ウィンター！部活動のお時間です！～運動部編～｜リアクション

ウィンター！部活動のお時間です！～運動部編～

　練習試合で部員達が準備をしている中、荒太郎とののこ達は観客席に上がっていた。
「練習どうだった？　ののこちゃん達」
「綺麗に泳ぐって難しいけど速くなって楽しいね！」
「私も相原先生に教えてもらってだいぶ泳げるようになったよ！」
　荒太郎の問いにののこと美弥子が口々に答える。ふとののこが首を傾げた。
「荒太郎くんは試合出ないのー？」
　荒太郎は静かに頷く。
「うん、今回ぼくは見学するよ」
　荒太郎は考えた末、試合には出ない事にしたのだ。しかしそこに落胆もあせりもない。この合同練習で自分のレベルや課題がはっきりと見えてきたのだ。
（あせる必要はない。ぼくは成長してるってみんなが気付かせてくれたから。よし、この試合中も早くなるコツを見て盗むぞっ！）
　荒太郎にあるのは今後に向けた新たな闘志だけだ。彼はののこと美弥子に向かってにっこりと微笑んだ。
「試合って迫力があって見てても凄く楽しいよ！　ぼくも解説するから一緒に見よう」
「「ありがとう！」」
　そして３人はわくわくしながらその視線をプールの方に向けた。
　さあ、試合開始である。

　トップバッターは小麗だ。
（ののこ達や荒太郎も見ているのだ。カッコ悪いところは見せられないのだ！）
　気合い十分。小麗は女子５０Ｍ自由形での出場だ。
「用意」
　スターターの合図でグッと前傾姿勢を取る。ピッという電子音と共に、選手が一斉に飛び込んだ。

「李さん最初は犬かきしか出来なかったって言ってたのに、もうあんなに泳げるんだね。すごいね」
　小麗の泳ぎに美弥子が目を丸くする。ののこもうんうんと大きく頷く。
「私より全然速いー！　すごいー！」
「うん、そうだよ。しゃおりーちゃんは頑張り屋だからね」
　自分の事のように喜びながら、荒太郎は前のめりになって試合を見守る。
「おお、しゃおりーちゃん、クロールの息つぎが前より良くなってる－？！　すごいぞー！」
　荒太郎達の声援を受けながら、小麗は２５Ｍを折り返した。

　小麗は結果、１位からは少し水をあけられたが、混戦模様の中、中盤でゴールをした。
　ゴールタッチをした後、小麗は満足そうにプールから観客席に大きく手を振る。
（すごいよしゃおりーちゃん。ぼくも頑張らないと……！）
　感動に震えながら大きく手を振り返す荒太郎だった。