ブラックサンタウォーズ｜リアクション

ブラックサンタウォーズ

【ネコとカエルとサンタクロース】

　さて、その頃、動物に姿を変えられてしまった子供達もまたそれぞれに行動を開始していた。

〔曖浜瑠樹の場合〕

（あれぇ？　オレ、ネコになっちゃってるよぉ？）
　曖浜瑠樹は鏡に映る自分を見て、自分がネコになったことに気がついた。
（先にそう言ってくれればもっと喜んだのにって、あぁっ！？　しまった、プレゼントまだもらってないよぉ……！）
　瑠樹はサンタに恨みはなく、ただぬいぐるみを貰い損ねたことがショックだった。
（い、今ならまだ……！）
　瑠樹は素早く塀の上に飛び乗って、サンタの消えた方角へ向かって走っていった。

〔一原みとの場合〕

（すごい！　みと、イチゴドクガエルさんになってる！）

　一原みとはカエルにされてしまったことに気づき、ショックをうけるどころか、むしろ喜んでいた。

（イチゴドクガエルさんはね、イチゴみたいでおいしそうって思っちゃだめなのよ？）

　みとはカエルジャンプを繰り返しながら、一生懸命にカエルについて説明を続ける。
　しかし、それはカエル以外の生き物からは「ケロケロ」としか聞こえて来ず、彼女のカエル愛がそれ以上ほかの誰かに伝わることはなかった。

〔ミルカ・アハティアラの場合〕

（やはり駄目でしたか……。でも、幸いネコさんの身体ならまだやれることはあります）

　ミルカ・アハティアラは、ネコの姿に変身させられてなお、何も諦めてはいなかった。

（この身体なら俊敏に動けますし、飛びついたりもできます！）

　ミルカは意を決して、大地を蹴った。

　その途中で、一度だけこちらを向かって何かを訴えるカエルにされた少女の方を見やり、

（かわいそう……。　でも、大丈夫！　必ずわたしがもとに戻してあげますからね！）

　と、ネコ語で言った。

　よもや、カエルになったみとが、カエル語で、嬉々としてカエルについて語っているなどとは夢に思わないミルカなのだった。