みんなショタったらいいじゃない（例外もあるけど）｜リアクション

みんなショタったらいいじゃない（例外もあるけど）

　ガンマンごっこに興じていた４人もまた、牧場での様子を知る。セルゲイがくいくい、と楓の服の裾を引っ張り、牧場を見せたのがきっかけだった。
「ポニー、かわいいな。お手伝いしたら乗れるかな？」
　修がそういえば楓は内心で（やるしかないのか）とちょっと諦め混じりに呟く。すると、お姉さんと豪が４人に気付いて声をかけてきた。
「あら、ちいさなガンマンたちね。正義のガンマンたちなら、お手伝いしてくれるかしら？」
「俺１人じゃどうにもなんねぇんだ！　力、貸してくれると嬉しいな」
「どうするの？　僕は手伝いたい」
　ウォルターがそういうと、セルゲイと修が直ぐに頷く。
「お馬さん……慣れてる」
「俺も、馬にはちょっと詳しいよ」
　３人が手伝いに名乗りを上げれば、豪もお姉さんも喜んで受け入れてくれた。残された楓は「しかたないな……」といいながらおずおずと手伝う意志をあらわす。
「素直じゃないのね」
「ほっといてくれ」
　お姉さんの言葉に、楓はふいっ、とそっぽを向くのだった。

　ここは、やはり協力しなくてはならないだろう。５人は頷き合ってポニーにつけようと奮闘した。
（ま、ガンマンごっこにも飽きたし、頃合か）
　楓はそんな事を思いながら鈴のついたリボンを受け取る。近くではセルゲイが走ってくるポニーへニンジン片手に向かっていく。
「Стоп！」
　ロープなどポニーが嫌がるだろう物は持たず、母国語で呼びかけるセルゲイ。するとポニーは少し落ち着き、セルゲイの元へ歩み寄る。ニンジンを与えると、ポニーは喜んでそれを食べた。
「いい子……」
　ポニーの首筋を優しく撫でて宥めれば、チャンス到来。楓はすっ、と鈴付リボンを首に結わえてあげた。良く見ればニンジンを目当てに別のポニーもやってきている。セルゲイがそっと食べさせてあげ、楓が鈴をつける。この連携が妙にしっくりきた。
（ポニー、かわいい。でも、動物で一番……熊さん、かな）
　セルゲイは僅かに笑いながら、ポニーをなでなでするのであった。

「わっ、くすぐったい～」
「人懐っこいのは人懐っこいんだなぁ」
　こちらはポニーに擦り寄られている修と豪。２人はポニーのブラッシングから始めているようだ。ポニーたちはブラッシングに興味があるようで次から次へと２人のもとへ。ウォルターはそんなポニーたちにニンジンをあげ、待ってもらっていた。
「いい子だな。ブラッシングしてやるからじっとしてろよ？」
　豪が優しく声をかければ、ポニーは目をキラキラさせて大人しくしている。丁寧にブラッシングをすれば、気持ちよさそうに瞳を細めるポニー。
「今だ！」
　そこでウォルターが首に鈴をつければあっという間に出来上がる。

　一方、修は別のアプローチも考えていた。籠から１つ手に取り、観察する。と、ポニーの１匹の声をかけ、ぴとっ、とくっつけて見せた。どうやら慣れさせる作戦らしい。
「最初は一寸ひんやりするけど大丈夫だろ？　音もなんてことは無いだろ」
　怖くないよ、と優しく声をかければポニーは鈴の匂いをかいだり、舐めようとしたり。食べ物ではない、と解るとじーっ、と観察する。そして、ややあってすりすり開始。その度にころん、と優しい音が鳴る。
「気に入ったみたいだね」
　ウォルターがそういう側から、修はポニーの首に鈴を結わえる。と、ポニーは嬉しそうに鈴を鳴らした。
「馬は繊細だから、いきなりつけたら興奮してしまうかも。だから、怖くないと分かって貰ってから着けたらいいんじゃないかな？」
　修の説明に、皆が感心する。そう言っている間にも子ども達へとポニーが集まってきていた。お姉さんは彼らの様子に感心していた。
「貴方達、中々上手ね……」
「馬の世話は、慣れてるからっ」
　修がそう言ってにっこり笑う。星ヶ丘にあるホースクラブには、彼の愛馬がいる。その事を思い出し少し寂しい思いもするが、無事に戻れたらたっぷり可愛がってあげよう、とも思うのだった。