
ＰＬの心情とプロフィールを合わせて考えた結果、
このようなリアクションになりました。

マスターコメントには「第一回」とありました。
二回、三回と続くのでしょうか。今のところはわかりません。
皆様の反応によっては続くかもしれません。その場合、シナリオタイプはどうしましょう。
お財布に優しいイエローにしますか。ブロンズやシルバーで読み応えを重視するのでしょうか。
文字数の縛りは１００文字以内を継続？　それともシナリオタイプに合わせて文字数を増やしましょうか。

コメントやダイアリーに皆様の思いを綴っては貰えないでしょうか。
皆様の意見に触発されて新しい物語が生まれるかも（……生まれないかも）！

長々と書いてきましたが、そろそろ終わりたいと思います。
今回のシナリオへのご参加、本当にありがとうございました。

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