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- 種族
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- 学年：職業
- 00月00日生 00歳
- AAA000000
ストリーミング・ドリーマー
睫をふるりと震わせて、回田 はつなは柔らかく瞳を細める。
枕に預けた頭を横に転がせば切り揃えた前髪が動作に合わせて流れてゆく。頬を撫でた鴉の濡れ羽の髪先を弄り、枕元から漂うかおりにゆっくりと瞼を落とす。
「見たい夢がみられるのか～」
店先で聞いた効能が本当であればいいとはつなは唇が弧を描く。見たい夢はある。求める夢は――現実なら叶わない。
（私……トトに会いに行きたいな。また仲良くしてくれるかな～……）
何処からか、わんわんと声が聞こえる。はつなを呼ぶような柔らかな音色を持った犬の鳴き声。
重い瞼を押し上げたはつなは飛びつく様に走り寄ってきたイヌの姿に幾度か瞬いて、笑みを漏らした。
「あ、トト～！ ほんとに会えた～！」
うひ～、と喜びの声が思わず漏れる。現実世界なら花弁が周囲に舞う喜びの起伏ははつなの笑顔をより深くした。
ぺたりと座ったはつなの頬をこれでもかという程に舐めるトトに「くすぐったいよ～」とはつなはぎゅ、とトトを抱き締める。
はつなにとってトトは大切な妹だった。幼い頃に父が姉妹だと贈ってくれた可愛くて元気な『妹』
『なまえは、トト……トトリクス！ 縮めて、トトね！』
よろしくね、と頭を撫でた時、トトは幸せだと尻尾をぶんと振っていた。
父は妻と娘を何よりも大切にしていた。それがかけがえのない愛情だとはつなはよく理解していたのだ。
優しい両親を愛しく思うはつなの心にぽかりと開いた穴は――母が違う方向を向いていると気付いてしまったからなのかもしれない。
『お母さん……』
ぽつりと。零した言葉は明かりもつけないリビングに吸い込まれて消えてゆく。
机に伏せたまま塞ぎ込んだ母は父を愛していた。何よりも――深く。娘への愛情は父の笑顔を作りだす為の演出装置だったのだと、幼いはつなに理解させてしまうほどに深く、深く父だけを見詰めていた。
『お母さん、今日、オムライス作ってくれる約束……あ、ううん。何でもないよ～、大丈夫』
仕事の都合で島を後にした父を恋しくて泣く母の姿は余りにも痛ましくて。
――おかあさんはさみしいんだ。でも、私も……。
『大丈夫だよ。私はトトがいるから。ね。トト～、お散歩行こ～！』
おいで、と呼べば寂しさを感じとった様にトトがぺろりと舐めてくれる。傍にいる愛しくて大切な妹。
彼女が居なくなったのは、はつなが本土に居た時だった。
トトが亡くなった。たったそれだけの言葉が今も胸の奥に重く圧し掛かる。
唇を震わせて、トト、と呼んだ声音は僅かに震えていた。
「すっごく大好きだったのに……すぐに会いに行けなくて、ごめんね。今はいっぱい遊ぼ！」
声が小さく掠れたのはトトも同じだった。朝が近いと告げる様にぺろりと頬を舐めたトトにはつなは瞬く。
「あれ？ もうお別れの時間が来ちゃったの～……？」
悲しげに尻尾を揺らしはつなの頬を舐め続けるトトにはつなは息を飲む。
トト、トトと幾度も名前を呼んで、はつなは彼女をぎゅっと抱きしめた。指先が僅かに震える。
「覚めたくないよ、折角会えたのに。やだ、トト……！」
笑った儘なのに、頬を伝った水滴がトトの姿を霞ませる。やだよ、と吐き出した言葉を遮る様にトトがわん、と泣いた。
「うひ～、そうだね、トトとはまた逢えるよね？」
へらりと笑ったはつなの頬に涙の筋がいくつも見える。大粒の雫が伝って落ちてゆく。
「トト…ありがと。また、また会いに来てね」
吐き出した声音は、昇った朝日に飲み込まれて消えた。
それは――やさしい夢の終わりだった。
枕に預けた頭を横に転がせば切り揃えた前髪が動作に合わせて流れてゆく。頬を撫でた鴉の濡れ羽の髪先を弄り、枕元から漂うかおりにゆっくりと瞼を落とす。
「見たい夢がみられるのか～」
店先で聞いた効能が本当であればいいとはつなは唇が弧を描く。見たい夢はある。求める夢は――現実なら叶わない。
（私……トトに会いに行きたいな。また仲良くしてくれるかな～……）
何処からか、わんわんと声が聞こえる。はつなを呼ぶような柔らかな音色を持った犬の鳴き声。
重い瞼を押し上げたはつなは飛びつく様に走り寄ってきたイヌの姿に幾度か瞬いて、笑みを漏らした。
「あ、トト～！ ほんとに会えた～！」
うひ～、と喜びの声が思わず漏れる。現実世界なら花弁が周囲に舞う喜びの起伏ははつなの笑顔をより深くした。
ぺたりと座ったはつなの頬をこれでもかという程に舐めるトトに「くすぐったいよ～」とはつなはぎゅ、とトトを抱き締める。
はつなにとってトトは大切な妹だった。幼い頃に父が姉妹だと贈ってくれた可愛くて元気な『妹』
『なまえは、トト……トトリクス！ 縮めて、トトね！』
よろしくね、と頭を撫でた時、トトは幸せだと尻尾をぶんと振っていた。
父は妻と娘を何よりも大切にしていた。それがかけがえのない愛情だとはつなはよく理解していたのだ。
優しい両親を愛しく思うはつなの心にぽかりと開いた穴は――母が違う方向を向いていると気付いてしまったからなのかもしれない。
『お母さん……』
ぽつりと。零した言葉は明かりもつけないリビングに吸い込まれて消えてゆく。
机に伏せたまま塞ぎ込んだ母は父を愛していた。何よりも――深く。娘への愛情は父の笑顔を作りだす為の演出装置だったのだと、幼いはつなに理解させてしまうほどに深く、深く父だけを見詰めていた。
『お母さん、今日、オムライス作ってくれる約束……あ、ううん。何でもないよ～、大丈夫』
仕事の都合で島を後にした父を恋しくて泣く母の姿は余りにも痛ましくて。
――おかあさんはさみしいんだ。でも、私も……。
『大丈夫だよ。私はトトがいるから。ね。トト～、お散歩行こ～！』
おいで、と呼べば寂しさを感じとった様にトトがぺろりと舐めてくれる。傍にいる愛しくて大切な妹。
彼女が居なくなったのは、はつなが本土に居た時だった。
トトが亡くなった。たったそれだけの言葉が今も胸の奥に重く圧し掛かる。
唇を震わせて、トト、と呼んだ声音は僅かに震えていた。
「すっごく大好きだったのに……すぐに会いに行けなくて、ごめんね。今はいっぱい遊ぼ！」
声が小さく掠れたのはトトも同じだった。朝が近いと告げる様にぺろりと頬を舐めたトトにはつなは瞬く。
「あれ？ もうお別れの時間が来ちゃったの～……？」
悲しげに尻尾を揺らしはつなの頬を舐め続けるトトにはつなは息を飲む。
トト、トトと幾度も名前を呼んで、はつなは彼女をぎゅっと抱きしめた。指先が僅かに震える。
「覚めたくないよ、折角会えたのに。やだ、トト……！」
笑った儘なのに、頬を伝った水滴がトトの姿を霞ませる。やだよ、と吐き出した言葉を遮る様にトトがわん、と泣いた。
「うひ～、そうだね、トトとはまた逢えるよね？」
へらりと笑ったはつなの頬に涙の筋がいくつも見える。大粒の雫が伝って落ちてゆく。
「トト…ありがと。また、また会いに来てね」
吐き出した声音は、昇った朝日に飲み込まれて消えた。
それは――やさしい夢の終わりだった。
あとがき
担当マスター：
日下部あやめ
ファンレターはマスターページから！
ストリーミング・ドリーマー。優しい夢の10本立てで夢十夜ですね。
このたびは当シナリオにご参加頂き誠にありがとうございました。
らっかみ！様では初めてのリアクション執筆となりました。初シナリオを選んで頂け非常に光栄です。
皆様の個性あふれるアクションに触れ、素敵な世界を出来得る限り描きたいと尽力させて頂いた次第です。
覚えているも覚えていないも皆様次第。先生方やあおいちゃん、ユウくんが覚えているのかは……？
それも、謎は謎だから美しいというものでしょうか。
また御縁がありましたら是非ともよろしくお願いいたします。
このたびは当シナリオにご参加頂き誠にありがとうございました。
らっかみ！様では初めてのリアクション執筆となりました。初シナリオを選んで頂け非常に光栄です。
皆様の個性あふれるアクションに触れ、素敵な世界を出来得る限り描きたいと尽力させて頂いた次第です。
覚えているも覚えていないも皆様次第。先生方やあおいちゃん、ユウくんが覚えているのかは……？
それも、謎は謎だから美しいというものでしょうか。
また御縁がありましたら是非ともよろしくお願いいたします。
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
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- 2016年03月12日
- 参加申し込みの期限
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- 2016年03月19日 11時00分
- アクション投稿の期限
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- 2016年03月19日 11時00分
