寝子島絶叫計画：鷲尾礼美編｜リアクション

寝子島絶叫計画：鷲尾礼美編

●ダンジョン＆モンスターズ

「脳みその腐ったお前たちにしては、良くやったじゃねぇか」
　通路の奥、暗い地下室の一つで、舌なめずりをしながら男は下卑た笑みを浮かべた。

　壁に吊られた松明の火が揺れ、男の姿を照らし出す。
　鍛え上げられた筋肉質の身体。上半身をはだけているのは、自信の表れかそれを見せつけるためか。異様に毛深い身体が、男の声と相まって粗暴で野性的なオーラを醸し出している。
　そして、その肉体の一番上に位置したその顔は――牙を剥き出しにした獰猛な狼のそれだった。

　狼男。人は男の事をそう呼ぶだろう。
　そのまわりにはボロボロの衣服の残骸を纏った無表情な男たちが何人か立っている。
　目は虚ろで、口元もだらしなく開き、時折意味の無い呻きともため息とも取れない言葉を発している。
　彼らは狼男ではなく、見た目は人間だが病的な肌の色と異臭。とても生きているとは思えない。
　そう、彼らは死人。動く死体。ゾンビなのだ。