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【お三夜】猫と人、二つの世界が交わる夜
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●祭りの終わり
どおん、どおんと、花火は上がり続けていた。
食べ物も遊びも一通り楽しんだ
猫島 寝太郎
と友人たちは最終的に耳福池のほとりに落ち着き、敷物を敷いて花火を楽しんでいた。
「お祭りの〆はやはり花火ですねぇー。花火の音がドーン、と体を震わせるあの感覚、大好きです」
薄野 五月
がうっとりとした顔で花火を見上げる。
屋敷野 梢
は少々しんみり。
「なーんか、今年は色んな人と花火見た気がします。どれもこれも思い出深くて綺麗ですが……終わりが、早すぎますよね……花火って」
そうね、とカメラを手にした
早坂 恩
がゆるり微笑む。
「記録には残らないものもあるもの。しっかりとこの目に焼き付けたいわね」
「なんだよなんだよしんみりすんなよ」
リンゴ飴を口に咥えた
大山田 団十郎
が割り込んで来て、梢と恩の肩を抱く。
幾度も幾度も水面に美しい花を散らしては打ちあがる花火。
こういう体験の乏しい
弘明寺 能美子
は、
「花火があがったらたまやーかぎやーっていえばいいのね……かぎなんて猫の名前があるのね」
などとたまやのたまは猫の名前だと勘違いしているようだが、そこは五月が冷静に突っ込む。
「違いますよ。たまや、かぎやって言うのは江戸時代の花火師の屋号で……」
そのときどこからか、花火が上がるのに合わせて、
「たーまやー、かぎしっぽやー」
という掛け声が聞こえてきた。
「誰だ鍵尻尾って言ったの」
寝太郎が思わず笑ったそのとき、携帯に電話が掛かってきた。
御剣 刀
からだ。
「あっ、もしもし? さっきクローネがどうとかって……え? 解決した? 心配しなくていい? そうかぁ、良かったね。ありがとう。……え、こっち? こっちは……」
寝太郎は友人たちの顔を順に見遣る。ほんの数時間の間に、すっかり仲良くなった気がする友人たちを。
「楽しんでたよ。まだ食べ物いっぱいで、このままだと大山田さんにはち切れるまで食べさせられそうだからタスケテ。……アハハ、そうそう。……うん。あとで何があったか聞かせてよ、じゃあね」
電話を切る。梢が話しかけてきた。
「クローネの企みは失敗なんですね。良かったです。気になって祭りに集中できなかったんですよ」
言われて寝太郎は思い返す。
風船提灯も見たし、高速金魚釣りも遊んだし、輪投げもチャレンジした。
眼鏡をキランと光らせた五月が、その眼光の鋭さに反して輪っかを軒並み外したのも笑ってしまったし、真剣な顔で射的に挑んだ恩が、変な顔の人形を打ち落としたのにも笑った。じつはそのとき恩の凛々しい横顔にドキっとした寝太郎がいたことは内緒だ。そういえば梢は「囚われの金魚を助けだしてあげて下さい!」とか「楽しいですよねー、射的! こーいうの好きですから、血が騒ぎますよー」とか囃し立てていたわりに、風船提灯を買ったくらいでゲームに参加していなかったかもしれない。楽しめていなかったのだろうか?
「んだよ、しみったれた顔してんなや、ネタロー!」
団十郎が寝太郎を小突く。
「そうですよ。あのカラスのせいでムダ金使うのがイヤだっただけですからー。私も楽しかったです」
イカ焼きを頬張りながら梢も微笑む。
「あ……また花火」
「たーまやー!」
五月が掛け声をかける。それに合わせて能美子も「かーぎやー!」
「ふっふ、弘明寺さん、そういう感じです」
「そ、そう?」
能美子は胸に手を当てる。この島に来てからいろいろあった。自分がいかに世間ずれしているか気づかされる場面もすくなくない。けれど……それは悪い感じのするものではなかった。
「今日は、ま、まあ楽しかったわ」
能美子がぼそりと呟くと、全員の顔に笑みが浮かんだ。団十郎が能美子にべったり頬を寄せる。
「なっはっは、またひとつ大人になっちまったな、ぐみょーじ! あとはここが育てば……」
もみもみ。
「ばっ! そういう趣味ないって言ってるでしょ!」
能美子の悲鳴とみんなの笑い声が祭りの夜空にこだまする。
――今宵最後の、一番大きな花火が上がった。白から赤に枝垂れてゆく、大きな大きな花火だった。
◇
祭りの終わった鳥居の真下。
人波は参道商店街の方に向かって流れ始めている。
「もうすぐお別れの時間だねー」
しょんぼりとする
千鳥 雅人
に、口調の荒いお嬢様、
フィーナ・シレンツィオ
は真面目な顔で言った。
「すっかり世話になっちまったなぁ。たぶん一人だったらこんなに楽しんだりまわったりなんざ出来なかったと思う。ってことで改めて礼を言わせてくれ」
んんっ……と小さく咳払いのあと姿勢を正し、フィーナは恭しく一礼した。
「Thank you today, pretty gentleman's.
Tribute to your friendly behavior, and thanks.」
――今日はありがとう、小さな紳士さん。きみのやさしさに賛辞と感謝を。
あまりに流暢な英語だっだので雅人にはthanksとかgentlemanくらいしか聞き取れなかったけれど、感謝されているということは伝わってきた。
「こ、困ってそうなレディーを助けるのは男として当然だよー!」
「……君はナイトだな」
フィーナは顔を綻ばせた。
口調の荒さで忘れてしまうが、笑えば冬の山に咲く花のような少女なのだ。
「またいつか会えるのを楽しみにしているよ。bye!」
◇
露店もそろそろ店じまいだ。
焼きそばと焼きおにぎりの店を出していた
深縹 露草
は、ほっかむりと割烹着を脱ぎ臨時バイトの
天之川 麗仁
に頭を下げる。
「お蔭様で助かりまーした。いっぱい売れまシタ! お礼にこれ、持ってってくだサーイ!」
それは、バイト代の入った封筒とお店の商品である焼きそばや焼きおにぎりである。しかも残り物ではない。手伝ってくれた麗仁のためにわざわざ拵えたものだ。
「いいんですか、こんなに」
「いいんデス! お世話になったし楽しかったデース!」
「こちらこそお世話になりました」
麗仁はぺこりと頭を下げ、なんども振り返って手を振りながら去ってゆく。
その後ろ姿を見送って、露草は最後まで店を手伝ってくれた虎猫の青年にも微笑みかけた。
「来年もまた参加してみたいですね。その時は露店を開くか、お客として参加するか……今から悩、もとい……楽しみデース!」
◇
鬼崎 あやめ
も『おにざき』の暖簾を外し、今日一日手伝ってくれた
添木 牡丹
と
矢萩 槇
に礼を言う。
「お疲れ様でした。本当に助かりました。お蔭様で完売です! 私たちも打ち上げと行きましょう」
あやめが取り出したのは、猫のかたちの猫わたあめ。
休憩の時にこっそり買っておいたのだ。
「あらまあ。あやめちゃんいつの間に……」
「わあ! ありがとう~」
牡丹も槇も満面の笑み。仕事のあとのわたあめの甘さの心地よいことと言ったら。
「えへへ。お手伝いした後は気持ちいいね~。お姉さんも喜んでくれてるみたいで私も嬉しいよ!」と槇。
「ふふ、私はあやめちゃんの役に立てただけで嬉しいわ」
そういう牡丹にあやめは改めて頭を下げる。
「お姉ちゃん、本当に助かりました。このご恩はいつか必ず……何かあったら言ってくださいね」
「気を使わなくてもいいのに。でもそうね……今度寮に遊びに来て美味しいご飯でも作ってくれると嬉しいわ」
牡丹はよしよしとあやめの頭を撫でる。
そこに、
冴木 竜司
と
鬼崎 つくし
が戻ってきた。なにやら出て行ったときより絆が深まったような雰囲気だ。
「あー! つくしちゃん遅いよ!」
槇がつくしを出迎える。つくしはそんな槇に抱きついて「ごめんね」と言った。
「つくしちゃん、今度は一緒に働こうね!」
「うん」
よきかなよきかな、と万事丸く収まったような顔で頷く竜司の耳を、あやめがひっぱる。
「ふふ……よくもお店をほっぽってくれましたね……冴木さんとつくしちゃんは後で説教ね?」
高まるあやめの黒いオーラに、竜司もつくしもたじたじと後ずさりする。
が、その背中はちょうど槇を迎えに来た
矢萩 咲
と
矢萩 秋
にとすんとぶつかり……。
「咲さん、秋さん、ホールド!」
あやめの一声とともに竜司とつくしはがっしり掴まれてしまう。
「そんなー!」
「どいひー!」
鬼崎家も矢萩家も添木家も、強くて美しい女性ばかりだが、怒らせたら怖いのだ。
――合掌。
◇
『まどかおねえさん』
「なあににゃーくん」
名残惜しそうに奇妙な世界が薄れゆくのを眺めながら、
桜庭 円
は佇んでいる。
『もうすぐこの時間も終わっちゃうね』
「ん」
『いけない事なんだろうけど皆とお話出来る日がもっと続けばいいなーって』
「そうだね」
『でも、やっぱり。いつも話せないからこういう日が楽しいのかもー?』
「うん……そうかもしれないね」
◇
注連縄で現世と隔てられた寝子島神社本殿には、艶やかな黒い毛並みに赤い瞳をしたお三夜大明神が、金の刺繍も麗しい座布団の上に、高貴な居住まいで鎮座ましましていた。
その左右には、狛猫の一之助と二右衛門がすまし顔で控えている。
『此度の働きご苦労であった』
『こうしてお三夜様がお戻りになられて我らひとえに安堵しておる』
『それもこれもみんなのお蔭にゃ。ありがとうにゃ』
お三夜様がちょこんと可愛らしく頭を垂れると、万が一のことはないかと本殿まで見守りに来ていた仲間たちは一様にほわっと温かい気持ちになった。
「みなさん、お疲れ様でした」
寒い中迷宮を走り回っているであろう人々のために、
御鏡 聖
がお茶や味噌汁などを用意してくれていた。
ご飯も炊いておいたらしく、お三夜様や狛猫にはねこまんまが振舞われた。
お茶や味噌汁が一度は硝子になった身を温める。
みんなは聖に感謝しながら、生きてて良かったというため息を漏らす。
ろっこんを暴走させられた
新江 天懸
は、皆に平謝りに謝っていた。
クローネのせいさ君のせいではない、と誰かが声を掛けていた。姉の
大天使 天吏
の姿はない。
「……ああ、そうだ。潰れてしまったけど……納めようと思ってたんだ」
八神 修
が鞄から新聞紙に包まれた焼き芋を取り出し、お三夜様に差し出した。
『これはこれはご親切にありがとうにゃ』
「どういたしまして。少しだけれど、今からでもお三夜様に祭を楽しんで貰いたいと思ってさ」
すると修の飼い猫ブラックが、ぱっと肩に飛び乗って、抗議のような鳴き声をあげた。
「わかってるってブラック。お前の分もあるよ。……みんなもどうだ? 人数が多いからひとくちずつだが」
修は芋を指でちぎって少しずつ焼き芋を配って歩いた。
みなから一歩下がった部屋の隅にそっと佇んでいた
常闇 月
は、この様子を和やかな気持ちで眺めていた。
「常闇も、いろいろありがとう」
「……こちらこそ。ありがとうございます」
最後のひと欠けらを受けとり微笑む。
「どことなく……ほっこりしますね」
「そうだな」
こうして修の焼き芋を一口ずつ分けて食べながら、みんなはちらちらとお三夜様に視線を送っていた。
「お三夜さま!」
意を決して挙手したのは
後木 真央
である。
『どうしたにゃ?』
「お、お願いがあるのだ、お三夜さまをモフらせてほしいのだ!」
それを端緒に、俺も、僕も、私もとみんなも一斉に手を挙げる。
『お三夜様を撫でればご利益が……なんて噂はなかったと思うが……』
『もしかして
祭り前の大掃除のパタパタ
が変形して伝わったのだろうか?』
狛猫たちは首をかしげたが、この際だから狛猫たちも撫でたいと手が伸びてくる。
『にゃーっ! 整列っ!』
お三夜様が一喝した。
『ひとりずつ、順番に、一回ずつ背中を撫でるだけなら許すにゃ!』
一番乗りは真央。
「ふぁぁ、まさに神のごとき手触りなのだ感動なのだ~」
それからみんな順番に。
聖は「いつも見守って頂きありがとうございます」と深々と礼をして。
恵御納 夏朝
は手に嵌めたパペットのハルくんでパタパタと。
シオ・レイゼルオーク
の番になったとき、彼女はこそりとお三夜様に耳打ちした。
「三千鳥居の迷宮、雰囲気もいいし挑みがいがありました。様々な人の成長のために時々迷宮を開放もらえないですか? きっと名所になりますよ」
するとお三夜様は答えて。
『あんまり頻繁だと有難味が無くなるにゃ。ごく限られたチャンスだからこそ、その経験が輝くのにゃ』
そう言ってから、
『三千鳥居の迷宮は、来年も再来年も、猫の子の成長を願って開かれるのにゃ』と微笑んだ。
一番最後は月だった。控えめな月は、おずおずとその黒い背中を撫でる。
『縁の下の力持ちも大事にゃ。ありがとうにゃ』
自分に向かって優しく微笑むお三夜様の赤い瞳。
微力ながら誰かの役に立てた夜のことを、きっと忘れないだろうと、月は思った。
――いつしか、猫の世界と人間の世界の交わりは解けていた。
お三夜様と一緒にいたはずの人々は、気づけば鳥居の前に立っていた。
参道はまばらに静まり、ぽつりぽつりと露店の片付けの火が灯るばかりだ。
その明りも不思議なオレンジ色ではなく電気で灯る白熱光。半人間のイケメン猫も、ダミ声を張り上げる猫の店主も、奇妙な幟の猫の露店も、どれもこれも姿を消し、ごくごくフツウの祭りのあとといった風情で、さきほどまでの賑わいを知る者なら物寂しい気もするだろう。
だが、これでいいのだ。
フツウは守られたのだ。
桜庭円はにゃーくんと一緒に家路につく。
鳥居を過ぎ、ふと視線を感じて振り返る。
鳥居の両脇には狛猫たちがいつものように『阿』『吽』と睨みを効かせて神社の門前を守護している。
その石造りの口もとには、ひとかけら、焼き芋のくずがついていた――。
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SF・ファンタジー
動物・自然
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定員
1000人
参加キャラクター数
109人
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シナリオガイド公開日
2015年10月31日
参加申し込みの期限
2015年11月07日 11時00分
アクション投稿の期限
2015年11月07日 11時00分
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