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【停車駅】
ほう、と白い息を両手へ吐いて、頬っぺたにぺたん。冷たい肌が、いくらかあたかかくなるような気がします。
(写真……無くなってないといいんだけど)
努めて冷静さを保ちながらも、
塔尾 松生
もまた、それは表向きのこと。内心には焦りがあって、時に自然と歩みは小走りに変わり、そのたびに彼女は、自分に言い聞かせるのです。
(こういう時こそ、落ち着かないとね)
失くしたのは、定期入れ。寝子電を降りて、近くのコンビニへ寄り道したあたりでどこかに落したらしいことに気づいて、松生は来た道をたどっているところです。
それほど高いものでもない、既製品ではありました。きっとお店を探せば、似たようなものがいくらでも見つかるでしょう。それに中学時代から、もうずいぶんと長い間使っているもので、さすがにくたびれてきたことは否めません。そろそろ買い替えたら? なんて、人が見たら言うかもしれません。
それでも、思い入れがありました。大したものではなくとも、すっかり愛着が湧いて、何だか手放しがたいのです。このまま見つからなかったら、きっと自分で思っている以上に、がっくりとしてしまうでしょう。
それに。
(そりゃ、実家に帰れば、同じ顔は見られるけど。でも……)
定期入れに入れてある、一枚の写真。昔家族で撮った、思い出の光景。
無くなってしまうのは、どうにもやっぱり、寂しいのです。
(……っ)
寒さに赤らんだ顔へいつになく真剣な表情を浮かべて、松生は地面を注視して歩きながら、時折小走りになってしまいながらも道をたどり、やがて駅へとたどりつきました。
でん、どどん! 机の上に置かれた箱の中身を見るに、
椿 美咲紀
は思わず、ちょっぴり口元をひくつかせながらに、聞き返してしまいます。
「こ……この中から探せと、そのように申されるのでありますかな?」
焦りのあまり、ビミョーに言葉はオカシイものの、意味は伝わってくれたようでして、応対してくれた駅員さんも苦笑いです。
「ええ、年末はこうして、忘れ物が増えてしまうんですよ。お客様に探させてしまってすみませんね、どうしても今、手が開かなくて……」
「ま、時期的に、いたしかたないといったところかな」
目の前の保管箱の中へとでででんどどんっ、うず高く積まれた遺失物の山々を前に、それでものんびりあっけらかん、と言ったのは
旅鴉 月詠
です。美咲紀と同じような用事で、こうして駅員室へと通されたはずなのに、クールな彼女は鼻歌まじり、いつものごとく飄々としたもの。美咲紀としては、何だか相対的に、返って焦りが増してしまうような気がします。
何しろ! 何しろ美咲紀の探し物、忘れ物ときたらちょっともう、他の誰かには見せにくい、非常に個人的な代物でありまして……つまるところは、
(私の、BL創作ノート! 何でよりによって、アレを落としちゃったの……!?)
A6サイズのノートへと軽快に綴られた、自作短編小説の数々。美咲紀の妄想が高じたその結晶……すなわち、素晴らしき男性掛け算! その最適解を模索するという崇高な試み……! 揺るぎなき欲求は日々多種多様かつ斬新な組み合わせを天啓として美咲紀の頭脳へもたらし、そのシミュレート結果をごく短い一節として抽出したものが、彼女の大切な創作ノートでありました……!
心当たりは昨日、寝子電に乗って本土へ向かい、お目当てのいわゆるひとつの、薄い本を買ってきたその帰り道。うっかり刺激を受けてしまったもので、帰りの車内で待ち切れずノートを広げ、さらさらさらり。ついついメモってしまった後に、どうやら、座席の上へ置きっぱなしにしてしまったようなのです。
そんなわけでやってきた、寝子島駅。同じような時刻、場所に見つかったものをまとめたなかなかに巨大な遺失物保管箱……が、三箱。中身は山盛り! の中から、自ら探し出さねばならないのです。誰かに見られる、その前に……ッ!!
「おや? このノートは……」
「にょわーーーっ!?」
さっそくごそごそとやり始めたところで、月詠がずるりっと箱の中から取り出しましたのは、A6のノート! 止める間も無く手元は翻り、ぱらぱらぱら……。
「ほほう、これは大したものだ。野鳥観察の記録か、どこかのお年寄りのものかな? 実に正確鮮明だね、素晴らしい……ん、君、どうかしたのかい」
お隣で、美咲紀はズッコけてました。
これが何とも、月詠のほうもまた、似たような品物を探しているようでして……サイズは違えど、愛用のスケッチブックがお目当てと言う彼女が興味を惹かれて、そうしたノートの類も手に取ってみないとは限りません。
(やーばーいーっ!! こここ、この人より先に見つけないとですーっ! って慌ててる場合じゃない、落ち着け、あたしちゃんっ!!)
と言っても、人様の忘れ物を乱暴に扱うわけにもいきません。美咲紀は焦り、心は急いて、それでも慎重に、積まれた遺失物の数々をかきわけていきます。
「……あら。似たような人がいるものね」
そんなわけで、同じように駅員室へと通された松生を出迎えたのは、切羽詰まったお顔の美咲紀と、余裕しゃくしゃくな月詠でありました。
「君も落とし物かい」
「ええ、まぁね。定期入れ、見なかった? どこにでもあるような、普通のやつなんだけど。緑色で、ちょっと年季入ってて……中に写真が入ってるの、家族の」
「いや、見ていないな。見つけたら教えるよ、ほら、君もここへ来て探すといい」
「うん、ありがと……」
表には出さずとも、月詠の返事には分かっていても、がっかり……けれど、こうして傍らに同じ目的の誰かがいるというのは、何だかわけもなく心強いような気もしてきます。
少しばかり元気を取り戻して、といってもいつもの眠たいような顔ではありながらも、松生もさっそく箱の捜索へと取りかかります。がさごそとやりつつ、
「それで、あんたたちは何探してるの? 見つけたら教えるわよ」
「私のは、スケッチブック。特別なものではないよ。黄緑に籠目紋の表紙……文房具屋に売ってるような、ごく普通の品物さ」
松生の問いに、月詠はまたしてもA6サイズのノートを引っ張り出し、美咲紀をびくつかせながらも、中身は単なる主婦のお買い物メモ。
彼女は、語ります。
「いつもそうしたものに絵を描いていてね、いくつもある物のひとつだよ。常に手にしていながらも、それほど思い入れのあるものじゃない。でも、自分の記憶というものには、得てして誇張や補正が入りがちなものでね……それが身近な物であればあるほどに。『ここに、ちゃんと置いたはずなのに!』、そんな経験は無いかな?」
「あ、ありますあります! あるのです、大事なものはちゃんとしまった場所を覚えてても、いつも使ってて見慣れたものが、急にどこかにいってしまったりするんですよねー」
手は止めないままに、美咲紀もそう返します。
人間、うっかりするのはやっぱり、油断している頃合いが多いものなのでしょう。たとえば、手に馴染んだ日用品……いつも目にして触れているからこそ、気が緩んで、そこにあるのが当然のことだと思い込んでしまうのでしょう。だからこそ、不意に何かの拍子でそれを見失った時に、大いに焦ってしまうのでしょう。
「……確かに、そういうものかもね。あたしの定期入れも……」
「うん。あって当たり前なものほど、見落としやすい…………おっと」
箱の隅っこ、底の底。月詠は手を差し込んで、するり。抜き出した、一冊の黄緑、籠目紋のスケッチブックをぱらぱらとひと通り確認すると、
「つまりは、『灯台下暗し』。うん、これが私のスケッチブックだ」
ぺらりとその中のページを見開いて、ふたりへと見せてくれました。
「「……
マンボウくん
が、死んでる!!」」
気絶です、気絶! 何とはなしに描いたというその絵は、きっと中身を確認した駅員さんにもまた、強烈なインパクトを刻み込んだことでしょう……ほら、だって三人の後ろで駅員さん、くすくす思い出し笑いしてますもの。
「駅のホームでのんびり、ぼんやりと描いてたから、そのままうっかり……とね。見つかって良かった。さて、それじゃ私の探し物は見つかったことだし、そちらを手伝おうか。君は何を忘れたんだったかな、ノートだっけ? 何が書いてあるんだい?」
「わっわわわ、私はいいです、大丈夫なのです! 自分で探せますのですー!」
「まぁまぁ、遠慮せずに」
これ、分かっててわざとやってるんじゃ……といった月詠に、わたわたとする美咲紀の様子がおかしくて。松生は不安な気持ちもどこへやら、こっそり、くすりと笑みを浮かべました。
そうして探すこと、しばし。
「ほえ。定期入れーって、これなのです?」
「……! それ!」
美咲紀が取り上げたのはまさしく、松生が一生懸命に探していたもの。長年愛用している、ちょっぴりくたびれた、愛着たっぷりで手放しがたい、緑色の定期入れ。受け取り中身を確認してみると、思い出の写真だって、ちゃあんとそこにありました。
「~~~っ、良かったぁ……! もう見つからないかもって……ありがと、助かったわ!」
「なんのなんの、困ったときはお互い様! なのですよー!」
大切そうに胸へと抱き締めながらにお礼を述べた松生に、見つけた美咲紀の表情も、えっへん! どこか誇らしげです。
そして程なく、そのお返し……と言わんばかりに、松生が箱の中から引っ張り上げたのは、
「あ、またA6ノート。これはどう? あんたの落としたやつじゃない?」
「にょわーーー!!」
差し出されたそれを、しゅば! 半ばかっさらうように受け取りまして、中身を確認してみますと……そこにはめくるめく、男性方程式! 確かに美咲紀が自らしたためた、♂×♂な乗算の物語たち……!
「ここここっ、これなのです!! 良かったぁ、見つかって良かったぁ!! ありがとうございますなのですっ!! 中身は見てませんよね、見てないですよねっ!?」
「あ、うん、見てないけど。よ、よっぽど大事なものだったのね……」
「おや、先を越されてしまったか…………いや、冗談だよ。隠したい人の趣味を無理に覗く趣味は無いから」
まぁきっと、届けた人とか駅員さんあたりには確認がてらに見られてたりはするかもしれませんけれど、ここはひとつ黙っておくことにしよう……と、松生などはきっと思ったことでしょう。月詠は相も変わらず飄々と、それでもどこか楽しそうに見えましたけれど。
ともかく三人、それぞれ無事に忘れ物を回収することができまして、ほっとひと息。大切そうに抱え込み、あるいはカバンへしまい込んで、ほくほく顔で帰路へと着いたのでした。
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20人
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20人
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シナリオガイド公開日
2016年01月24日
参加申し込みの期限
2016年01月31日 11時00分
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2016年01月31日 11時00分
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