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- 00月00日生 00歳
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【期末テスト】赤点？満点？？冬寒波、四日間の死線＜物語編＞
●恋心ひらひら
放課後、鴇波 羽衣の姿は屋上にあった。
ここ数日の寒波のせいで、屋上からの眺めはすっかり変わっていた。
校庭は白く輝いていて、＜ういのはごろも＞で飛び降りたら気持ちいいに違いない。
けれど羽衣の気持ちは、空を飛ぶほど浮かれていない。
（テスト、ちょっと点数良くなかったかな……それなりに頑張って勉強したつもりだったけど、気を抜くとどうしても他のことに気を取られちゃって）
金網に指を掛け、ふぅ、とおでこを押し付ける。
そうしてぼんやりと、下校する生徒で溢れる校庭を眺める。
仲良さそうに寄り添って帰るカップルがいる。
友達にも、素敵な恋愛をしてる子が何人かいる。
自分の臆病さにため息ひとつ。
……お三夜まつりの日、片思いしてた男の子に好きだって言って貰えた。
告白、されたのに。――まだ返事をしていない。
すると溜息が聞こえたのだろうか、人探し顔で屋上を覗きに来た宮祀 智瑜が声を掛けてきた。
「どうしました？ どこか具合でも？」
「あ、ううん。ただ、……あたしもあんな風になれるのかな……って思ってただけ」
告白されたとき、あまりのことに頭が真っ白になった。
よく覚えていないけれど『少し待ってて』みたいなことを言った気がする。
あたしは彼を好きなのに。
彼もあたしを好きだって言ってくれたのに。
両想いって未知の領域に踏み出すのが怖くて、……彼とあたしの関係が変わっちゃうのが怖くて。
テスト勉強とか自分に理由をつけて、今日まで返事を先延ばしにしてきた。
（向こうもあたしの気持ちを知ってるから、何を悩んでるんだって思ってるかもなあ）
布団の中で、授業中に、何度もあの時の言葉を思い出しては恥ずかしさと嬉しさで転がりたくなった。
けどその反面、あれは夢だったんじゃないかって思う時もある。
現実感がないっていうか……ぜんぜん地に足がついてない感じ。
ずっと彼の背中を追いかけてきて、きっと追いつけないって思ってた。
だから隣を歩くイメージがまだわかない。
「あなた次第じゃないでしょうか？」
「えっ？」
智瑜の言葉に、羽衣はびっくりした。彼女に何か話したわけじゃない。
あんな風になれるのかなって零しただけだ。「あんな風」の意味さえ口にしてない。
「あっ、なんとなくそんな気がしただけなので聞き流してください。……いた、義弘先生！」
智瑜は眼下に目当ての人物を見つけたらしく、屋上を飛び出してゆく。
恋する女子の勘みたいなものだったんだろうか。
閉まる扉に羽衣は思う。
決断しなきゃ進めない。宙ぶらりんじゃ苦しいだけだって。
あたし次第。
「もう逃げ続けるわけにはいかない……よね」
◇
「義弘先生！」
屋上を飛び出し階段を駆け下りた智瑜は、校舎脇を歩いていた桐島 義弘先生の背中にダイブした。
「おっとっと！」
突然の生徒からのダイブによろける桐島先生の腕を、智瑜はぐっと引いて支える。
体勢を立て直した桐島先生は眼鏡の位置を直しながら智瑜を振り返った。
「あのな……飛びかかって来るな、危ないだろう」
口調はキツイが顔はそんなに怒ってはいない。
「ふふっ」
智瑜は青いリボンを揺らして笑うと、先生にぺこりと頭を下げた。
「先生のお蔭で良い点取れました！ 有り難う御座います！」
先生方が自宅を解放して催してくれた勉強会のお蔭もあって、智瑜は今回数学で満点を取れたのだ。
もっとも、桐島先生に恋する智瑜はもともと数学に力を入れているのだけれど。
智瑜は桐島先生の家での勉強会を思い出し……、あの日見たおっぱいマウスパットを思い出した……。
先生の愛用してるマウスパッド……恋する女の子には、おっぱいだろうがおしりだろうが好きな人のプライベートな持ち物を見れること自体が、テンションの上がる出来事だ。
（……学校でも使ってるのかな？）
そう思った智瑜は、仔犬みたいに黒い瞳をきらきらと瞬かせて尋ねてみる。
「手首に優しいんですか？」
突然のとんでもない質問に、桐島先生は盛大に咽た。
「ごほごほ……ごほん。……その通りだ。そしてこの話題は終わりだ」
非常に気まずそうに踵を返す先生。
智瑜は先生の子どもっぽい表情が見れたことが嬉しくて、くすくす笑うと、スーツの背中に呼びかける。
「先生ー！」
「なんだ？」
「また先生のお家で勉強会開いてほしいですっ。勉強をいつもより頑張っちゃいますっ！」
生徒のお願いに、先生は「考えておく」と言うと、
「気を付けて帰れよ」
と職員室の方へ戻って行った。
放課後、鴇波 羽衣の姿は屋上にあった。
ここ数日の寒波のせいで、屋上からの眺めはすっかり変わっていた。
校庭は白く輝いていて、＜ういのはごろも＞で飛び降りたら気持ちいいに違いない。
けれど羽衣の気持ちは、空を飛ぶほど浮かれていない。
（テスト、ちょっと点数良くなかったかな……それなりに頑張って勉強したつもりだったけど、気を抜くとどうしても他のことに気を取られちゃって）
金網に指を掛け、ふぅ、とおでこを押し付ける。
そうしてぼんやりと、下校する生徒で溢れる校庭を眺める。
仲良さそうに寄り添って帰るカップルがいる。
友達にも、素敵な恋愛をしてる子が何人かいる。
自分の臆病さにため息ひとつ。
……お三夜まつりの日、片思いしてた男の子に好きだって言って貰えた。
告白、されたのに。――まだ返事をしていない。
すると溜息が聞こえたのだろうか、人探し顔で屋上を覗きに来た宮祀 智瑜が声を掛けてきた。
「どうしました？ どこか具合でも？」
「あ、ううん。ただ、……あたしもあんな風になれるのかな……って思ってただけ」
告白されたとき、あまりのことに頭が真っ白になった。
よく覚えていないけれど『少し待ってて』みたいなことを言った気がする。
あたしは彼を好きなのに。
彼もあたしを好きだって言ってくれたのに。
両想いって未知の領域に踏み出すのが怖くて、……彼とあたしの関係が変わっちゃうのが怖くて。
テスト勉強とか自分に理由をつけて、今日まで返事を先延ばしにしてきた。
（向こうもあたしの気持ちを知ってるから、何を悩んでるんだって思ってるかもなあ）
布団の中で、授業中に、何度もあの時の言葉を思い出しては恥ずかしさと嬉しさで転がりたくなった。
けどその反面、あれは夢だったんじゃないかって思う時もある。
現実感がないっていうか……ぜんぜん地に足がついてない感じ。
ずっと彼の背中を追いかけてきて、きっと追いつけないって思ってた。
だから隣を歩くイメージがまだわかない。
「あなた次第じゃないでしょうか？」
「えっ？」
智瑜の言葉に、羽衣はびっくりした。彼女に何か話したわけじゃない。
あんな風になれるのかなって零しただけだ。「あんな風」の意味さえ口にしてない。
「あっ、なんとなくそんな気がしただけなので聞き流してください。……いた、義弘先生！」
智瑜は眼下に目当ての人物を見つけたらしく、屋上を飛び出してゆく。
恋する女子の勘みたいなものだったんだろうか。
閉まる扉に羽衣は思う。
決断しなきゃ進めない。宙ぶらりんじゃ苦しいだけだって。
あたし次第。
「もう逃げ続けるわけにはいかない……よね」
◇
「義弘先生！」
屋上を飛び出し階段を駆け下りた智瑜は、校舎脇を歩いていた桐島 義弘先生の背中にダイブした。
「おっとっと！」
突然の生徒からのダイブによろける桐島先生の腕を、智瑜はぐっと引いて支える。
体勢を立て直した桐島先生は眼鏡の位置を直しながら智瑜を振り返った。
「あのな……飛びかかって来るな、危ないだろう」
口調はキツイが顔はそんなに怒ってはいない。
「ふふっ」
智瑜は青いリボンを揺らして笑うと、先生にぺこりと頭を下げた。
「先生のお蔭で良い点取れました！ 有り難う御座います！」
先生方が自宅を解放して催してくれた勉強会のお蔭もあって、智瑜は今回数学で満点を取れたのだ。
もっとも、桐島先生に恋する智瑜はもともと数学に力を入れているのだけれど。
智瑜は桐島先生の家での勉強会を思い出し……、あの日見たおっぱいマウスパットを思い出した……。
先生の愛用してるマウスパッド……恋する女の子には、おっぱいだろうがおしりだろうが好きな人のプライベートな持ち物を見れること自体が、テンションの上がる出来事だ。
（……学校でも使ってるのかな？）
そう思った智瑜は、仔犬みたいに黒い瞳をきらきらと瞬かせて尋ねてみる。
「手首に優しいんですか？」
突然のとんでもない質問に、桐島先生は盛大に咽た。
「ごほごほ……ごほん。……その通りだ。そしてこの話題は終わりだ」
非常に気まずそうに踵を返す先生。
智瑜は先生の子どもっぽい表情が見れたことが嬉しくて、くすくす笑うと、スーツの背中に呼びかける。
「先生ー！」
「なんだ？」
「また先生のお家で勉強会開いてほしいですっ。勉強をいつもより頑張っちゃいますっ！」
生徒のお願いに、先生は「考えておく」と言うと、
「気を付けて帰れよ」
と職員室の方へ戻って行った。
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
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- 2016年01月01日
- 参加申し込みの期限
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- 2016年01月08日 11時00分
- アクション投稿の期限
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- 2016年01月08日 11時00分
