変態の軍隊 Revolution ～葉っぱ１枚でも寒くない～｜リアクション

変態の軍隊 Revolution ～葉っぱ１枚でも寒くない～

　変態あるところに彼女の姿あり。
　寝子島の生ける伝説が、今宵の噂を聞きつけて準備をしていた。
「先生に拳でクルミを割るのは辞めなさいって言われたし、どうしよっかなぁ～？」
　桜庭円は物置小屋で得物を見繕っていた。
「……スレッジハンマーでいいか」
　そして見つけた。
　よりにもよって非常に物騒なシロモノを。
「それにしても！　嘆かわしい！　そんなに無条件でモテたいか！　権力が欲しいか！　この竿脳共め！　女は穴脳か！？」
　彼女は事あることに勃発する変態騒動に心と拳を痛めてきた。
　割っても割っても復活するクルミに、桜庭は業を煮やしていた。
「だいたい、そんな変態アイテムが存在すること自体がおかしいよ！？」
　深夜に桜庭の悲痛なるツッコミが轟く。
　ご近所さんから「うるせー！　今、何時だと思ってんだ！！」と怒られた。
「アッハイ、スミマセン！　くっ！　ボクがこんな目に遭うのも、全て変態が悪いんだ！！」
　桜庭は特撮ヒーロー（お面ライダーカチドキ）のお面を被り、スレッジハンマーを担いだ。
　この瞬間、桜庭は女子高生ではなくなった。
　地獄のクルミ割り少女の異名を持つワリタリーヌ・ゴールドナッツ・パックリーへと変貌する。
　略すると、ＷＧＮＰである。
　そこでＷＧＮＰは気が付いた。
「しまった！　処刑用ＢＧＭ、もといボクのソウルであるチャイコフスキーのＢＧＭが手元にない……！」
　説明しよう！！
　ＷＧＮＰはチャイコフスキーソウルの憑依者（自称）である。
　チャイコフスキーの代表作『くるみ割り人形』を口ずさむことで、変態耐性が300％上昇、対変態殲滅力が500％上昇するのだ！
　だが、音源のない今のＷＧＮＰは一般女性と何ら変わりがない性能のままだ！
　……スレッジハンマーを持ってる時点で殺意が高いというツッコミはやめたまえ。
　説明おじさんとのお約束だ！！！
「このままではボクの本来の攻撃力が発揮できない！　どこか、どこかに音源はないのか……！？」
　ＷＧＮＰは音源を探しに、深夜の寝子島の徘徊を開始。
　……職務質問されないことを祈るばかりである。