「トワはお願い事あるマス、good friend もっと友達いっぱい作るデス」
「あれに頼み事が殺到しても何とかできると思えんなー」
ぱちぱちと両手を叩いて参拝するトワの荷物を抱えながら、楓はぼやいていた。
(こいつの方向音痴を直してくれつっても出来んだろ)
なんとなしに野々 ののこによく似た御祭神が願いが書かれた短冊に埋もれてアワアワしている場面を夢想してしまうものの、ここの御祭神ならと淡い期待がこみ上げてきた。
——もしもトワの方向音痴がこれでぴたりとなおったら……?
と、思ったのは一瞬。即座に自分で否定する。
やっぱり期待はやめておこう。首を横に振った時、空に花火があがった。
「Happy New year!
I look forward to your continued good will in the coming year.」
「ああ、言い忘れてたな。
あけましておめでとうございます。ま、今年も宜しくってな」
「あけましておめでとーなのデス!」
明るい笑顔と楽しげな声に、振り回されるのも悪くない……などと思ってしまったらいよいよだろう。こうして新しい年も、保護者らしくない保護者として、楓は頑張るのだ。