【生徒会総会】クラブ対抗！部費争奪戦ｂｙコメディエアー｜リアクション

【生徒会総会】クラブ対抗！部費争奪戦ｂｙコメディエアー

74.

（あ……れっ？）
　我に返った千鳥雅人は、あたりを見回した。
　なんで、みんな焼き肉を食べているんだろう？
　部費争奪戦とかっていうのは、どうなったんだろう？

（うーん……よくわからないよー）
　あんまり寝ないで、参加してしまったのは覚えている。
　円ちゃんに、なにかされたのも覚えている。

「刀くん、部費争奪戦って、何があったの……」
　そう声を掛けようとして、雅人は声を失った。
　刀は、釈然としない顔をしていた。
「皆のためになったんだから、雅人は悪くないんだよ……うん」
　必死で自分を納得させようとしていた。
　様子がおかしい。
　後頭部のでっかいコブも気になる。

「円ちゃん、刀くんどうしたの……？」
「――一週間後、ボクシング部の新人戦がある。明日から、これに向けて調整」
「えっ？」
「当日は、今日みたいに寝ないで来ること」
「何言ってるの、円ちゃん」
「常人離れした身体能力、気配を一切断った動き、友人を友人とさえ思わない、非情さ、冷酷さ・・・・…」
　――私は見つけた、ダイヤの原石を！
　円は、雅人の目をじっと見つめた。
「私と一緒に、寝子島大橋を逆にわたろう！」

「ちょっと、みんなどうしたの・・・・…」
　慌てて周囲を振り返ると、
（彼よ……）
（仲間のために、涙を流しながら戦った少年……）
（熱い友情の少年……）
　期待と羨望の眼差しが集中する。
「これ、私が焼いた肉。雅人さん、食べて」
「私の肉も、食べて」
　山盛りにされていく、雅人の皿。
「ちょ、ちょっと待って……」
　自分は、記憶がない間に何をしてしまったんだろう？
　とんでもない事をやらかしてしまったのか？

「夏朝ちゃん！　僕、一体……」
　夏朝なら、より詳しく教えてくれるに違いない。
　夏朝は少し困った顔をして、話相手の壬生由貴奈に顔を向ける。
　由貴奈はゆっくりと歩みより、雅人の顔を胡乱げに見た。
「まともじゃなかったのは分かるけど……」
「え？」
「ま、うちはいいからさ。あとでみんなに謝っとくんだねぇ」
　ポンポンと頭を叩き、去っていく。
（何ー？！）
　思わせぶりな彼女の一言が、雅人を断崖絶壁に立たせていた。
　ひどい喉の渇きを覚えて、傍らの紙コップのお茶を飲み干す。
　ドクダミの香りが、一時に脳に押し寄せ、雅人は再び昏倒した。