みんなショタったらいいじゃない（例外もあるけど）｜リアクション

みんなショタったらいいじゃない（例外もあるけど）

　と、ここまでよかったものの……やる気だけが空回りし、３人とも『魔法の鍵』を見付けられずにいた。途中で衛もあやめと朱蘭に合流し、共に手分けして探すもお目当ての物は見つからない。
　元気一杯の衛にあやめがちょっとびくびくするも、朱蘭が間に入る事でどうにか協力しあっていた。だが、……朱蘭の思考は『魔法の鍵を探す』事から『宴会がしたい』に移っていた。

原因：朱蘭のろっこん『似非バッカスの施し』が施された水（以下ろっこん水と表記）を飲んでいたため酔いが回った。

「よっし！　あやめさん、衛、宴会しようぜぇ～！」
「えっ？！」
　いきなり出た言葉に、あやめは思わずそんな声を出した。ついでに眼鏡も大きくずれる。衛は衛で「宴会？」と不思議そうな顔で首を傾げる。
「あたしのろっこん水でぱぁ～っと盛り上がろうぜ！　なぁに、『魔法の鍵』を見つけるのに制限時間とかあるわけでなし！」
　朱蘭はそういってひょいっ、とあやめの眼鏡を取ってしまう。これにはさすがに参ってしまうあやめ。
「…その……でも、探さないと……っ？！」
　眼鏡を取り戻そうと手を伸ばしたあやめだが、見えづらいため足元の椅子に気付かなかった。こけようとした所を衛がどうにか支えようとしたが、つられて転んでしまう。
「だ、大丈夫、ですか？」
「へーき！　それよりも、ろっこん水って？」
　衛が笑いながらもきょとん、とした様子で朱蘭に問いかける。と、彼女は「よくぞきいてくれました！」と何処からともなく瓢箪型の徳利を取り出した。そして、「こいつだよぉ」と衛に手渡す。少し考えた衛だが、好奇心が勝ったのか、こくこくと喉を鳴らして飲んでいた。あやめが止めるも、お構いなしである。
「ん……（あ、普通の水？）」
　黄色い瞳をしぱしぱさせた衛だが、ややあってすっごく身体がふわふわしてきた。これには思わずケラケラと笑ってしまう。

　原因：『似非バッカスの施し』が施された容器の中身（液体）を飲むと、酔う事が出来る（正し味は変わらず）。

「あれ～？　なんだかとっても気持ちいいなー♪」
「だろ～？」
　楽しげに肩を組み笑う衛と朱蘭。このままでは『魔法の鍵』が見つからないという不安と、周囲が見えづらいという不安、カオスに巻き込まれるという不安からあたふたしてしまうあやめは、まず眼鏡を取り戻そうと顔を上げた。
「あ、あのっ……、眼鏡を返してください……」
「んー、飲んでくれなきゃ返さないぜ～？」
　朱蘭がそういって徳利をみせるも、あやめは躊躇ってしまう。そんな様子が煮え切らない、とばかりに朱蘭はあやめに近寄る。

「？！」
「こーいうのはぁ、ぐい～っといくもんなんだよ♪」
　と、おもむろにあやめの口へ徳利を持っていく朱蘭。抵抗しようにも、現在のあやめは衛や朱蘭よりも幼い姿をしているので効果がなく、成す術もなく瓢箪を受け取らされ、そのままぐいっ、と飲まされてしまう。そして、一気に頭の中がぐるぐると回りだした。
（め、目が回る～～）
　あやめは、酒に強い体質であった。故に、朱蘭のろっこん水を飲んでも大丈夫なのではないか、と考えていた。しかし、ろっこん効果恐るべし！　みごとに酔ってしまったようだ。
「こっちにポテトチップスもあるし、いかせんべいもあるし、宴会だ～！」
「おー！」
　できあがった朱蘭と衛は何処からとも無くもってきたお菓子を食べつつろっこん水で宴会を始めてしまう。ふらふらと壁に寄りかかったあやめは、とりあえず近くにあったオレンジジュースを飲んで呼吸を落ち着かせる。
　眼鏡がないのであたりがぼんやりとしか見えない。それを不便に思いながら、あやめはとりあえず流れに身を任せるしかないのかな……と、内心とほほ、としょげてしまった。

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