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- 学年：職業
- 00月00日生 00歳
- AAA000000
オーブラジャー！ 久保田美和、人生２回目のピンチ
【５】
（なるほど、久保田先生か……）
葉月 朱真はむむ……と唸った。
気がつけば、９０年代始めの寝子島。
右も左もわからないが、ここに来るとき、頭の中にビジョンが流れ込んできた。
そのビジョンはまるで、朱真に何かをさせようとしているような暗示に満ちたものだった。
（先生には去年まで、世話になった。協力しなければな）
今は木天蓼大学に通う大学生だが、寝子高は古巣。美和ちゃん先生も知らない仲ではない。
しかし、久保田先生よ……と彼女は思うのだ。
（男関係でトラブルを招く……男を見る目のなさはどうにかならんのか）
そんなことを考えながら、歩いていると、真横を美和ちゃん先生と竜太郎が駆け抜けて行った。
ハッとして、朱真は声をかける。
「む……ええと、キミら、迷子かね？」
我ながら、かたい、と思った。子供の相手は苦手なのである。
「はぁ？ 迷子じゃねーし！ 俺ら動物園行くんだもん！」
そう答えた竜太郎に、目を細める。
「行き方はわかるのか？ 道順をわたしに説明できるのか？」
「知ってる！ ……ええと、こっちだよ！」
「こっち？ それは説明しているとは言わん。そんな様で動物園に行けるとは思えんな」
「はぁ？ なんだよ？」
「そういう子供を迷子と呼ぶのだ。おとなしくご両親が来るのを待ちたまえ」
すると、今度は美和ちゃん先生が食ってかかってきた。
「竜太郎くんは知ってるもん！」
「そ、そーだそーだ！ 知ってる！」
「く、久保田先生……」
余計な口を挟んできた先生に、
（だから、男運が悪いのだ……！）
とこれには朱真もイライラ……！
「竜太郎くん！ 知らない人と話しちゃ駄目ってお母さん言ってたよ！」
「あ、そーだ！ 行こうぜ！」
「！ ま、待て！」
びゅんと走って行くふたりを慌てて彼女も追いかける。
「戻りたまえ！」
「へっへーん！ つかまらないよーだ！」
とそのとき、前を歩いていた女の子に美和ちゃん先生は激突した。
「わ！ だ、大丈夫……って、美和ちゃん先生！？」
その女の子……羽生 碧南は先生の顔を見るなり、目を丸くした。
「そ、そんなわけないか。でも……」
それは、部活を終えて桜花寮へ帰る道すがらのこと。
冬も本番になり、吹き付ける木枯らしに思わず身をちじこませたそのとき、どこからともなく飛んで来たブラジャーに顔面を塞がれたのだ。
慌てて、ブラを取った次の瞬間、そこには一昔前の風景が広がっていたのである。
そして、ここで何をしなければいけないのかも、なんとなくだがわかっている……ような気がした。
（でも、子供の頃の美和ちゃん先生を助けるなんて、夢だよね……）
けど、目の前の女の子はどう見ても……。
「あの、あなたお名前は……？」
「え？ 久保田美和だよ？」
「！！！！！ ……マジか、マジ……なのね」
そこに、朱真が追いついてきた。
「ま、待てと言って……ぜはぁぜはぁ……るだろう……！」
「怖いおねーちゃん来た！」
美和ちゃん先生と竜太郎はささっと碧南の後ろに隠れた。
「お、おまえ達……！」
「ま、まぁまぁ、落ち着いて……ね？」
というか、と碧南は朱真を見た。
「なんだか今時な格好をしてるけど……もしかして？」
「む……、さてはキミも２５年後から……？」
互いの事情を把握し、面倒なことになった、と苦笑い。
それから、碧南は優しく子供達に話しかけた。
「あなた達、動物園に行くの？ いいね、楽しそう」
そう話しかけると、ふたりも笑顔で動物の魅力を話し始めた。
「うんうん、いいよね。おねえさんも動物好きだな～……あ、そうだ、おねえさんも一緒に行っていい？」
「え？」
ふたりは顔を見合わせる。
「でも、知らない人と一緒に行くなんて……」
「お願い！ おねえさん、一緒に行ってくれないと迷子になっちゃうよ！」
「え……？ 迷子は可哀想だよ、竜太郎くん……？」
「そうだな、ヒーローはやっぱ困ってる人を助けないとな！」
「本当？ ありがとう！」
その様子に、朱真は思わず感心した。
「子供の心をものの数分で掌握するとは……すごいな」
「あはは、ありがとう。小さい子と話すのは嫌いじゃないんだ」
「しかし、いいのか？ 両親と先に合流させるべきでは……？」
「でも、ちょっと止められそうもないし、だったら、一緒に行ったほうが安全だと思うんだ」
「それも一理あるな。わかった、わたしも同行しよう」
「ええーっ！ 怖いのも来るのー？」
美和ちゃん先生は顔をしかめた。
「誰が怖いのだ！！」
（なるほど、久保田先生か……）
葉月 朱真はむむ……と唸った。
気がつけば、９０年代始めの寝子島。
右も左もわからないが、ここに来るとき、頭の中にビジョンが流れ込んできた。
そのビジョンはまるで、朱真に何かをさせようとしているような暗示に満ちたものだった。
（先生には去年まで、世話になった。協力しなければな）
今は木天蓼大学に通う大学生だが、寝子高は古巣。美和ちゃん先生も知らない仲ではない。
しかし、久保田先生よ……と彼女は思うのだ。
（男関係でトラブルを招く……男を見る目のなさはどうにかならんのか）
そんなことを考えながら、歩いていると、真横を美和ちゃん先生と竜太郎が駆け抜けて行った。
ハッとして、朱真は声をかける。
「む……ええと、キミら、迷子かね？」
我ながら、かたい、と思った。子供の相手は苦手なのである。
「はぁ？ 迷子じゃねーし！ 俺ら動物園行くんだもん！」
そう答えた竜太郎に、目を細める。
「行き方はわかるのか？ 道順をわたしに説明できるのか？」
「知ってる！ ……ええと、こっちだよ！」
「こっち？ それは説明しているとは言わん。そんな様で動物園に行けるとは思えんな」
「はぁ？ なんだよ？」
「そういう子供を迷子と呼ぶのだ。おとなしくご両親が来るのを待ちたまえ」
すると、今度は美和ちゃん先生が食ってかかってきた。
「竜太郎くんは知ってるもん！」
「そ、そーだそーだ！ 知ってる！」
「く、久保田先生……」
余計な口を挟んできた先生に、
（だから、男運が悪いのだ……！）
とこれには朱真もイライラ……！
「竜太郎くん！ 知らない人と話しちゃ駄目ってお母さん言ってたよ！」
「あ、そーだ！ 行こうぜ！」
「！ ま、待て！」
びゅんと走って行くふたりを慌てて彼女も追いかける。
「戻りたまえ！」
「へっへーん！ つかまらないよーだ！」
とそのとき、前を歩いていた女の子に美和ちゃん先生は激突した。
「わ！ だ、大丈夫……って、美和ちゃん先生！？」
その女の子……羽生 碧南は先生の顔を見るなり、目を丸くした。
「そ、そんなわけないか。でも……」
それは、部活を終えて桜花寮へ帰る道すがらのこと。
冬も本番になり、吹き付ける木枯らしに思わず身をちじこませたそのとき、どこからともなく飛んで来たブラジャーに顔面を塞がれたのだ。
慌てて、ブラを取った次の瞬間、そこには一昔前の風景が広がっていたのである。
そして、ここで何をしなければいけないのかも、なんとなくだがわかっている……ような気がした。
（でも、子供の頃の美和ちゃん先生を助けるなんて、夢だよね……）
けど、目の前の女の子はどう見ても……。
「あの、あなたお名前は……？」
「え？ 久保田美和だよ？」
「！！！！！ ……マジか、マジ……なのね」
そこに、朱真が追いついてきた。
「ま、待てと言って……ぜはぁぜはぁ……るだろう……！」
「怖いおねーちゃん来た！」
美和ちゃん先生と竜太郎はささっと碧南の後ろに隠れた。
「お、おまえ達……！」
「ま、まぁまぁ、落ち着いて……ね？」
というか、と碧南は朱真を見た。
「なんだか今時な格好をしてるけど……もしかして？」
「む……、さてはキミも２５年後から……？」
互いの事情を把握し、面倒なことになった、と苦笑い。
それから、碧南は優しく子供達に話しかけた。
「あなた達、動物園に行くの？ いいね、楽しそう」
そう話しかけると、ふたりも笑顔で動物の魅力を話し始めた。
「うんうん、いいよね。おねえさんも動物好きだな～……あ、そうだ、おねえさんも一緒に行っていい？」
「え？」
ふたりは顔を見合わせる。
「でも、知らない人と一緒に行くなんて……」
「お願い！ おねえさん、一緒に行ってくれないと迷子になっちゃうよ！」
「え……？ 迷子は可哀想だよ、竜太郎くん……？」
「そうだな、ヒーローはやっぱ困ってる人を助けないとな！」
「本当？ ありがとう！」
その様子に、朱真は思わず感心した。
「子供の心をものの数分で掌握するとは……すごいな」
「あはは、ありがとう。小さい子と話すのは嫌いじゃないんだ」
「しかし、いいのか？ 両親と先に合流させるべきでは……？」
「でも、ちょっと止められそうもないし、だったら、一緒に行ったほうが安全だと思うんだ」
「それも一理あるな。わかった、わたしも同行しよう」
「ええーっ！ 怖いのも来るのー？」
美和ちゃん先生は顔をしかめた。
「誰が怖いのだ！！」
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
-
- 2016年01月18日
- 参加申し込みの期限
-
- 2016年01月25日 11時00分
- アクション投稿の期限
-
- 2016年01月25日 11時00分
