幽かな願いを、雨に乗せ｜リアクション

幽かな願いを、雨に乗せ

●優しい雨と。
数日後、美術室。
窓からは夕暮れの光が差し込み、室内を鮮やかなオレンジ色に染めていた。
教室に居るのは、旅鴉月詠ただ一人。筆とパレットを手に、キャンバスと向き合っている。
傍らの机の上に開かれているのは、一冊のスケッチブック。時にそれを見やり、また時に記憶をさぐりながら、丁寧に筆を走らせていく。
その姿は、懐かしんでいる様にも、あるいは語りかけている様にも見えたかもしれない。
筆の走る音と筆洗の水音だけが、美術室に染み入っていく。
時間が何倍にも引き伸ばされている様な錯覚すら覚える、静寂。
それを破るように、一際大きなちゃぽんという音が響いた。筆洗の水の上を、波紋が走る。
じっくりと、キャンバスを眺める月詠。
やがて、満足げに一つ頷いた。
夕日に照らされたキャンバスの上に広がるのは、一枚の水彩画。
笑顔を浮かべた少女と、彼女を包む優しい雨。

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あとがき

担当マスター：風雅宿
ファンレターはマスターページから！

春雨の幽霊は、楽しい思い出を胸に雨空に溶けていきました。
ひょっとしたら、また誰かを誘いに現れることもあるかもしれません。

当シナリオに参加して頂いた皆さんに、最大限の感謝を。

話の都合上、参加者の方々にはほとんど固まって動いて頂く形になりました。
にも関わらず、登場箇所や台詞が限られてしまう方が居たり、偏りがあったことは大変申し訳なく。

しかし、皆さんの杏子に対する優しさがいっぱいのアクションは、全てしっかりと目を通させて頂きました。

杏子が笑顔で消えていったのは、間違いなく皆さんのおかげです。

彼女の願いを叶えてくださって、本当にありがとうございました。

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