●春雨の幽霊
春特有の温かな雨が降る放課後に、その少女は現れるのだという。
寝子島高校の制服を着た、だけども誰もその顔に見覚えのない、一人の少女。
いつのまにか、グラウンドの片隅に立ち。
いつのまにか、何処にも居なくなっている。
初めて姿を現してから、数日。
彼女の存在は、小さな噂となった。
そのうちに、誰からと言うわけでもなく、彼女はこう呼ばれるようになった。
「春雨の幽霊」と。
●ある雨の日、寝子島高校にて
雨のせいか、少しばかり生ぬるい空気が漂う校舎の一角。
「声を聞いたんだ」
いつもの様にスケッチブック片手に、
旅鴉 月詠が言った。
声? と不思議そうな顔をする周りの生徒達。
「彼女……『春雨の幽霊』の声だよ」
事も無げに言ってのける。
驚きの声が上がったりもするが、月詠は意に介すことなく話を続ける。
「詳しいことはわからないが、やりたいことがあるらしい」
もし、「春雨の幽霊」が本当に幽霊なのだとしたら。
ある意味、それは当然のことと言ってもいい。
幽霊というものは、どんな形にせよこの世に未練があって現れるのだから。
して、彼女のやりたいことは一体――。
「雨降りの放課後を、誰かと過ごしてみたいんだそうだ」
例えば、校舎から誰かと窓の向こうの雨を眺めたり。
例えば、傘を差し、肩を並べて帰ったり。
例えば、雨宿りと称して寄り道をしてみたり。
そんな、ささやかでありふれたひと時を。
「声を聞いたのも、きっと何かの縁だろう」
だから、
「付き合ってみるのも、悪くないかも知れないよ」
今日もグラウンドに一人立つ少女に目を向け、月詠はそう言った。
雨と幽霊の組み合わせって、素敵だと思います。
お久ぶりです&初めまして、風雅宿です。
「幽かな願いを、雨に乗せ」のシナリオをお送りいたします。
幽霊の女の子の願いを、叶えてあげてください。
◆幽霊について
・名前は「千草杏子(ちぐさ・あんず)」※PCは聞かない限りわかりません。
・色白で黒のショートカット、瞳の大きな可愛らしい雰囲気の女の子です。
・彼女はほぼ完全に実体化しており、霊感が無い人でも見たり触ったり、声を聞いたりすることができます。
・ですので、ほとんど「フツウの女の子」の様に扱うことが可能です。
※幽霊の特徴等については、「噂を聞いて知っている」として頂いて構いません。
◆できること
・雨宿りと称して寄り道してお店に入ってみたり
・一緒に雨の校内を回ってみたり
・雨の通学路を、傘を差して一緒に帰ったり
・一緒に濡れネズミになってみたり
等など。
以上はあくまで一例ですので、他にやりたいことがあればそれは是非アクションにお書きください。
サンプルアクションの方もご覧ください。
※学校の周辺からシーサイドタウン駅周辺までなら、連れ出して一緒に行動することが可能です。
尚GAは大歓迎です。
それでは、ご参加お待ちしております。