this frame prevents back forward cache
0
0
はじめての方へ
ヘルプ
ログイン
\ オーバータイム!/
種族
学年:職業
00月00日生 00歳
AAA000000
ホームトップ
おしらせ
新着通知
はじめての方へ
遊び方
世界設定
キャラクター一覧
キャラクター検索
キャラクター作成
らっポ
チケット
コミュニティトップ(検索)
コミュニティ一覧
公式コミュニティ一覧
公開トピック一覧
コミュニティ書き込み検索
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
イラストトップ
イラスト一覧
イラスト検索
イラストレーター一覧
イラストレーター検索
自作イラスト一覧
アイテム一覧(検索)
マイリスト一覧(検索)
寝子島(全景)
寝子島(地図)
寝子島(セカンドマップ)
寝子島高校
【大晦日】旧市街の夜と朝
<< もどる
1
…
7
8
9
10
11
…
26
つぎへ >>
【奏楽と誉、大晦日を共に過ごす】
寝子島駅——。
やあ、とでも言うように片手をあげた
市橋 奏楽
の薄い笑顔に、
市橋 誉
は形の良い眉を一瞬——しかし相手を苦笑させるほど分かりやすく顰めていた。駅前の時計が示す時刻は義兄との待ち合わせの『15分前』。10分前には来るだろうと踏んでそれより5分先に到着出来るようにやってきたのに……。
誉は出所のわからない理不尽なムカつきを覚えている。
「今日も寒いな」
「そうだね」
お互いの、手袋と帽子まで着用しての完全な防寒装備を当たり障りの無い挨拶代わりの話題にあげた。
「予定より少し早いけど、ゆっくり歩いていけばいいよね。誉、お腹は減ってるかい?」
10センチ程低い弟の顔を覗き込むと、誉は「少し」と軽く返事をする。だから予定通りに蕎麦屋『すすきの』へ向かって歩き始めた。
混み合う道で不自由にノロノロ進みながら、誉は奏楽の顔を盗み見るように一瞥する。すると兄は目敏く気付いて、「手でも繋ぐ?」と機嫌良さそうに冗談をとばしてきた。こいつは何を言ってるんだ。
「人が多いから、逸れないようにね」
「逸れるなはこっちの台詞だ」
そもそも兄弟で年越しする事自体、誉は一度思いついて躊躇したのだ。高校生と大学生の兄弟にしては、あまりにも色気がない。
(でも今年は俺と奏楽にとって、新たな一歩を刻む一年だったから……)
だから奏楽と共に年を越そうと思い立って誘ったところ、奏楽もまたそれが自然だと思っているように二つ返事をかえしてきたのだ。
周囲に若い男女の組み合わせやら、女の子同士の華やいだグループやらを目にすると何とも言えない心地になるものの、触れ合う距離に兄が居る事が、今は一番しっくり感じられる。
「——やっぱり何となく、これでいいかな」
「ん? なんだい?」
奏楽の笑顔になんでも無いと首を振り、第一目的地の暖簾を潜った。
書き入れ時も書き入れ時の31日だ。
すすきのの混み具合は普通じゃなかったが、予定時刻より早めに着いていたからそれが逆に丁度良かった。カウンター席に案内される頃には上手い事減ってきた腹に、温かい蕎麦が収まっていく。
「——蕎麦、美味しいね」
「ああ、やっぱり美味しい蕎麦はお店で食べるに限る。
いつもなら込み合う店内は苦手だけど……、大晦日特有の、少し浮かれたような空気は嫌いじゃない」
「うん、見ず知らずの人達とさ、こうして同じものを食べてるって……少し不思議なカンジがする。俺も好きだよ」
他愛の無い会話に、身も心もあたたまった。
その後。次の客が待っているのもあって、二人はすぐに席を立った。コートのポケットから出した手袋をそそくさとつける誉の横で、奏楽はまだ裸の手で鞄から出したカイロのパッケージをきり、誉の手にのせた。
「指先は冷やさない方がいいし」
本格的にピアノを演る者には言うまでもないが、そんな気遣いが出来るのが、同じ道を目指す者同士なのだろう。
この一年を乗り越えて、ついにそんな関係に戻れたのだ。その喜びを感謝して表すとしたら——。白い息を吐き出しながら黙々と神社へ向かって居ると、誉が足を止めた。
「高校の先輩たち」挨拶するからと奏楽を呼びとめた。
「先輩!」と誉が声をかけると、存在に気付いた一行がこちらへ近づいてくる。奏楽は半歩下がった位置で会話を聞き、彼らが皆誉の知り合いらしいと察した。そこで誉が半身を奏楽へ向ける。
「兄の奏楽です」
誉の紹介が続いた。ほとんどは寝子島高校の生徒で、一人だけ中学生の少年がいた。
「弟がお世話になってます」と奏楽が挨拶すると、双子の兄弟はわざわざ脱帽して握手を求める手を差し出してきた。末弟が兄たちに倣うように続いた。
「——誉さんは、いつも良くしてくれるんです」
彼らの好意的な笑顔と態度に、奏楽は自分の知らない弟誉の一面を、喜びで受け止めた。
「冬の空気は好きだ。澄んでいて……身が引き締まる気がする」
参拝を終えた誉が、そう言いながら白い息を吐き出した。
遠くを見ている横顔だ。
「さっきの子、見てて昔の誉を思い出したな」
「イリヤ? 全然違うだろ。だって俺は奏楽を避けてて——」
誉の言葉をきっかけに、今年一年の出来事が、二人の間を巡っている。
かつて音楽とピアノの道を絶った兄と、彼に音楽の道を諦めて欲しくない弟の道は分かたれた。
しかしぶつかりあったことで、互いに夢へ向かう勇気を出せるようになったのだ。
奏楽は思い出す。
(あの時引き出された俺の本音。……音楽が、ピアノが好きで好きで仕方ないって事……。
それに気付かせてくれたのは、大切な弟だ)
そしてチャンスをくれた神様に、感謝を捧げてきた。
(俺はこんなだから……また迷う事があるかもしれないけれど、この気持ちを忘れないように)
神前で頭を下げながら想った事を改めて胸に、奏楽は空を仰ぐ。
「今年は色々あったけど、来年はもっと色々ありそうな、そんな予感がしてるよ。
勿論、良い意味でね」
兄の言葉を噛み締めながら、誉も倣って顎を上げる。
不意に感じた冷気に、「指が固まりそうだ」と苦笑してカイロで大事に指を包み直した。
——誉のピアノは、奏楽から始まった。
だからあの時に勇気が持てて、そのチャンスが巡ってきて本当に良かったと、もう一度喜びを噛み締めながら参拝した。
(色々無茶をやったけど……音楽をピアノを続けて欲しいと願う思いを、奏楽に伝えられてよかった。
奏楽がまた、ピアノを弾いてくれる事が嬉しい)
弟の気持ちは口にせずとも風に乗って、兄へと伝わったらしい。会話は途切れていたのに、奏楽が口を開いたのだ。
「誉、有難う」
二人が見上げる空には、夢へ向かう兄弟を導くように、美しい星が瞬いていた。
<< もどる
1
…
7
8
9
10
11
…
26
つぎへ >>
このページにイラストを設定する
シナリオ
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
シナリオご利用ガイド
グループ参加ご利用ガイド
シナリオタイプのご案内
【大晦日】旧市街の夜と朝
シナリオガイド
リアクション
参加キャラクター一覧
コメントページ
ダイアリー一覧
シナリオデータ
担当ゲームマスター
東安曇
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
オールジャンル
定員
1000人
参加キャラクター数
41人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2016年03月11日
参加申し込みの期限
2016年03月18日 11時00分
アクション投稿の期限
2016年03月18日 11時00分
参加キャラクター一覧
もっと!