ウィンター！部活動のお時間です！～運動部編～｜リアクション

ウィンター！部活動のお時間です！～運動部編～

【探検部】

「今回の探検部のテーマは『冬山の安全な歩き方』を身につけることだ」
　
　正月が明けた冬休みのある日。登山口の広場で部長の龍目豪が白い息を吐きながら探検部の面々を前に説明を始めた。
　今彼らがいるのは本土にある１０００ｍ級の山だ。山の中腹までケーブルカーが通り、その終点が登山口となる。観光客も手軽に山の景色を楽しめ、登山客はそこから割と手応えのある山道が楽しめる、人気のスポットだ。
　しかし今の季節は冬。観光客の姿はまばらで、周囲にいるのは冬山登山を楽しもうと装備もしっかりと山道を登っていく登山客の方が多かった。
「冬山だからな。１０００ｍ級の山といっても、ここは上の方は雪が積もっている所が多い。みんな配ったしおりを見て準備してきたか？」
　豪の言葉に部員達が各々頷く。それを確認すると豪は「今日は新入りがいるんだ」と言って女の子２人に手招きした。
「野々ののこと串田美弥子だ。体験入部という事で来てくれたんだ。山は初心者らしいから、みんなも気を付けてやってくれ」
「「よろしくお願いしまーす！」」
　豪の紹介にののこと美弥子は元気に挨拶をする。ぱちぱちぱちと探検部から歓迎の拍手が起こった。
「俺は彼女達に合わせてしんがりを行く。みんなは自分のペースで行ってもらって構わないが、くれぐれもはぐれないようにな。……あー、八神！」
「はい」
　豪に呼ばれた八神修が片手を挙げる。
「悪いけど、邪衣の世話を頼むわ。目を離すとどこ行くかわからんからな。邪衣！　……あれ、邪衣どこだ？」
「……さっきからここにいます」

　ガタイのいい男が最前列で手を挙げる。先程から話題の迷子属性邪衣士だ。うおっと豪が後ずさった。
「熊じゃないからわかんなかったぞ。今日は脱いでるんだな」
　いつも熊衣を身に纏っている士。それが本体と思われる事もしばしばである。
「冬山で熊だと登山客の人を心底怯えさせそうなので、脱いできました」
「……それはいい判断だな」
　豪は苦笑すると、もう１度部員達に向き直った。
「安全第一で冬山を楽しもう。危険な場所ではくれぐれも慎重にな」
　ハイッと一同がしっかりと返事をする。探検部、冬山登山開始である。

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