怪人セブンの選択｜リアクション

怪人セブンの選択

【和睦会議……むしろ反省会】

「あなたたち、何しに来たのですか？」
　会議の第一声は、エレノア・エインズワースのこの言葉だった。
「目的は果たされました。でも黒幕に逃げられたら意味がありません」
　もう少し、踏み込んだ作戦が必要だったかもしれない。
　そしてドクター・ドラグニールの存在も気になる。
　カラスの神とはまた別の脅威。
　これから寝子島に関わってくるのかもしれない。
「とりあえず、叢雲がクソだという持論を展開させていただきますね」
　エレノアが得意げに立ち上がると、参列したメンバー座る椅子とテーブルの周りを歩き回りだした。
「叢雲の強みは『もれいび含む神魂』と『銃火器』の２つ。まず神魂絡みですがこれは心配ないです。皆さんあの親愛なるクソ猫を思い出して下さい」
　あのスタジアム占拠事件を、とエレノアは付け加える。
「あの事件、テオは何人死のうが気にしないでしょうが、神魂絡みでフツウが壊れる時は必ず光の速さで世界を切り分けます」
　私たちなんて必要ないと感じるほどに、と鼻で笑った。
「ご存知か分かりませんが、どうにも、もれいびはテオ含む落神を殺せないらしいんですよ。詳しく言いませんが私は何度も失敗して原理的に不可能と結論してます。テオを殺せない以上、神魂絡みで意図的なフツウの破壊は不可能。じゃ銃火器は？」
　エレノアは自分の首元を書き切るような仕草をした。
「これは超単純。皆さん携帯を出して一斉に110番で『知り合いがテロリストだ』と言えばいい。貴女が気にすべきなのは名も無き英雄じゃなくて公安警察です」
「エレノアちゃん、それももう終わったよ」
　桜庭円が身を乗り出してそれを制した。
「泉月花ちゃん、教団を解散するって本当？」
「……はい、叢雲教団は、本日を持って活動停止、実質的な解散です」
「まーねぇ、あんなオチになったら、黙示録どころじゃないよねー？」
　壬生も呆れたように椅子の背もたれに身を委ねる。
　同席する尾鎌は黙して語らず。
　動向を見守るのみだ。
「それで全部、チャラにしようっていうのか……？」
　如月が納得いかないと言いたげな表情で言葉を投げる。
「これからどうせ裁かれるでしょうけどー、裁かれる内容、神魂関係は含まれないのでしょう？」
　屋敷野も不服げに顔をしかめる。
　泉月花は椅子に腰掛けたまま頭を下げた。
「いずれ、神魂関係のことも決着を付けるわ。幸い、黙示録の波動が停止しています。これなら、むいみも現代医療の施術で回復できるかもしれません。その前に、白山の居場所を突き止めて戦います。その時は、力を貸してください」
「……協力するかどうかは、私たちが決めるわ」
　黒依が態度を硬化させる。
「散々、私たちを苦しめてきたでしょう？　利己的で都合のいい話です。もとより、私は初めから怠惰の黙示録は渡すつもりはありませんでしたが」
「……そう、でしたか」
　泉月花の表情が曇った。
「黒依さんは、むいみを見殺しにするつもりだったのですね……」
「そういうわけじゃ……」
「いえ、いいのです。無理もありません。結果論ですが、むいみは助かったのですから。でも……」
　落胆の色を言葉に出す泉月花。
「あなたは助けてくれると、信じてました」
　黒依は腹ただしげに顔を強ばらせた。
「アリーセさん、僕たちは、分かり合えないのかな……？」
　日暮は黒依を一瞥する。
「こうなった以上、僕たちは白山に立ち向かうしかない。僕は、貴女と分かり合うためにここにいる」
　泉月花に日暮が頭を下げた。
　隣に座る冴来が空気に押し潰されそうになりながら、泉月花に手を差し伸べた。

「お友達になりましょう？　私たちはきっと分かり合えるわ。今は、分かり合えない人間もいるけど、時間が解決してくれるはずよ」
　その白き少女の指に、赤き女帝が手を添えた。

　一応、両者は和睦を話すことになったが、英雄たちに中で意見がまとまっていないのが現状である。
　一枚岩ではないことが懸念されるが、今回の事件はこれで終焉となったのだ。

【R.I.P】

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