嫉妬暴走！　リア充爆発しろ！｜リアクション

嫉妬暴走！　リア充爆発しろ！

●猫恋の鐘は爆破の合図

「きたよー、エノコロ岬！」
　雨崎荒太郎と西野町かなえは、エノコロ岬に来ていた。
　カップルが一緒に猫恋の鐘を鳴らして綺麗な音を奏でれば、２人に永遠の祝福がもたらされるとか。
　鐘を鳴らさずとも、海を一望できる高台の景色を楽しむこともできる。
　高台の入り口にある土産屋には南京錠が売られており、自分と片思いの相手のイニシャルを書いた錠を祈りを込め柵にかければ、猫神様が相手に届けてくれるとも。
「こーたん、アレ、一緒に鳴らそうな。綺麗な音がでれば、２人に永遠の祝福がもたらされるんやて」
「猫恋の鐘を鳴らすと、幸せになれるの？　じゃあ、一緒に鳴らそう、そうしよう～♪」
　綺麗な音が鳴るといいねー、と、荒太郎はかなえの手を取り猫恋の鐘を鳴らすことに。
「どんな綺麗な音が鳴るやろなー」
「かなたんと一緒に鳴らすんだから、綺麗な音が出るよー」

　＼りんどーん♪／

　ふたりの願いが通じたのか、猫恋の鐘は綺麗な音を奏でた。
「綺麗な音だね」
「恋が叶うといいねー♪」
「きっと叶うと思うで。あとね、南京錠に2人の名前書いて金網につけておくと永遠の愛が叶うんやて！」
「南京錠って、柵にいっぱいぶら下がっている錠前？」
　永遠の愛が叶う。それを聞き、現実になった時のことを想像した荒太郎の顔が赤くなった。
「こーたん、顔が赤いで。熱でもあるん？」
「何でもないよ！　おれ、錠前買ってくる～……。かなたんはここで待っててー」

　荒太郎が土産屋で南京錠を買い終え、かなえが待っている所に戻ろうとした時。
　禍々しいオーラを発する連中に遭遇してしまった。
（って、うわぁ、すごいオーラ？　カップルに嫌がらせしてるし。はっ……！）
　怪しげな連中が立ち去った場所には、カラーボールで汚れ、小麦粉まみれ、アフロ頭の女が。
（かなたんが危ない！　急がないと！）
　大急ぎでかなえの元に向かうと、かなえは怪しげな連中に囲まれていた。
「かなたん、大丈夫ー？」
「こーたん、助けてー！　この人達、酷いことしようすんねん！」
　かなえを先ほど見た男女みたいに酷い目に遭わせたくない。その一念が、荒太郎を突き動かす。
「かなたんはおれが守るよーっ！　得意なボビナムの空中技で。とーりゃー！！」
「こーたんカッコええー！　迷惑な人はやっつけちゃえー！」
　ベトナム総合武術ボビナムの空中技でカッコよく倒そうとしたが、REDCの面々は寸でのところで避けた。
「リア充にやられるわけにはいかん！」
　それと同時にカラーボールを投げつけたり、小麦粉入り袋を投げつけたり、銃撃を喰らわせたり。
「って、ひどいー！！　あ、かなたんが危ない！　かなたんは、おれが守る！」
　REDCの魔の手から身を挺してかなえを庇った荒太郎は、身も心も、服もボロボロに。
　アフロにならなかったのが不幸中の幸い……なのだろうか。
　精神的ダメージは大きかったが、かなえを守り切った。
「こーたんが爆破されたー！！　このぉぉお変態ども！　こーたんの敵討ちやぁぁぁ！！」
　持ち歩いている自作の豆腐は、ろっこんに使うための護身用。
「これでも喰らえー！」
　豆腐の角を頭をぶつけられたREDC達は、倒れると同時に気絶した。

　REDCは金網とつなぎ合わせた服で拘束された後、ふたりの名前が書かれた南京錠をかけられた。
「うちらのデート邪魔した罰や！　ここで幸せそうなカップルを見て、幸せを分けて貰えばええんや！」
「デートを邪魔されちゃったから、そんぐらいのお返しはしてもいいよね？　ここで皆の幸せを見守っててくださーいっ♪」
「いこっ、こーたん」
「うん♪」
　かなえの頭を撫でながら、エノコロ岬を後に荒太郎はここでの騒動で汚れまくりに。
「こーたん、汚れとるで。うちん家でお風呂入ってく？」
「かなたん家？　いいの？　行く行くーっ！」
　お風呂といえば、服を脱ぐ。服を脱いだら……。
　その順序を考えているうち、かなえと初めて会った出来事を思い出した。
「こーたん、何、思い出したんや？」
「なんでもありませーんっ」
「うちらが初めて会うた時のこと、思い出したんやろ？　エッチぃ！」
　かなえにポカポカながら、これからも上手くやっていけるねと思う荒太郎だった。