ブラックサンタウォーズ｜リアクション

ブラックサンタウォーズ

【子供達には見せられない！】

　その頃、天動記士郎と御剣刀は、サンタとの睨み合いを続けていた。

「…どうした？　みんな大好き『うんちくん』だよ？」

　サンタはまだちょっと涙目だったが、意地でも二人を『うんち』にしてやろうと、ジワジワにじり寄ってきていた。

　結果として、うんちを持った涙目のサンタと対峙する一人の少年と一人の青年というなんともカオスな光景が繰り広げられる結果となっていた。

　このままでは寝子島のフツウが危険で危ない。
　誰もがそう思ったとき、どこからともなくバイクの音がこちらに近づいてきた。
　バイクに乗っているのは八神修だった。
　修は片手に擂粉木を持ち、もう片方の手でバイクを操作して――。

「……え？」

　すれ違いざまに擂粉木を、『ゴンッ！！』とサンタの首に叩きつけた。ラリアットである。
「おげぼふぅっ……！？」
　サンタは、人間が発してはいけない声を上げて地面を転げまわった。

（思ったより、いい音がしたな……。だが）

　修はバイクを停車させると、擂粉木をキャリアに戻しつつ、状況を分析する。
　彼はどこかで見た覚えのあるナイフと、そのそばにいる柴犬の姿から、その犬がサキリ・デイジーカッターではないかとあたりをつけた。
　つまり、彼はまだ元に戻ってはいない。
　なら。
　修はバイクを降りると、呆然と自分を見ている記士郎と刀に向かって、「まずは人を遠ざけよう」と声をかけて、『映画撮影中』と書かれたボードを手に人払いに走った。

（確かにこんな戦いを子供達には見せられない！）

　修の言葉に、刀と記士郎は頷き合うと、自分達も人払いをするためにそれぞれの方向へ走っていった。