いいえ、その教科書通りで正解です。けれどタルトは止まらない、その気持ちを例えるなら怒りだろうか。こんな言葉じゃダメだ、もっとあるはずだ。もっと、もっと! 僕ならやれる! I love youを、月が綺麗ですねと訳した夏目漱石のように!
その独自解釈を採点する教師がどう受け止めたのかは神のみぞ知る、である。
続いては理科のテストだった。問題は人体模型のイラストの部位を答えろというものだったのだが、何故かタルトの脳内に浮かんだのは教授を慕う助手と、その助手の幼馴染によるトライアングル掛け算だった。
助手の思いは教授の人体実験に自らの身体を捧げるほどに高まっていた、だがそんな助手の思いを知る幼馴染は代わりに自分の身体を使ってくれと教授に懇願し……愛と憎悪の三角関係が、今始まる――。どっかの掛け算ゲームにありそうなフレーズだ。