【生徒会総会】クラブ対抗！部費争奪戦ｂｙコメディエアー｜リアクション

【生徒会総会】クラブ対抗！部費争奪戦ｂｙコメディエアー

73.

「ヲヲッ！」
　焼きあがった肉を見て、真央が驚愕の声を上げる。
　コメディエアーの影響からか、巨大なマンガ肉が、中までしっかり火が通って焼きあがる。
　憧れの巨大肉を焼かんと、皆がコンロに殺到した。
　目をキラキラ光らせる真央、修と目を合わせて笑う。
　アフロが明るく照らされた。

「やったじゃん！」先ほどまでの凄みとは打って変わって、明るくはしゃぐ凜乃。「やっぱこういうの、参加した者の特権よね！」
　大量のスイーツを皿に取り、片っ端から食べまくる。
　アップルパイを喉に押し込んで、人影を認める。
　傍らにあったモンブランを皿にのせ、彼女に近寄る。
　小食そうだし、あまり好きじゃないかも……。

　仙藤紫は礼をいい、有難くモンブランを受け取った。

　鴻上彰尋は、自己嫌悪に陥っていた。
　今日の実況は、ハイテンション過ぎた。
　生真面目、落ち着いていると自他ともに認める彰尋。
　いくらコメディエアーのさなかとはいえ、あんなに滾ってしまってよかったのだろうか。
　黒歴史という奴ではないか。
　もう、これからは落ち着いた実況をしていこう。

　今回みたいな、ハイテンションの実況をお願いしますと、各所から言われるのは、もう少し先。
　また別の話だ。

　さんざめく星々と、舞い上がる火の粉に照らされて、一際あでやかなのは華道部だ。
　先ほどまでの荒れ狂う戦闘力は、影も形もない。
　とはいえ、華道部にあまりなじみのないメンバーにとって、今日の彼女たちの活躍は、目を開かせるものがあった。
　近寄りがたく、お堅いイメージは、勝手に此方が持っていたのかもしれない。
　もっと自由に、楽しく……華道部の彼女らは、そんな風に花と向き合っているのかもしれない。
　
　笑顔で談笑していた伊勢エリカに、話しかけてきた者がいる。
　生物部の新井すばる、神野美野梨、そして屋敷野梢だ。
　着物の裾にじゃれつこうとする猫を「だめですよ」と美野梨が制する。
　こういうものをご存知ですか――すばるが、一輪の花を差し出す。
　――青いバラだな。
　エリカが頷く。
　――青いバラ。自然には、存在しないものね。
　こまちもそっと覗き込む。

　青の色素を花弁に加えることで、可能になった青いバラ。
　バイオテクノロジ―が生み出した、夢の存在である。
　生物部と華道部、友誼の証として、これほどふさわしいものはない。

　青いバラ、存在がないものとされていた時代、花言葉は『不可能』だった。
　本条小萩が、静かに語り出す。
　――ふふー。でも今は、別の花言葉があるのです！！

　陶然と、夢みる笑顔を、小萩は皆に向ける。
　今日のコメディエアーは、皆のロマンチックな夢に、それぞれ酔いしれる日だったのかもしれない。

　――花言葉は。

「夢、かなう！」