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【お三夜】猫と人、二つの世界が交わる夜
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●三夜家の人々
静音の耳に、祭りのざわめきが届く。
気が付けばそこは境内の片隅だった。三千鳥居の迷宮からはじき出されたのだろう。
ふと目をあげると遠くに
三夜 雷一
のパッションピンクの髪と、彼の娘、
河野 一霞
の姿が見える。
◇
「あーあ、ライチが来るなんて聞いてなかったんだけど……!」
一霞はふてくされている。
「なによいっちゃん。たまにはデートもいいっしょ。ガキの頃からお三夜まつりにゃ毎年欠かさず参加してたからお三夜上級者よ、俺様ちゃん」
「おじさんは?」
一霞がおじさんと呼んだのは、雷一の双子の兄だ。
「今日は来られなかったが……まあ顔を合わせば喧嘩ばっかだ。あんな奴いねーほうがいいか、はは」
ふーんと気のない素振りで返事をして一霞はあたりに視線を飛ばす。
(不思議な露店が立ち並んで、本当なら楽しいはず、なのに)
雷一のことをまともに見られない。パパ、なのに。
「今夜はぱーっと俺様ちゃんのおごりだ。好きなの言えよ!」
「……別にデートなんかじゃないんだからね」
「ん?」
「ギャンブルに使うよりは有意義な使い途にしてあげようって言う仏心なんだから有り難く思いなさいよね」
口にして、気まずくなって、そっぽを向く。
ああ、また憎まれ口。
自分でも可愛くないって分かってる。
なのに悪態をついてしまうのは、この気持ちが恋に似ているから。
可愛らしい細工物の露店を見つけ、足を止めて思い出す。
幼い日、お祭りにつれてきてもらったっけ。
あのころはまだ、パパはただのパパだった。
いまは……ライチはどうしてパパなんだろうって思う。
「どーしたよ。変に黙りこくってるかと思えば暗い目で物思いに耽ったり……熱でもあんのか?」
離婚して、離れて暮らすようになった雷一は、思春期の娘の心の機微が読み取れずに、小さかった娘にしたようにおでこをこつんと当ててくる。
「なっ、ライチ!? なんでもないって! やめてよ」
涙が出そう。
(あの頃はこんなぐちゃぐちゃした想いなんて抱えずにパパって呼べたのに……)
あの頃の“パパ”の姿が今のライチに重なる。
子どもが親を恋しがる気持ちと、少女が男の人を恋しく思う気持ち――境界線はどこなんだろう。
目頭が熱くなってきたのを誤魔化すように、一霞はぎゅっと眉間に強く力を込める。
そうして笑顔を作ろうと努力しているというのに、雷一ときたら、
「悩み事があんならなんでもパパに言えよ?」
なんて能天気そうな顔。
(何よ、こっちの気持ちなんて知らないでそんな簡単に相談しろだなんて。ほんと――)
一霞の口から、言ってはいけない言葉が零れる。
「どうせ双子なら、ライチじゃなくておじさんの方がホントにパパだったらよかったのに……」
はっとして顔をあげると、雷一はくしゃっと複雑な笑みを浮かべていた。
歯噛みする。そんな顔、させたいわけじゃなかったのに。
そこに折よく
三夜 怜理
が現れたのは、だから、一霞にとってまさに地獄で仏にであった。
「……雷一おじ様と一霞姉さん。ここで言い争っては他のお客さんの迷惑になるわ」
怜理の冷静な瞳にはっとする。
「怜理ちゃん……っていうか、いつから見てた?」
「……」
寡黙な怜理は沈黙によって、わりと最初から見ていたことを饒舌に語る。
そしてさらに言外の質問に先んじて答える。
「何故私がここにいるか、ですか……お二人がこうして他の方にご迷惑をお掛けすることがないようにの監視、です」
いやあ、と雷一は救いの神の肩を気安く抱いた。
「そーかそーか。なら一緒に回ろうぜ」
「……そうですね、一緒のほうが暴発を防止できるかもしれませんし、そうしましょう」
「ぬ……」
言葉に詰まる雷一。12歳、中学一年生の少女にそんなことを言われては世話がない気もするが、なにしろ怜理は三夜家の中でもしっかりものだ。逆に中1だからこそ相談できることもある。
「あのさー」
と、一霞が露店の小物に夢中――なふり――なのをいいことに、雷一はこそこそ怜理に耳打ちする。
「なんか一霞のやつ、へそ曲げちまってさー。この年頃の女の子って何考えてるんだ?」
「何って……私が見たところ、雷一おじ様が無神経だっただけでは?」
「えーまじかよ。どのへんが?」
「具体的に言うとおでここつんのあたりとか。一緒にお風呂に入ろうって言うのの次の次くらいに、思春期女子にとっては『もーだからパパって嫌なのよー』ってやつですね」
「まじで? 俺はただいっちゃんに笑っててほしいだけなんだけどな」
「なら……プレゼントでご機嫌をとっては?」
「それ名案! あ、そーだ、怜理ちゃんにも奢ってやるよ」
しかし怜理はちらりと一霞を一瞥し、嘆息して首をふった。
「一霞姉さんを優先させてください。そんなに持ち合わせはないんでしょう? 私の方は大丈夫ですから」
中1にこんなに気遣われてどうするんだろうという気もするが、ほんとにこの子は賢者のように達観しているのだ。思い切って甘えるのもダメな大人の役目かもしれない。
雷一はさんきゅ、と怜理を撫でると、それから露店を眺める一霞を後ろから抱きしめるようにして、ふたつ、蝶と花の細工の揃いのブレスレットを手に取った。
「なあいっちゃん。せっかくの祭りだもん、機嫌なおしてよ。いっちゃんは笑った方が可愛いぜ」
一霞はむすっと振り向けずにいる。
雷一はブレスレットをふたつとも買い、ひとつを一霞の腕に巻いてやった。
「覚えてるか? いっちゃんが小さい頃も祭りにきていろいろ買ってやったの。あの時もぐずって大変でさ」
「そんなこと思い出さないでよ」
「でも俺がおぶさってあやせばきゃっきゃっと笑いだして」
「……子どもの頃のことでしょ」
「確かに俺は父親失格のダメ人間かもしれねーけど、霧人のほうがいいなんて切ねーこと言わねーでくれよ」
「……」
ごめんなさいって謝らなくちゃ、そう思うのに、喉に引っかかって出てこない。
雷一は屈んで、一霞と同じ目線になって微笑む。
「かっこいいお父さんめざしてがんばるからさ。ゆびきりげんまん、約束だ」
差し出された小指に、小指をおずおずと絡める。
「仲直り、よかったですね」
一霞の鼓動は、怜理の言葉に紛れて隠された。
◇
さて、その頃、仕事から事務用スーツのままで祭りに駆け付けた女性がいる。
雷一の妹のひとり、
三夜 深夜子
である。
知的なOLといった風情の深夜子は度入りの横長眼鏡をきりりとかけ直しながら思う。
(来年こそは、来年こそは私服で……!)
仕事が忙しすぎるのだ。
今日だって、絶対お祭りに行く、と覚悟を決めて必死に書類を捌かなければ、もっと掛かっていただろう。
そういえばあの案件、急いで処理しちゃったけど大丈夫だったかな……と急に不安になり、首を振る。
「……っといけない。気を取り直して、お三夜祭りを楽しまなきゃ! ……あっ」
深夜子は焦ったように頭に手をやる。猫の格好をするの忘れてた!
真面目でしっかりもののように見えるのに、こんな風に抜けたところが見え隠れするのも、もしかしたら仕事が長引く原因だろうか。一緒に来る相手がいないのも要領が悪いせいだろうか。
「だめよ、今日はお祭り楽しむって決めてきたの。そんなこと考えないの、私」
胸に手を当てて深呼吸。
すると、猫グッズ貸し出しの露店が目にとまった。
「ほら、大丈夫。あそこで借りればいいのよ」
バイトの女の子――
嘉島 和穂
に、事務着の上から黒の猫耳としっぽを付けて貰えば、これはこれでコスプレめいていて悪くない。
「まだ夕ごはん食べてないから、お腹もすいてるし……お土産にできそうなものとかもあったら買おうかしら」
珍しい露店を眺め見ながら、金魚焼きをぱくついていると、雷一たちと遭遇した。
「あら、偶然ね」
「おー、みやちゃん。なに、仕事帰り?」
「そうなの。一霞ちゃんや怜理も一緒なのね」
「深夜子さんこんばんは」一霞が会釈する。
「深夜子姉さん、一緒にどうです」
怜理が妙に目配せしてきた。どうやら雷一と一霞の間に流れる空気をひとりではフォローしきれないようだ。
「そうね」
深夜子が頷くと、雷一が調子よく「奢る」と言い出した。
「ありがとう兄さん。でもまずは貸したお金返してほしいんだけど。……まさか綿あめでうやむやにしようとか思ってないわよね?」
深夜子の笑みが怖い。三夜家の女子を侮ってはいけないのである。
それにしても、だ。
カップル、カップル。カップルの多いことと言ったら。
猫たちまで寄り添って、いちゃいちゃとしっぽを絡めあっている。
(いいなぁ、私もあんな風に異性と一緒に過ごしてみたい……)
ほぅ、とため息をつくと、怜理がぼそり。
「深夜子姉さんはいいお嫁さんになると思うんですけどね」
「え。心読んだ?」
「声に出てましたよ」
「う。だってさ、あの猫のカップル素敵じゃない? ……ちょっとどころじゃなく羨ましいわ」
「わかります」
そういって怜理はとある露店を指差した。
「あのカップルジュースっていうの、飲んでみませんか?」
それは、ひとつのカップからくるんとハートを描くかたちでストローが二本出ているしろものだ。向かい合って一緒に呑む、いかにもラブなジュースである。
あまり高くなかったので、面白がった雷一が二つ買って、深夜子と怜理、雷一と一霞がペアになった。
ばかばかしい遊びだと思っても、あまりに間近に雷一の顔があって、一霞はどうしていいかわからない。
(こっち見ないで!)
そんな思いで、きつく雷一を睨みつける。
赤くなっているのがバレそうだから。さっきのゆびきりを思い出して、鼓動が高鳴る。
「ふふ、楽しかった。次はきっと家族以外の彼と飲みたいわ」
深夜子は決意を堅くする。
それからみんなで色々な屋台をめぐり、いろいろなものを食べたり遊んだりした。
「あぁもう、食が進んじゃう。明日からは節制&ダイエットしなきゃ。でも……今日は沢山楽しむんだからぁぁぁ!」
ふだんの憂さを晴らすように叫んだ深夜子は、物陰でぼんやりと立ちすくむ
三夜 静音
に気付いた。
「静音? 何してるの?」
「ええちょっと……お三夜さまを手助けしようと思ったのですが……ま、私には関係なくなってしまいました」
「なんだかわからないけど、ひとりみたいね? だったら一緒に回りましょうよ」
「……そう、ですね……」
こうして三夜家の人々は、祭りの中をともに歩く。
胸中はさまざまだけれど、表情は一様に微笑んでいる。
「さて、そろそろ帰るか。うちでみんなが待ってる。家族はいつもひとつでなくっちゃな」
雷一の言葉に、一霞はそっとブレスレットを撫でる。ちゃんと笑えているだろうか。
「そーいやみんな、お三夜参りで何を祈った? 俺様ちゃんは……借金返済と家庭円満さ」
「兄さんらしい」と深夜子。
「言いませんよ。言ったらご利益なくなるでしょう?」と怜理。
静音は眩しそうに目を細め、黙ったままだ。雷一は片眉をあげ、一霞に尋ねる。
「いっちゃんは?」
「……内緒。だって叶わなくなったら困るもの」
――お三夜様……どうか助けてください。
こんなままじゃどこにも進めないままだもの。
この気持ちに区切りをつけたい。だから、どうか……――。
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SF・ファンタジー
動物・自然
神話・伝説
定員
1000人
参加キャラクター数
109人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2015年10月31日
参加申し込みの期限
2015年11月07日 11時00分
アクション投稿の期限
2015年11月07日 11時00分
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