オーブラジャー！　久保田美和、人生２回目のピンチ｜リアクション

オーブラジャー！　久保田美和、人生２回目のピンチ

【８】

「どこ行っちゃったんだよ、美和ちゃんセンセー！」
　ユウは叫んだ。
　あれから、ユウと綾花と萌は後を追いかけたが、なかなかふたりを見つけられずにいた。
　交差点で事故を見つけたときは心配したが、子供が巻き込まれたという話もなく、ひと安心した。
「……あ！　見て、ユウくん！」
　ハッとして萌はユウの腕に飛びついた。
　彼女の指差す先に、美和ちゃん先生と竜太郎、それから、碧南と朱真とあと、お面を被った人が見えた。
「お面……？」
　３人は首を傾げたが、見たところ寝子高で見たことある人もいる様子。
「良かった、無事保護されてるみたいですね」
　綾花の言葉にユウは頷く。
「じゃあ、早いとこ合流して……ん？」
　そのとき、後ろのほうでブオオオンとエンジン音が激しく鳴り響いた。
　そして、パラリラパラリラと嫌～なメロディが聞こえてくる。
　後ろからこちらに向かって、爆走してくるのは紛れもなく盗んだバイクで走り出している少年達。
　いや、盗んだものかは知らないけど、なんとなくそんな感じ。
「や、やべ～～！！　絶対お近づきになりたくない連中！！」
「このままじゃ、先生のところに行っちゃうよ！」
「……！　そうです！」
　綾花は画用紙を取り出し、ササッと『この先、工事中。回り道はこちら→』と書いて、電柱に貼付けた。
「綾辻！　その手があったか！」
　ユウと萌は顔を見合わせ、一緒に貼り紙をする。なるべくたくさん目立つように。
　しかし、よく考えてみてほしい。相手は不良も不良の気合いの入った少年達だ。
　彼らの好きなものとはなんだ。そう、ルールを破ることなのだ！
「工事中？　回り道ィ？　そんなもん知るかよォォーーー！！」
　ブオンブオンとエンジンを鳴らし、ユウ達の目の前をブッちぎって行った。
「どわーーーっ！！　あいつら！　追いかけねーと！！」
「わ……！　ユウくん、ちゃんと前見て……！」
　またしても、ユウは萌と激突して、すってんころりん。
　萌を押し倒すように、倒れたユウ。その手は……萌の胸の上に……！
「ど、どこ触ってるの、ユウくん！？」
　真っ赤になって、萌はじたばたした。
　くらくら目を回しながら、ユウは「ほえ？」と首を傾げる。
「わ、悪い。ええと、ここって背中……？」
「背中じゃないよ！　バカ！　おたんちん！　吐き気をもよおすほどの邪悪！」
　ビビビと激しい平手がユウのほっぺを打つ。
「ぎゃあ！　何すんだよ！」
「こっちの台詞だよ！」
「ちょ、ちょっとふたりとも！」
　慌てて、綾花が間に入った。
「そんなことしてる場合じゃないですよ！」