【球技大会】普通のサッカー（黒猫組サイド） -前半-｜リアクション

【球技大会】普通のサッカー（黒猫組サイド） -前半-

【球技大会開幕　～白猫組の場合～】

　事前練習は一通り終わった……。
「新人さん向けの練習方法あるから、よければ使ってっ！」
　緑野毬藻仔の提案によりサッカーに慣れていないものは、そのサッカー部の使っている新人メニューを使うことになった。
　サッカーに慣れているものはサッカー部が中心になって練習することになった。
「サッカーも楽しいねー。そうそう視線とか手足の動きとかが情報になるよ」
『がんばる』
　桜庭円が丁寧に小山内海とパスの練習を楽しんでみる。
　意思疎通の面が苦手な海にも、様々な提案があった。
　目的は二つ、楽しむ、そして勝つ！
「フフッ、サッカーなら黙ってるわけにはいかないな……」
　御崎瀬良が練習に勤しむ白猫組を見ながら、そうつぶやいた。
「ま、サッカー部も頼りになる連中もいるし、勝てるさ」
　握利平がそのつぶやきに付け足すようにそう加えた。
　そんなこんなで当日を迎えたのだが……。
「おい、なんで後半２が三人ほど多いんだ！」
「前半１と前半２が足りておりません！　自分は前半１をDFに前半２はMFに回るのであります！」
　メンバーの最終確認をしていた工藤耀がやってしまったと言わんばかりに叫ぶ。
　小倉杏子がさらに報告をあげるが、まだまだ充足には足りない。
「そしたら俺が前半１と前半２のFWに回ろう。そうすれば後半１のMFに誰かなるだけで済む」
　宇佐見望月のフォローはすばやく的確であった。
　てきぱきと采配が決められていく……。
「今足りないのは後半１のMFか……」
　そう耀がチームを見回したときだった。
「それなら俺が後半１へ移ろう」
　梅影裕樹がそう言った。
「ありがとう！　あとは後半２のMFの多さだが……。ほかの人の疲れ具合で調整しつつ、なんとか調整しようか。念のためキミが下がってもらえるか？」
「オーケー！」
　そんなこんなで、耀たちによって、再編成は完了した。
「よーし！　絶対勝つぞー！」
　その裕樹の声に応えるように白組の陣地から歓声が上がった。

【球技大会開幕　～黒猫組の場合～】

「白猫組に経験者が多い？　大丈夫だ、それほど差は無い」
　事前練習の時、八神修はそう言って自分で分析した相手チームのデータを見せた。
　その詳細なデータに驚きが見ていた皆から漏れる。
「彼を知り己を知れば百戦して殆うからず……なるほど、これは面白い」
　畑生言嗣がこれは使えると言わんばかりに言う。
「ふっ、俺が出るんだ。勝てないわけがないだろう。パーフェクトなゲームを見せてやろう」
　シグレ・ナイトウォーカーがそう言って自信があると言わんばかりに笑う。
　その言葉を聞いて体力や腕に覚えがあるものは俺たちも負けるなと、負けてられないというように頷いている。
「勝つのもいいけど、楽しみたいな」
　佐藤英二のその言葉も然りである。
「体育科舐めんなし！　練習するのだ。勝って修ちゃんにお寿司を奢って貰うのだー！」
　ほかにも後木真央が気合いを入れて練習している。
　どうやら、修が勝ったとしたらのご褒美を用意したらしい。
　仲良くやっているなら何よりである。
「黒猫に勝利を！」
「「「「「おー！」」」」」
　音頭をとる修に、勝てると言わんばかりに気合いを入れる黒猫組……。
　さて、そんなこんなで迎えた当日。
「ふっふっふ、どうやら白猫組はメンバーで慌てているようだ、この試合……もらった！」
　全体を見る監督として名乗り出た双葉仄が白猫組の様子を知って味方をもり立てるように気合いを入れ直す。
「こちらも指揮系統に不安を抱えているが……これが吉と出るか凶と出るか……」
　修は、この船頭が多い状況を憂いていたが、ある程度外側と内側の役割分担を調整することなどによって、うまく組織化を図ろうとしていた。
　実際、どんどん上手くなっていく皆を見て、チームを含めて高揚しているもの事実である。
「よっ。オレは頭悪ィからな、こまけぇことは任せた。でもその分動いてやんよ。ダンスする時みてぇにノリ良くいくぜ？」
　三ツ瀬銀次郎がそう言いつつ肩を軽くたたいて去って行く。
「体力は無いけれど全力で頑張る。ぬん！」
　真辺伸幸も気合いが入っている。
　修と双葉はこの士気の高さを貴重なものとした。サッカー部が多い？　不利？　そんなものは関係ないのだ。
「準備はできたな？　行くぞ！」
「「「「「黒猫に勝利を！」」」」」
　組んだ円陣から一斉の声が解き放たれていく。
　こうして両チームともに出そろったのであった。

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【球技大会】普通のサッカー（黒猫組サイド） -前半-

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