みんなショタったらいいじゃない（例外もあるけど）｜リアクション

みんなショタったらいいじゃない（例外もあるけど）

　出だしは好調だったものの、中にはかなり気まぐれなポニーや鈴への警戒心を解かないポニーもいた。それでも豪たちはめげずに鈴をつけようと考える。
　そんな子ども達にお姉さんはすっかり感心し、手が高いところに届かない等困っていることがあれば手伝ってくれた。
　豪はひとまず、自分の首に鈴をつけて見せた。こうやって警戒を解こうという作戦だ。
「どうだ、悪くないだろ？　いっしょにつけようぜ！」
　豪がつけて見せると、警戒していたポニーが少しだけ興味を示す。続けて修が鈴に触れさせて呼びかけると、大人しく鈴をつけさせてくれた。
「いいこ、いいこ」
　セルゲイが優しく頭を撫で、ニンジンを食べさせる。と、今度はウォルターが別のポニーに鈴をつけている姿を見つけた。
　それからみんなで積極的に掃除もやれば、ポニーたちもより５人になつく。１人で遊んでいたときは面倒だ、と思っていた楓も、ちょっと心が丸くなっているようだった。
「こいつで最後か？」
「みたいだね」
　彼が真っ白いポニーの頭を撫でつつそう問えば、修が答え、その傍らでセルゲイが頷く。ウォルターが餌を上げているうちに豪が鈴をつけてあげれば、ミッション完了である。
「みんな、ありがとう！　お姉さん感謝しちゃうわ！」
　お姉さんは笑顔で５人の頭を撫で、ハグ。ふわふわとした感触と優しい匂いにちょっとだけくすぐったさを憶えたが、気がつけばポニーたちが遊んで欲しいとばかりに子ども達へと近づいてきていた。
「あのっ、ポニーに乗っていいですか？」
「勿論よ。きっとこの子たちも喜んで乗せてくれるわ！」
　修が問いかけると、お姉さんは満面の笑みで答え、早速鞍などを用意してくれる。手を貸してもらいながら乗れば、視界は広がり、風が心地良い。
（ようやく、普段の視界にもどったかな）
　修がちょっとだけ落ち着いたようなため息をつくと、セルゲイが慣れた手つきで手綱をとり、進んでいくのが見える。
「あっちまで、競争しよう？」
「行ってみよう！」
　セルゲイの提案に豪がのり、修も興味を持って提案する。少し離れたところで様子を見ていた楓だが、ウォルターがにこっ、と笑って手を差し伸べる。
「ん？」
「ねぇ、楓もいこうよ！　ガンマンごっこの続きも出来そうだし！」
　楽しげな笑顔に少しだけ、「参ったな」とため息をつく楓。しょうがない、と思いながら参戦すれば、風がとても心地がよい。思い切り原っぱをポニーでかけ、おもちゃの銃片手にガンマンごっこをすれば、気分はもうカウボーイだ。

　そんな中、豪は内心ちょっとだけ慌てていた。実を言うと、小さくなった面々のちょっとした仕草がかわいくて、ちょっと「きゅんっ」としている事に気付いてしまったのだ。
（いかん、俺はそんな気ないぞ……。いや、本当に！）
　ちょっと俯いて考え込んでしまった彼を見、ウォルターは不思議そうに声をかける。
「大丈夫？　気分が悪くなったの？」
「だ、大丈夫だよ！　それにしても喉が渇いたな。お姉さんに牛乳か何か飲み物があるか聞いてくる！」
　豪は悟られぬよう笑うと、ポニーを走らせるのだった。

　全てのポニーの首に鈴をつけ、満足するまでガンマンごっこを楽しんだ５人は、とっても充実していた。
「うぉるたー、友達……。かえで、ごう、しゅうも、友達……」
　セルゲイが、ゆっくりそう言い、にっこり笑う。４人もつられて笑い、その姿はとても絵になった。

　＊　＊　＊　

　こちらは原っぱ。風にのって聞こえる子ども達の声を聞きながら、絵本を抱く男の子が１人、うとうととまどろんでいた。傍らではくせっ毛の男の子がすやすや眠っている。どこか幸せそうな顔の２人は、馬の声や子どものはしゃぐ声を子守唄に、とても気持ちよく眠っていた。