年賀状準備中！｜リアクション

年賀状準備中！

〒　星ヶ丘寮　八神宅

　冷静沈着な優等生八神修は、自宅でたくさんの愛猫や愛犬たちに囲まれながら年賀状作りを始めていた。
　最初は、例年通り得意なパソコンで作成ソフトを使い作り始めたのだが。
　用意された干支のデザインや例文を組み合わせた画面を眺めつつ、修は首を振った。
「どうも個性がないな」
　年に一度の挨拶だ。印刷屋でできるようなありふれたもので済ますのはもったいない。
（大切な友人達に、ありったけの想いを込めて伝えたい）
「写真を使ってみるか。ミルク、ちょっと来てくれ」
　修は先日買った猿のデザインの帽子を取り出した。
　猫のミルクにかぶせてみる。
「可愛いといえばかわいいが……」
　猫に猿の帽子はやはり違和感があった。
　ミルクは首を振って帽子を吹っ飛ばしてしまった。
　そのまま咥えておもちゃにしようとするのを取り上げて、カメラを構える。
「みんな、写真を撮るからおいで」
　可愛さに満足しながらシャッターを切るが、修は気づく。
「いかん、これでは猿の要素がない！」
　なんとか申の要素を、と修は考える。
「猫で申という文字を作ってみるか。ミルク、体を伸ばしてこっちへ寝て。ブルーはこっちへ」
　修は猫たちの体を床に伸ばし、申という漢字を形作ろうとする。
　たくさんの猫たちがいるからこそできるアイディアだと思ったが。
「問題はそのままじっとしててくれないことか……」
　すぐに修のほうへ寄ってきたり、気ままにごろごろ転がりだしたり。
　猫たちは、一瞬たりともじっとしていてくれなかった。

「……手作りで作ってみよう。一寸歪んでても良い」
　もっとあそんでー、とねだる猫たちをなだめつつ、修は出かける支度を始めた。

　

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