シネマ☆トリップ！｜リアクション

シネマ☆トリップ！

●またのご来場をお待ちしております

　上映が終わり、人の流れにそってそれぞれが思い思いの帰路に付く。
　鎌八まもるはもう少しウェスタンな余韻に浸りたくてバイト先の手伝いをしてから帰ることにしたし、仙藤紫は話の続きが気になってレンタル屋さんに寄ることにした。
　桜庭円はほんの少しのときめきを胸に、新しい色付きのリップを買おうかとコスメフロアに足を向け、夢呼・ステイシーは少々ぐったりした様子で心を癒す為にカフェで温かいものを飲もうとエスカレーターに向かう。
　壬生由貴奈と屋敷野梢は並んで歩きながら、

「あ、でも現実世界でろっこん使えるうちらも、立派な魔法使いかもねぇ」
「そうですねー、それにしてもテーマパークより楽しい体験でしたねー」

　なんて話しながらシネコンを後にする。
　椿美咲紀と八神修はこの導きのままに、シリーズ最新作の『マナの覚醒』が上映初日に見に行こうと約束していた。

「戦友が待ってるからな」
「スクリーンで会えるのです！」

　楽しげに笑う二人の足取りは軽い。
　桜月はトリップした先で経験したことを思い出しながら歩いていた。デザインの勉強にもなったし、恋愛の勉強にもなったかもしれないと考える。
　恋愛、自分はどんな人とするのだろう。もし、そんな日がくるなら隣に居る人は――――

「って、なんでそこで冬華さんが思い浮かぶんだ？」
「呼びましたか？」
「えっ！？　あれ、冬華さん？　冬華さんも映画を見に来てたんだね」

　後ろから北条冬華に声を掛けられて、吃驚したけどなんとか動揺を押し隠してそう訊ねる。どんな映画を見たのだろう、そう思いながら口から出た言葉は、

「もし良かったら、一緒にご飯でもどうかな？　冬華さんが見た映画の話とか、聞いてみたいんだけど……ダメかな？」

　だった。冬華は少し首を傾げて考えると、頷いて答える。

「そうですね、特に予定もないですしご一緒しましょうか」

　ふわりとした笑みを向けられて、月は何故かドキドキしていた。
　映画にトリップした時の気持ちがまだ残っているのだろうか、そう思いながら彼女の隣を歩くのだった。

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