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パーフェクトワールドⅠ ~音楽教師は白亜の鳥籠に眠る~
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巨大な苺のオブジェの影で、
仙藤 紫
は細い息を吐いた。
背中に黒い翼を生やした騎士――人間に似た外見の生き物を見かけたのだが、
(武器を持っている、とは険呑ね。少なくとも、友好的な雰囲気とは感じられなかった)
そう冷静に判断したが故に、その姿を見咎められる前にオブジェの影に隠れた紫である。
思案に、紫は整ったかんばせを仄か伏せた。
(ろっこん持ちと言っても、私の能力は直接戦闘には役立たない)
だからとにかく、逃げて、逃げて、逃げて、生き延びなければ。
紫の目に、己の足元――自分が履いているローファーが目に入る。
(異世界を探索するには向かない靴ね。だけど、いざという時は全力で逃げないと)
覚悟を決めた紫の態度は、どこまでも沈着だ。
その眼差しからは、必ず脱出を果たそうという静かな決意が見て取れる。
凪いだ表情で、紫は靴を思考の端緒として、今の自分の服装について考えた。
紫は今、寝子島高校の制服の上からダッフルコートを羽織っている。
大人びて見られる紫だが、その装いはいかにも学校帰りの高校生、という風体だ。
(学校から靴を履き替えて外に出たらそこは異世界でした……なんて、映画や小説の中の話みたいね)
さしたる感慨もなく、紫はふとそんなことを思った。
もれいびとして目覚めて、まだ間もない紫である。
それなのに、短期間のうちに様々な騒動に遭遇する機会があり――彼女の脳は、不可思議な現象というものにすっかり慣れっこになってしまったのかもしれなかった。
それを証明するように、今の状況にもそこまでの驚きはない。
(それはそれで寂しい気もするわね。寂しい、という言葉が適切かはわからないけど)
自嘲気味にごく薄く笑った後で、紫は、ふっと思考を切り替えた。
先ず、耳を澄ます。黒い騎士の羽ばたきの音は、近くには聞こえない。
次に紫は、辺りの物に視線で一つ一つ触れていくようにして周囲を具に観察した。
「……やけに乙女チックな世界、よね」
思わず小さく零れたそんな感想は横に置いておいて、紫は遠くにそびえ立つ大樹を見遣る。
中が見通せないような鬱蒼とした森の向こう側に、その樹はそそり立っていた。
(やっぱり、あれが当面の目的地かしら……他に行く場所もないし)
ならば、あの得体の知れない森の中を通っていかねばならない。
紫は、通学バッグの中に入っている物を頭で数えて――胸中に嘆息した。
教科書、ノート、その他諸々細々とした物。
(異世界の探索に役立ちそうな物なんて、思いつかないわね)
けれど、ここで永遠に立ち止まっているわけにもいかないだろう。
さあ行こうと、紫が通学カバンの持ち手をきゅっと握り締めた、その時だった。
「……っ!?」
気配に振り返った紫の目に映ったのは、ふわふわと宙に浮かぶ愛らしい兎のぬいぐるみ。
そこで、紫の意識はぷつりと途絶えた。
ストロベリーソーダ色の空の下を行きながら、
大天使 天吏
は確信する。
(メルヘン、そして苺のお城……きっとここにはクローネ様がいるわ)
彼女の嗜好を考えるに駒たる人間もいるかもしれないが、天吏にとって肝要なのはやはりクローネの存在だ。
このまま、何とかして単身苺のお城へと乗り込みたいくらいの気持ちだが、
(お城への道は塞がっているし……かといって、彼らの前で下手に動くとまた邪魔されるのよね……)
と天吏は思案し、ならばとそのかんばせに作り物の笑みを乗せているのだった。
自分の行動を阻害する『彼ら』を惑わすための、ある意味ではその笑顔は武器だ。
『彼女』への敬愛のためならば、仮面を被るくらいのことは幾らでもしよう。
そうして天吏は――具合がいいことに、苺のオブジェの影に紫の姿を見つけた。
これもまた彼女にとって幸いなことに、天吏は丁度、紫がぬいぐるみに襲われるところを目撃する。
首筋に噛みつかれて、その場にへたりと腰を下ろす紫。
その瞳がぼんやりと曇っているのを確認して、天吏はぬいぐるみの去るのを待った。
(あれは、クローネ様の世界にあるもの。私が関わるには、あまりに恐れ多いわ)
けれど、目の前の少女に手を貸すくらいのことは、目的のためには必要だろう。
天吏は荷物の中から水の入ったペットボトルを取り出して、紫の元へと歩み寄る。
こちらの姿さえ目に入っていない様子の紫へと気つけとして水を飲ませてやれば、彼女の瞳に光が戻った。
「私は……一体……?」
痛む首筋を抑えながらぱちぱちとその双眸を瞬かせる紫へと、天吏は優しく声を掛ける。
「目が覚めて良かった、もう大丈夫よ」
紫へと笑い掛けて、天吏は紫に知る限りの状況を説明してみせた。
自分の記憶や状態から、天吏の言葉が真実であると判断し、
「そう……ありがとう。助かったわ」
と、紫は端的に礼を述べる。その言葉に、天吏は緩く首を横に振った。
「助かったのは私の方。突然、知らない場所でしょう? 一人じゃ、心細くて……」
その顔に笑みという名の仮面を貼り付けたままで、だから会えて良かったと天吏は音を紡ぐ。
暫しの思案の後、「そうね」と紫は頷きを一つ返した。
「1人で行動するよりも、2人の方がいいかもしれない」
「本当? それなら、一緒に。ありがとう、嬉しいわ」
心にもない言葉がよくもまあすらすらと口をつくものだと、天吏は自分で感心する。
(でも……最後の台詞は、ある意味では本心かもしれない)
――ありがとう、嬉しいわ。
彼女と協調する素振りを見せていれば、天吏はいかにも無害な少女らしいだろう。
(ああ、クローネ様。あなたの尊い足元に、恐れ多くも私は一歩近づきました……!)
天吏は胸の内に、抑えきれない高揚を隠した。と、その時である。
甘やかな色の空を、1羽の小鳥がすいと横切った。
「スズメ目……」
天吏が思わず呟いたその暫くの後。
2人の目の前に現れたのは、赤い和傘を手にした人間の少女――
御巫 時子
だ。
時子は、天吏と紫に向かってにっこりと穏やかな微笑を向けた。
「こんにちは……それとも、こんばんはでしょうか? とにかく、お会いできて嬉しいです」
ここは何だか可愛らしい世界ですねと、時子はおっとりとして言う。
曰く、旧市街に居たはずなのに気づいたらこの世界の大地を踏みしめていたのだとか。
ろっこんを用い、小鳥の姿に変化してここまで進んできた時子である。
この世界が危険な場所だということは承知しているはずなのだが、彼女はどこまでもマイペースだ。
口元に笑みの花すら咲かせて、辺りをきょろきょろと見回して言うことには。
「この世界って、以前見た事のあるクローネさんの頭の中に似ているなぁって」
とび出した名前に、天吏の胸はどきりとする。
けれど、時子は天吏の内心の動揺には気づかずに、言葉を続けた。
「もしかして、この世界のどこかに? なんて思っているのですが」
クローネさんに会えたら鳥さんのお祭りを作る予定は進んでるのか聞きたくってと、時子。
鳥も人も愛する時子は、その立場故にか殊更に屈託がない。
ところで、と、時子はぽんっと自身の手と手を合わせた。
「とりあえずですが、私はこの世界の情報収集をしたいなって思っているんです。それから、もし困ってる人がいれば力になれたら、とも」
天吏さんたちのご予定は? と問われて、天吏は紫へと視線を遣る。
どこを目指すかまでは、まだ紫から話を聞けていない。
天吏の意を察した紫は目だけで分かったと応じると、静かな調子で己の目標を語った。
「目指すべき明確な理由は残念ながら持ち合わせていないのだけれど、先ずはあの巨大樹へ向かうつもりよ」
天吏としても、とりあえずはその方針で異存はない。
行動を共にしたいという意を改めて込めて頷きを返せば、時子がにこりとして曰く。
「そうでしたか……私も、あの樹には何かあるような気がしているんです」
「そう……。もし気になるようだったら、一緒に行かない?」
紫の言葉に、「そうですね……」と、時子は少し思案顔。
(鳥に姿を変えられるのは、秘密のつもりなのですけど……)
けれど、既に空からこの世界の様子を眺めている時子である。
この世界が可愛いだけのものではないことは、よくよくわかっていた。
(一人で行動するのは、危険が大きいかもしれませんね……)
ならば、本当に必要な時のために能力を取っておいて、紫たちと行動を共にした方が安全かもしれない。
だから時子は、「よろしくお願いします」とぺこりと頭を下げた。
「こちらこそ、これからよろしくね」
紫の言葉に笑顔を返して、時子はもう一つ問いを零す。
「ところで、あの樹に向かうには森が2つありますよね……?」
どちらを通っていくのかという時子の言葉に、思案げに口元に手を宛がう紫。
「丘から見た時、浅そうに見えたのはあのお菓子のような森だったけど……この見解に相違はないかしら?」
天吏が小さく頷き、空から森を眺めていた時子も「間違いありません」と請け負う。
2人の反応を確かめた後で、紫は続く言葉を紡いだ。
「だけど、ここから近いのはあの宝石の森。道中で敵と遭遇する危険を考えるなら、こちらの森の方を目指すのが無難かと考えているわ。……勿論、森の中が安全だという保証はどこにもないけれど」
それでも、この拓けた場所に長くいるのはあまり得策ではないだろうと紫は言う。故に、
「2人に異存がなければ、宝石の森を通っていくのはどうかしら?」
というのが、紫が導き出した結論だった。
「私はそれで問題ありません……美しい森、ですよね」
「私も、一緒に行けるならどちらでも」
2人の答えに、今度こそ行き先が定まる。
そうして、3人は宝石でできた草木の煌めく麗しの森へと、共に歩を進めるのだった。
胸の内に抱えるものは三者三様なれど、一先ず、目指す先は同じだ。
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20人
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20人
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2016年03月21日
参加申し込みの期限
2016年03月28日 11時00分
アクション投稿の期限
2016年03月28日 11時00分
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