ウィンター！部活動のお時間です！～運動部編～｜リアクション

ウィンター！部活動のお時間です！～運動部編～

　総当たり戦は夕方近くまで続き、結局寝子高射撃部は２位だった。ほぼ初心者な女性陣３名を含めてのこの結果は大健闘である。
　そして夜はお楽しみの食事の時間となった。

　４校がそれぞれキャンプ料理を作り、皆でわいわい仲良く食べる。校舎内キャンプである。冬のキャンプは寒さ対策をしなくてはいけないが、ここは室内。地元の人が用意してくれただるまストーブが赤々と燃え、その上ではどこかの学校がおでんをことこと煮込んでいた。

「うっふっふ。キャンプといえばカレーなのです！　大鍋料理は得意ですよ、いっぱい食べて下さい～！」
　美咲紀が用意した大きな鍋には、美味しそうなカレーがいっぱい。中の人参は美咲紀の家庭菜園のものだ。別鍋で炊いたご飯もセットのこのメニューは、食欲をそそる匂いに皆が殺到した。
「サラダも食べて下さいねー！」
　美味しい食事に皆の笑顔が弾ける。ののこが口いっぱいにカレーを頬張った。
「美咲紀ちゃんすごくおいしーい！」
「人参も美味いよ、美咲紀」
　お世辞ではなく美味しいカレーに皆大満足だ。
「カレーは野菜切るの大雑把でいいですから、キャンプ向きなのです！　昼間沢山動いたから、晩ご飯はしっかり食べないと」
そう言いつつ美咲紀ももぐもぐと口を動かす。その横で修が穏やかにののこ達に訊いた。
「今日はどうだった？」
「楽しかったよ！　スリル満点！」
「疲れたけど気持ち良かったです」
　彼女達は口々に答える。修はふふと微笑んだ。
「それなら良かった。普段のメニューとは違うけど、射撃自体も意外に体力つくから。俺もそうだったし」
　修はふと立ち上がり、木造校舎の古いガラス窓の傍に歩み寄る。そして暖気で曇り始めたガラスを手できゅっとこすると、切り取られた様に夜空の星が見えた。
「綺麗だな……」
　女性陣も食べる手を止め、静かに冬の星に思いを馳せていたが、「あ」と美咲紀が声を上げた。
「須藤さんどこいっちゃったんでしょう？」
「そういえばそうだな」
「私さっき廊下で見たー！」
　ののこが元気よく手を挙げて答える。どれどれとみんなが廊下に行ってみると。

「……これからちょっとだけ抜けへんか？　２人で特別練習や。エアガンの扱い方、教えるで」
「え～？　……また今度にします！」
「そか？　じゃあ後でアドレス教えてな」
　廊下には他校の女生徒と仲良さそうに話す清一郎の姿があった。清一郎は女生徒が教室に戻っていくのを手を振りながら笑顔で見送る。そのままのポーズでこちらを振り向き、固まった。
「あ、あら……？」
　あははと乾いた笑いをする清一郎を美弥子がじと目で、ののこがにやにやしながら見る。
「自分を犠牲にして私達を逃がしてくれた須藤君、かっこいいと思ってたのに……！」
「清一郎君フラれてやんのー！」
「い、いやこれはやな！　……ってか、俺フラれてないで野々ちゃん！」
「女の子の『今度』は『ごめんなさい』って意味ですよ♪」
　笑顔で美咲紀が毒を吐く。顔面蒼白で清一郎が固まってしまった。修がトドメの一撃。
「そんなに特別練習したいのなら、学校戻ったら俺と２人でやろうか。みっちり鍛えてやるよ」
「―――男と２人はいやや～～～！！」

　涙目の清一郎。笑いに包まれながら、射撃部の合宿は過ぎていくのであった。