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【お三夜】猫と人、二つの世界が交わる夜
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●響き合う音楽
某有名交響楽団で第一ヴァイオリンとコンサートマスターを務める
深林 真瞭
と、寝子島総合病院内科医の
深倉 理紗子
は、中学時代からの親友である。凛とした百合を思わせる真瞭と、儚げな月下美人を思わせる理紗子は、性格は対照的だったけれど、どこか響き合うところがあるようで、一緒にいて苦にならないのだった。
「もうすぐね、りさちんの職場復帰」
「そうね、こんな風に二人で遊びに行けるのもしばらくはお預けになりそう」
頑張り過ぎのきらいのある理紗子は、過労で倒れ、約1ヵ月の自宅療養を送っていた。
「病みあがりということなのでしばらくは勤務のシフトを楽なものにしてくれるらしいけど、いずれ再び朝6時出勤、夜23時帰宅になるんだろうな。ちゃんと身体がついてきてくれるかな……ってちょっと心配」
「身体のいうことをちゃんときいて、無理しないことよ。ほんと、りさちんてば医者の不養生なんだから」
その忠告が、深刻にではなく、悪戯っぽいウインクとともに齎されたことで理紗子の心は軽くなる。
こういうところが真瞭といて気持ちが落ち着く所以なのだろう。
そうこうするうち、ふたりは猫と人が混じり合う不思議な空間に迷い込んでいた。
「ふふ、こんなことってあるのね。あら、そちらの猫さん毛並みが素敵。撫でてもいい?」
演奏旅行で国内外を飛び回ることが多いせいもあるのだろうか。あっという間に状況に馴染み、あまつさえ猫の宴会に混じっていた和服の似合う眼鏡の男性――
永田 孝文
先生からお酌してもらってほろ酔い加減の真瞭に対し、理紗子はあからさまに戸惑いの表情を浮かべて、周囲に視線を泳がせたり、勧められた食べ物やお酒をちびちびやったりしている。
(りさちん、ビビりでヘタレなところあるからね……)
やれやれと真瞭は軽いため息。良くも悪くも常識人な理紗子としては、どうもこの状況を受け入れていないというか、困惑しているのだろう。一方の理紗子は、真瞭をときおり眩しそうに見つめる。
天衣無縫というか、自分の心のままに素直に今の状況を楽しめる親友がつくづく羨ましく思えるのだ。
自分は彼女のようにはどうしてもなれない。どうしても物事を深刻にとらえてしまう悪い癖がある。
(まーちゃんはきっとストレスとは無縁……でもないんだよね。まーちゃんはまーちゃんで色々悩みもあるのは知ってるから)
そうじゃなかったら、親友ではいられなかったろう。
ハンチング帽を斜めに被り、紫色のベストを着た灰色猫のヴァイオリン弾きが、余興で弾き始めた。
テンポよい有名なミュージカルの劇中曲だ。
何匹かの猫が輪になって、音楽に合わせて踊りはじめる。
するとヴァイオリニストとしての血が騒ぎ始めたのだろう。真瞭はこんなことを言って口唇を舐めた。
「あの猫さん、なかなかやるわね……こっちも負けてられないわよ」
酔いの力も手伝って、いきおいで近くにいた別の猫にヴァイオリンを借りる。
弾きはじめたのは何やら楽しげな即興曲。
この挑戦状に、猫のヴァイオリン弾きは一瞬驚いた顔をした。が、すぐに真瞭が響かせるメロディに負けじとやはり即興で弾き始め、絡み合う高音と低音の響きはまるで合戦じみたセッションになってゆく。
速い。
テクニックの限界に挑むような弦捌き。
猫のヴァイオリン弾きだって負けてない。
必死さの中にも楽しさを滲ませ真瞭の演奏と競うかと思えば寄り添うように弾きこなす。
いずれ名のある猫に違いない。
「ま、まーちゃん!?」
理紗子はそのすさまじさに目を白黒させるが、猫たちは陽気なものだ。
「もっとやれー」
「楽しけりゃ何でもいいさ!」
と次から次へと踊りに加わり、しっぽを絡め、跳びあがり。
宴会はまるで曲芸劇団のような様相を呈して行く。
「あはは」
真瞭は笑っていた。
このところ所属している交響楽団の政治的なごたごたに巻き込まれ、心底うんざりしていたのだ。
楽団のみんなは忘れちゃったのかしら。音を楽しむ――そこからはじまったはずなのに。
こんなふうに、純粋に音楽が楽しめればそれでよかった。
楽しい。
立場のない、ひとりの演奏者としていまこの瞬間、音楽と、本当の意味で付き合っている。
ヴァイオリンという楽器を通して、世界に溢れ出たエネルギーが噴水のように上空に吹き上がる。
その粒子を全身に浴びる。
音が身体の中に沁み込んできて、体中の細胞が揺さぶられる、この感覚。
ああ、だから音楽って好きなんだ。
◇
音楽は、参道の賑わいの中にも届いていた。
休憩時間を利用して露店を見て回っていた
深縹 露草
の耳にも。
露草の焼きそばと焼きおにぎりの店は大盛況だった。バイトは
天之川 麗仁
君だけじゃ足りなくなって、通りかかりの虎猫青年さんをもスカウトし、手伝って貰っている。絞りハチマキで鉄板の上にソースを垂らす虎猫と、それを脇で手際よく器に盛り付けてゆく麗仁のコンビはなかなかのもので、だからこそ露草は安心して一時彼らに店を任せることができたのだ。
「ん~、ヴァイオリンの音に聞こえますデース。いい音楽デース」
高速渦金魚釣りの露店の前で、ぐるぐるに渦巻く水流に目を回す
フィリップ・ヨソナラ
と
ミルカ・アハティアラ
の耳にもそれは届いた。
「なんだか素敵な音楽が聞こえてきましたよ、フィリップさん」
「ほんと、ですね。競争に、とてもぴったり。金魚さん、目を回しそう。僕も目を回しそうだったけど、この音楽に合わせたら、金魚さんが動くの、見えそうな気がしてくるです」
よし、とフィリップは、ミルカにいいところを見せようと腕まくりする。
「僕がんばってみます。ちょっと僕のランタン、持っててくださいっ!」
「はい。頑張って!」
フィリップはまるで心眼を開いた闘士のような顔をして渦と向き合う。
金魚はものすごい勢いで回っていて、これを掬おうというのはまさに、真剣勝負だ。
さて、その隣で、同じように心眼を開いたような顔をしているのは、年上のお姉さん
城山 水樹
である。
釣りの道具はポイかと思えば、割り箸くらいの小さい竿に糸をつけた釣り具だった。
(どちらにしろ難易度エクストリームとかありえないんだけど……)と呆れつつも、挑戦するとなったからには本気を出すのが水樹流。
「……ここで引き下がったらもう女がすたるってものよ……」
フィリップを真似て釣り糸を垂らす。魚の前を狙ってみるが、なにしろ渦の勢いがすごいので餌は糸と引き摺ってぐるんぐるん回ったりする。
思い出すのは高校時代までやっていたバスケ。あのとき培った動体視力や反射神経はまだまだ健在のはず。
ヴァイオリンの音が聞こえる。低音と高音がスタッカートで競い合う。
心臓の鼓動の倍くらいの速さで、トゥルトゥル、トゥルトゥル。
慎重に。集中して。
いける、絶対にいける。
まるでそう言っているかのよう。
全神経を集中させて、渦の速度や金魚の泳ぐ速度、それに大きさや重さなどを瞬時に見極め――。
「やりました!」
「やったわ!」
二匹の赤い金魚が同時に高く釣り上げられた。
フィリップと水樹は、思わず親しい友人みたいに片手をあげてハイタッチ!
「お姉さん、やりましたね!」
「君もね!」
それからフィリップは、バケツに入れた赤い金魚をミルカと一緒に覗き込んだ。
「いっしょに帰って、おうちの水槽でのんびりしてもらいましょう」
「わあいいですね。フィリップさん、今度、見に行かせてくださいね」
「もちろんですとも!」
そんな少年少女を見ながら、水樹は、私も一緒に金魚を眺めるいい男が欲しいものだわ、なんて素敵なかたちの胸の片隅で思ったりする。
ヴァイオリンの演奏は、穏やかな調べに変わっている。
まるでフィリップと水樹の戦果を祝うように、晴れやかに空に響いている。
◇
猫のヴァイオリン弾きと視線を躱して、互いに大きく呼吸すると、驚くほど響きあう和音で演奏を締めた。
酒を飲んで陽気に踊り歌っていた猫たちは、この共演に喝采、喝采、大喝采である。
猫たちにもみくちゃに取り囲まれて、真瞭は満ち足りた気持ちで理紗子を見遣った。
瞳を輝かせた理紗子は、猫たちを縫うようにして近づいてきた。
「今の演奏、即興だよね? とてもよかったよ」
「本当?」
「本当よ。感動したわ」
真瞭が手渡してくれた飲みものをひとくち含み、真瞭は染み入ったように夜空を見上げる。
「じつを言うとね、私も。弾いてて感動しちゃった。音楽ってこうあるべきだな、って」
猫のヴァイオリン弾きが、帽子を取って、真瞭の肩をやさしく叩く。
よく見ればかなりのおじいさん猫だった。
師匠と言ってもいいくらいの年かもしれない。
「ありがとうございました」
真瞭は猫の手を固く握る。
「いやいやこちらこそ。久々に楽しかった。名を聞かせてくれるかな」
「深林真瞭と申します」
「儂はフェルディナンドだよ、真瞭さん。いい演奏をありがとう」
その名がかのメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲を初演でソロ演奏したコンサートマスターの名と同名であったのは、なんという巡り合わせであろうか。
「ご一緒出来て光栄でした」
スカートの裾を持ち上げ、王様にするような深い一礼を持って、真瞭は今宵の演奏に敬意を示す。
そんな親友の様子に、理紗子も嬉しそうに微笑む。
理紗子もまた、今宵、音楽に励まされたのだ。
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3人まで
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SF・ファンタジー
動物・自然
神話・伝説
定員
1000人
参加キャラクター数
109人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2015年10月31日
参加申し込みの期限
2015年11月07日 11時00分
アクション投稿の期限
2015年11月07日 11時00分
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