オーブラジャー！　久保田美和、人生２回目のピンチ｜リアクション

オーブラジャー！　久保田美和、人生２回目のピンチ

【１】

　この状況はいったい……？
　この感じ、前にもどこかで見たことある、と野菜原ユウは思った。
　まさか、まさかね、まさかだよね～と思いつつ、近くにいるおじさんの新聞を覗き込んでみる。
　日付は……えっと、に、２５年前！？これってデジャブ？　と思いつつ、クラスの集合写真を見る。
　オー！　マイゴッド！
　またしても、写真に写る美和ちゃん先生が薄ら半透明に。後ろの景色が透けているではないか。
「ああ、美人薄命っていうけど、こんなに薄くならなくてもいいじゃんかー！」
「頭を抱えてる場合じゃないですよ、野菜原くん！」
「……ハッ！　そういうあんたは、綾辻！？　ギャー！　ますますこの前と同じ状況！！！」
「本当に落ち着いてくださ～い！」
　綾辻綾花はパニックになってるユウの肩をぐいぐい引っ張る。
　……まぁ、正直言ってしまえば、綾花もベンチに座るユウを見たときから嫌～な予感はしていた。
　何せ、ユウがブラジャーに手を伸ばす瞬間だったのだから、そんな予感がしてしまうのは無理もない。
（……女難じゃなくてブラ難の相が出てるのかしら、野菜原くん？）

（……何をしてるんだ、あいつら？）
　ふたりのやりとりに、八神修は足を止めた。
　商店街での所用を済ませ、自宅へ帰る道すがらのことだった。
　そんな彼の横を小さな女の子と男の子が通り過ぎる。
　動物園に行くらしい子供達を微笑ましく見ている……と、ふとあることに気がついた。
（あの子、久保田先生っぽいような……）
　頭の切れる彼のこと、今、起こっている異変に気づくのにそう時間はかからなかった。
　ハッとして、売店の新聞で日付を確認する。
「！　歴史は俺達に何をさせようとしているのか……！」
　しかし、惚けている場合でもない。
「野菜原！　綾辻！　早くあの子達を追いかけるぞ！」
　駆け寄ってくる修の姿に、ユウも綾花も顔を上げる。
「……ハッ！　や、八神……？」
「八神くん……？」
「久保田先生を守るんだ！」
　よくわからないが、そうしなければいけないと思った。
　あの子達を守ることが、自分達の未来を守ることなのだと。

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