ウィンター！部活動のお時間です！～運動部編～｜リアクション

ウィンター！部活動のお時間です！～運動部編～

　部室の床も綺麗に拭き上げ、外に出してた棚やテーブルををまた入れる。そして必要な備品や私物は整理して綺麗にしまい、仕上げには部室前を真央が丁寧に掃いた。そして外に出してあったゴミをみんなで集積場に運び終えれば。

「終わったね、みんなお疲れ様ー！」
　綺麗になった部室で若菜が部員に向かって言う。自然と拍手が起こり、部室は爽やかな笑顔でいっぱいになった。
「何かこう……年末に大掃除すると、部室の扉にしめ飾りを飾らなきゃいけない気分になるのだ」
　真央がしっかり水拭きして綺麗になった扉の前でうむむと腕組みをする。
「後木さんは実家に帰るの？」
　侑の言葉に真央がニッと振り返った。
「お年玉もあるから正月帰省なのだ、侑ちゃんはどうするのだ～？」
「ウチ？　う～んそうか、お年玉だよにー」
　真央の一言で侑が色々考え始める。そんな２人の頭を正也がぽんと叩いた。
「正月明けたらまた部活があるからな。そこ忘れるなよ」
「お正月と言ったら砂浜なのだ！　寝子島海岸でロードとか楽しそうなのだ！」
「何で正月だと砂浜なんだよ……」
　きらきらと目を輝かせて言う真央に正也は呆れながらも、まんざらではない雰囲気だ。「十文字さん、正月明けどうする？」と若菜と相談をし始める。
　そこに顧問の幸太が戻ってきた。その姿をといきが見つけて声を上げる。
「あ、浅井先生にゃ」
　キランと真央の目が光った。
「幸太ちゃんセンセー、お腹減ったのだ～！」
「確かに腹減ったよな－。こーちゃんセンセ、お年玉って事で何か奢って貰えませんかね～？」
　望月も真央に便乗する。戻ってきて早々突然部員達にたかられ、幸太は「え、え、ちょっと待て！」と困惑気味だ。（あと一押し！）と真央は拓郎にも話を振る。
「真央ちゃんはもっちんセンパイんち行ってお好み焼き食べたりしたいのだ～。拓郎ちゃんはお腹減ったのだ？」
　突然自分に振られた拓郎は目をぱちくり。幸太は固唾を呑んで拓郎の言葉を待つ。拓郎はお腹を押さえ少し思案すると、口を開いた。
「ん……確かに……腹は減った……かな」
「志波～～～！」
　涙目の幸太に歓声を上げる部員達。望月を筆頭に「おっとしっだま！　おっとしっだま！」とコールが湧き起こる。
「カップラーメンでもいいっすよ？」
　ニヤッと笑う望月に幸太は憤然と言った。
「先生だって社会人なんだぞ！　―――よし、わかった。ボーナスも出たし、打ち上げはうさぎ屋でお好み焼きだ！」
「「「「「「「やったーーー！！！」」」」」」
　部室に響く大歓声。我先にと部室を出て行く部員達。そんな中幸太は望月をそっと小声で呼び止めた。
「―――うさぎ屋って団体割引きくか？」

　お勘定は結局、部員達の優しさと幸太の社会人の意地がせめぎ合い、何とか折り合いがついたのだがまあここで野暮な事は言うまい。
　ともかく「安い・でかい・腹一杯」のうさぎ屋で、大掃除を頑張った寝子高陸上部員達は、元気に食べ、喋り、年末の楽しい時間を過ごしたのであった。